数寄なモノ目次録

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好きなもの目録 その399 竹取物語 (かぐや姫)

NHK-FMの『クラシックの迷宮』で
「ソプラノ・伊藤京子を聴く~NHKアーカイブスから~」
の「歌劇“かぐや姫”」を聴いて
竹取物語かぐや姫)』特集でもしようかなと思ったんすが、
いつもどおり面倒臭いので放置してたんすが、
竹からかぐや姫ならぬ
殺生石から九尾の狐が、
黒塚の岩屋の蛇石が割れて
なんか妖怪獣とか出てきそうな世の中なんで重い腰を上げる。


標題:かぐや姫は告らせたい

分類:音楽>クラシック>オペラ

■題名:歌劇“かぐや姫

作曲:石井 歓

台本(作詞):曽野 綾子

歌:
伊藤 京子
梅原 秀次郎
栗本 尊子
島田 恒輔
立川 澄人
荒木 宏明
中村 義春
安念 千重子

音楽:
器楽アンサンブル
二期会合唱団

指揮:飯守 泰次郎

放送年:1963年

製作国:日本

評価:保留

■雑記:
日本舞踊家の出演による仮面劇として創られたテレビオペラ。
カール・オルフの弟子である石井歓の打楽器重視で
和洋混合の器楽アンサンブル。
1963年7月6日放送。

<登場人物>
かぐや姫 (伊藤 京子)
おきな (梅原 秀次郎)
おうな (栗本 尊子)
少将 (島田 恒輔)
みかど (立川 澄人)
くらもちの皇子 (荒木 宏明)
いそのかみの中納言 (中村 義春)
いそのかみの中納言に使える女 (安念 千重子)

男性の歌唱は能楽っぽい。
かぐや姫は、訳あって月の世界から下界に落とされる。
五人の公達の二人しか登場しない。
公達よりみかどの使いの少将の方が活躍しているかな。


竹取物語』のストーリーはみんな知ってると思うんで省略しますが、
家具屋の社長の娘が高級路線から中級路線へと方針転換して失敗する話……ではないっす。


分類:映画>邦画>時代劇 / 特撮 / SF

■題名:竹取物語

監督:市川 崑

特撮監督:中野 昭慶

撮影:小林 節雄

音楽:谷川 賢作

主題歌:STAY WITH ME - ピーター・セテラ

出演:
沢口 靖子
若尾 文子
三船 敏郎
石坂 浩二
岸田 今日子
中井 貴一
春風亭 小朝
竹田 高利 (※コント山口君と竹田君
山口 弘和 (※コント山口君と竹田君
伊東 四朗
加藤 武
中村 嘉葎雄
横山 道代 (横山 通乃)
浜村 純
常田 富士男
小高 恵美

発表年:1987年

製作国:日本

評価:B ★★★○以上

■内容・雑記:
1980年代の私は、邦画より洋画の方が(観てもいないのに)上だと思っていて、
竹取物語』の公開当時は、古臭い古典の映画化で
かぐや姫が宇宙人で最後に宇宙船が迎えに来るってんで
よくある邦画のおバカ映画やトンデモ映画の一つだと思い込んでいたんですが、
市川崑監督だからって今年になって初めてちゃんと観てみたら、
これが凄く出来が良いんで驚いたんすよ。
平安時代の設定なんで、
普通の江戸や京の町並みとかの時代劇オープンセットを流用出来ないし、
天竺の竜や、『未知との遭遇』や『E.T.』の最後の方みたいな
人類と宇宙船が遭遇する場面などの東宝特撮、
幽玄な映像に豪華な俳優人など手間もお金も掛かってる。

物語はSFの味付けがされていて、
月の宇宙船が事故で地上に落ち、
乗っていたかぐや姫沢口靖子)の脱出ポッドが竹薮に落ちる。
その竹薮には竹取の造(三船敏郎)と田吉女(若尾文子)の
五歳で亡くなった娘・加耶の墓があり、
その生態情報を取り入れたかぐや姫加耶になり竹取の造に拾われ育てられることに。
五歳の加耶からかぐや姫の実年齢に急速に成長し絶世の美女になり、
脱出ポッドが(科捜研じゃなくて彫金師に調べさせたら)
純度の高い黄金だったのでそれを売り、
田舎だと口さがないので都の近くの新居に引越し玉の輿を狙う竹取の造。
そして、加耶の噂を聞いたり姿を見かけた
車持の皇子(春風亭小朝)と安倍の右大臣(竹田高利)と
大伴の大納言(中井貴一)が加耶に結婚を申し込む。
(五人の公達の石作皇子と石上中納言は登場しない)
加耶は大伴の大納言が気になるんだけど、
自分への思いを確かめるため
三人の公達に伝説の宝物を持ってきた方の嫁になるっていう無理難題を出す。
んで、かぐや姫は地上で生きるための生命維持装置と
月との通信装置を兼ねたみたいな水晶玉を持ってるんすが、
それによると宇宙船事故の生存者を探索していた月から
かぐや姫を迎えに来るというんで、さー大変!

帝(石坂浩二)は、浮気をしたら呪い殺されそうな
皇后(岸田今日子)が目を光らせているせいかかぐや姫には手を出さない。
耳成の長者の家の子守で盲の明野(小高恵美)っていう
物知りのオリキャラが出てくるんすが、
宇宙船の謎な光により目が見えるようになるっす。

 

分類:アニメ>映画

■題名:かぐや姫の物語

監督・脚本・劇中歌:高畑 勲

脚本:坂口 理子

人物造形・作画設計:田辺 修

作画監督:小西 賢一

作画:
橋本 晋治
濱田 高行
安藤 雅司
山口 明子

他:
百瀬 義行
佐藤 雅子
笹木 信作
橋本 晋治

美術:男鹿 和雄

音楽:久石 譲

主題歌:いのちの記憶 - 二階堂 和美

声優:
朝倉 あき
地井 武男
宮本 信子 (※ナレーション兼)
高良 健吾
高畑 淳子
田畑 智子
立川 志の輔
橋爪 功
上川 隆也
伊集院 光
宇崎 竜童
朝丘 雪路
中村 七之助 (二代目)
仲代 達矢
内田 未来
三宅 裕司

発表年:2013年

製作国:日本

評価:C ★★★

■雑記:
かぐや姫の物語』を私が初めて観る前は、
高畑勲監督の制作期間と製作費を潤沢に使った
鳥獣人物戯画のような表現の『竹取物語』だというんで凄く期待してたんすが、
実際観てみるとCG(コンピュータグラフィックス)で
手描きや水彩(水墨画的な作画)を表現をするのはとても難しいので労作だとは思うけど、
物語は日本人ならみんな知っている話で、
オリジナルな部分も女性の自立や自然回帰の話みたいなんで、
あまり面白くないと思って否定的な印象を持ったんすが、
七年ぶりくらいに観返したら初見よりも良い印象を持ったっす。
ただ、時間も長く娯楽作品ではないので、やっぱあまり面白くないかなぁ。

アニメーションの表現というか作画は、
古い中国の水墨画アニメや
まんが日本昔ばなし』とか『龍の子太郎 - 浦山 桐郎』みたいな
手描きや水彩のアナログ表現を
ホーホケキョ となりの山田くん』の延長線上のCGを使ってデジタル表現をするっていう
大変で人手とお金が掛かるわりには見栄えがしないというか、
普通の人には凄さが今一わからない費用対効果が低いと感じるもので、
高畑監督スタジオジブリでなければ作れないアニメなんで
日本アニメ史には残るとは思うっす。
CGで良かったのは、着物の柄(テクスチャ)がいくら動いてもズレないことかな。
巌窟王 - 前田 真宏』とか柄が固定されていて
動き回っても変化しないのに凄い違和感を覚えたんすが、
CGも進歩して良くなってるなぁ。

原作の『竹取物語』をなぞっている部分は丁寧に淡々と描いて静的なんすが、
アニメのオリジナルな部分で
披露目の宴の状況に姫が怒り屋敷を飛び出す場面や、
捨丸と姫が山で再会し空を飛ぶ場面など幻想的で疾走感があり動的と極端。

「姫の犯した罪と罰」なんすが、
かぐや姫の罪は、他人の畑の瓜を勝手に盗って食べたのと、
五人の公達へのコンフィデンスマンJP的な金品要求
(一番純朴で影が薄い石上中納言(声優もジブリの社員)なんか
「燕の子安貝」を求めた落下事故がもとで死亡するし)
をして男達を破滅させたことと、
妻子のある捨丸兄ちゃんとの不倫、かな。うそ
本当は地上に憧れたのがかぐや姫の罪みたいっす。

幸せに対する考え方の違いが不幸を呼ぶというか、
当時の一般的な女性の最高の幸せといえる、
高貴の姫君に育てて貴公子に見初められることが幸せであると思う翁と、
自然の中で好きな人と暮らすのが幸せと思うかぐや姫との価値観の相違が問題かな。
山や田舎などの自然や庶民や子供は肯定的に描かれているけど、
都や貴族や富や大人は否定的に描かれているかな。
動植物や捨丸兄ちゃん達は生き生きとしているけど、
五人の公達とか貴族に対する人間の厭らしさとか戯画的で、
御門なんてハプスブルクの顎をしているっていう……。
高畑監督の自然や田舎や労働などへの賛美はいいんすが、
対して都会や現代社会を否定するような考えには賛同出来ないっす。
田舎に住んでいるものからすれば、そんなに田舎が良いなら
なんでみんな都会に行きたがるのか、
都会の人がたまに山や海に来て、やっぱ自然が最高とか言うけど、
じゃぁ住んでみれば……って思うんすが。
結局みんな都会の方が仕事はあるし便利だし、
息抜きや遊びくらいしか自然(田舎)に求めてないと思うので、
高畑監督の考えを真に受けない方がいいっす。
おもひでぽろぽろ』とか観て、
田舎に憧れて農家の嫁に行っても失敗すると思うっす。

捨丸兄ちゃんは「とったどー!」っていうよゐこの濱口みたいに
山では雉(野生)を獲ったり頼りになるのに、
都では鶏(家畜)を盗ったり情けない感じになってる対比が切ない。
捨丸一家は木地師なんすが山窩とは違うのかな?

かぐや姫一行がお忍びで桜の花見に出かけるんすが、
かぐや姫が桜の木の下で踊り回るように喜ぶ場面は
「ムーンチャイルド - キング・クリムゾン」に合わせてボウリング場で踊る
クリスティーナ・リッチ的なミステリアス感があれば良かったのに……。うそ

かぐや姫の物語』を概略すると、
自然児の「タケノコ(姫)」が都に行き「なよたけのかぐや姫」と名付けられ、
女官の相模の教育により「よしなに」とか言う美しい姫になり、
最後に月からのお迎えが月光蝶を振り撒いて警護の兵達を無力にする
∀ガンダム』的な物語かな……。うそ