数寄なモノ目次録

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その397 山田洋次の霧の旗

私が山田洋次監督の映画に触れたのが、
1980年代の『男はつらいよ』からだったんで、
一番多い数の作品を観ている監督だけど
あまり好みじゃない監督だったんすが、
色々作品を観て1970年代までは好きかな……って変化しました。
(ただ観てるだけなのに、偉そうですんません)

松本清張・原作の映画と言えば
野村芳太郎監督作品が鉄板だと思うけど、
山田洋次監督の『霧の旗』が面白いんで目録に。

フーテンの兄の冤罪を晴らすため妹のさくらが大活躍!
『弁護士はつらいよ あるホステスの証言』
みたいな映画かな……うそっす。


標題:山田洋次倍賞千恵子の霧の旗

分類:映画>邦画>サスペンス

■題名:霧の旗

監督:山田 洋次

原作:松本 清張

脚本:橋本 忍

音楽:林 光

撮影:高羽 哲夫

出演:
倍賞 千恵子
露口 茂
三﨑 千恵子
近藤 洋介
清村 耕次
金子 信雄
田武 謙三
桑山 正一
滝沢 修
逢初 夢子
新珠 三千代
穂積 隆信
川津 祐介
阿部 寿美子
市原 悦子
原崎 次郎
内藤 武敏
井川 比佐志

発表年:1965年

製作国:日本

評価:A ★★★★○

■内容・雑記:
熊本でタイピストをしている柳田桐子(倍賞千恵子)は、
金貸しの老婆殺しの容疑で捕まった兄の正夫(露口茂)の弁護を頼むため
熊本から東京の高名な弁護士の大塚欽三(滝沢修)のもとを訪れる。
遠方であり金銭面や多忙なことから大塚は弁護を断るが
桐子はしつこく食い下がる。
桐子の公衆電話での会話を偶然耳にした雑誌記者の阿部幸一(近藤洋介)が事件に興味を持つ。
それから一年余り経ち、
大塚の元に桐子から兄が死刑判決を受け控訴中に病死したという葉書が届く。
良心の呵責からか大塚は柳田正夫の事件の裁判資料を取り寄せて検討してみると、
犯人が左利きだとわかり正夫は冤罪だとわかったけど、
もう死んでるんでしょーがないな……と割り切って、
顧問弁護士をしているフランス料理店「みなせ」の女将の河野径子(新珠三千代)と不倫。
大塚は冷え切った関係の妻(逢初夢子)と別れ径子と一緒になるつもりで、
径子も愛人の店のボーイ頭・杉田健一(川津祐介)との関係を解消しようとしていた。
その頃、桐子は熊本から東京に出て来ていて、
健一の姉(阿部寿美子)がマダムのバー「海草」でリエと名乗りホステスをしていた。
桐子が同居させてもらっている健一の恋人の信子(市原悦子)の頼みで、
健一の浮気相手を探るため尾行することになり、
健一が入っていった家を見張っていると、そこに径子が現われ……。

んでまぁ、健一が殺されていて径子が容疑者で捕まるんすが、
桐子が径子の無実を証明出来て証拠物件のライターも持ってるんすが、
大塚に対する逆恨みから知らぬ顔の半兵衛を決め込むっす。
窮地に立たされた大塚は桐子の元に通い
径子と現場で会った証言とライターを渡してくれと懇願する。
大塚の熱意に負けた桐子は、証言を引き受けライターを渡すと約束するのだったが……。

柳田桐子役の倍賞千恵子はどこか影があるけど意思の強い女性って感じで
これと決めたら自分の意思を貫き通す一途な感じの美人で興味を引くと思うんすが、
それでも大塚弁護士は依頼を引き受けなかったけど、
もし『その壁を砕け - 中平 康』の道田とし江役の芦川いづみ
だったら引き受けていたと思う。うそ
河野径子役の新珠三千代は、『黒い画集 第二話 寒流 - 鈴木 英夫』
の料亭の女将がフランス料理店もやるようになったんだと思う。うそ

オープニングは、何か思い詰めた様子の桐子が熊本から東京へ列車で向かう場面なんすが、
山口百恵みたいに新幹線にすれば速いのに……うそ。
当時の上熊本から東京都区内ゆきの切符が2等で2170円みたいっす、青春18きっぷなのかな。うそ
帰りは堀北真希みたいに金券ショップで安く買った乗車券で夜行バスに乗り熊本に……。うそ

記者の阿部が、兄の事件のことを忘れようとしている桐子を煽って寝た子を起こし、
桐子の偽証で事が大きくなり取り返しがつかなくなると
自分では桐子を説得出来ないと大塚弁護士に任せてそのままとんずらして登場しない。
いかにもマスコミって感じ。
自分の愛人が殺人事件の容疑者になり
「犯人でない者が無実の罪に(中略)
そんな悲惨な出来事を防ぐ為にこそ弁護士というものがある」
とか大塚が言うんすが、初めに桐子が依頼に来た時にその覚悟があれば違っていたのかな。
まぁ、弁護士もボランティアじゃなし大塚の言うことの方が正論で何も間違っていないんすが、
桐子みたいなモンスタークレーマーに取り憑かれた不運と、
美人の処女をいただいた幸運でプラマイゼロかな……なわきゃない人生どん底

最後、桐子が証拠のライターを火口に捨てようとして
(回収される可能性があるので)止めて、
船から水深千メートルの海に投げ捨てるという徹底ぶり。
『霧の旗』は映画やドラマに何度もなってるんすが、
山田洋次版以外は、桐子がライターを阿部や検察に届けたり、
老婆や健一を殺したらしい左利きの山上が捕まったりしてるみたい。

倍賞千恵子は『男はつらいよ』のさくらのイメージが強くて、
初めて『霧の旗』を観た時は『下町の太陽』と続けて観たんで
あまりのギャップに衝撃を受け倍賞千恵子の桐子が恐ろしかったっす。
皇居の前を桐子が歩く場面や、桐子が健一を待ち伏せて尾行する場面や、
桐子と大塚がバーから一緒に帰る場面など
長くじっくり見せる演出でなんか不安な感じがする。