サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その???のおまけ 鬼輪番

小池一夫・原作の映画『鬼輪番』を観たんでメモ。
原作の劇画は読んだことないんすが、
御庭番を捩った隠密(忍者)モノの話かな……
それにしても小池一夫なんで設定がぶっ飛んでる。
監督は「クレージー映画」や『ルパン三世 念力珍作戦』の坪島孝なんすが、
笑いやおちゃらけは無く、いたって残虐で真面目なんすが
突き抜け過ぎていて逆に笑える状態。
『あずみ』や『KAPPEI カッペイ』なんかに影響を与えたかも?

「好きなもの目録」に本格的に取り上げるような凄い作品ではないんでおまけなんすが、
小池一夫・原作で取り上げた
「好きなもの目録 その125 御用牙 かみそり半蔵地獄責め」
「好きなもの目録 その246 ポルノ時代劇 忘八武士道 (のおまけ 忘八武士道 さ無頼)」
「好きなもの目録 その304 マッド★ブル34」
などのおまけにするには適当じゃない気がして……。
「好きなもの目録」で小池一夫を本格的に取り上げた時のおまけにしたいんで
ナンバリングは未定です。


標題:小池一夫原作のエログロ時代劇

分類:映画>邦画>時代劇

■題名:鬼輪番

監督:坪島 孝

原作:
小池 一雄 (小池 一夫)
やまさき 拓味

音楽:佐藤 勝

出演:
近藤 正臣
峰岸 龍之介 (峰岸 徹)
水谷 豊
高峰 圭二
荒牧 啓子
森山 周一郎
藤巻 潤
岸田 森
佐藤 慶
大木 正司
上野山 功一

発表年:1974年

製作国:日本

評価:C ★★○くらい

■内容・雑記:
話の本筋は、
紀州藩が密かに武器を溜め込み幕府に謀反を企んでいるんで、
隠密の鬼輪番紀州領内に潜入して武器弾薬庫を探り出し爆破する
ってだけのことなんすが、
映画の前半が鬼輪番とはどのようなものか、どのようにして育てられるのか、
ってのが描かれていて、それが凄まじい!

鬼輪番になる人間(男でも女でもなく鬼?)は、
子供の頃から鬼の面を被り誰にも顔を知られてはいけなくて、
親鬼による厳しい鬼作りの修行により死んだり
鬼の面が外れただけで殺されたりして生き残ったのは、
渦彦(近藤正臣)、小法師(荒牧啓子)、地虫(峰岸徹)、吹豆(水谷豊)、六地蔵高峰圭二)の五人だけだった。
忍の術は、攻術・防術・探術よりなり、
攻術・防術を会得した五人は最後の探術を会得することになるんすが、
鬼作りの親鬼の頭目森山周一郎)の説明による探術のチョウジュツ?ってのが
「男は男の性を極めることによって男を越え、
女は女の性を極めることによって女であることを捨てねばならん」
と少年少女が男や女に大人になるっていうか……ようは性体験っす!
木根次と貝女っていう天狗と女面の男女ペアが交わり手本を見せた後、
五人の中で紅一点の小法師が無理やり木根次に犯され、
それから、渦彦、地虫、吹豆、六地蔵の四人が
次々に小法師を輪姦して童貞喪失するっていう非道な修行。
なんで嫌気がさした小法師が逃げ出し、
抜け忍抹殺のため渦彦が追いかけ決闘するんすが、
渦彦の鬼の面が外れ小法師共々捕まり、
親鬼から二人を殺すように命じられた地虫、吹豆、六地蔵の三人も
面を外し親鬼に反逆する――。

五人とも鬼の面が外れ素顔になるんすが、
せっかく作り上げた五人を殺すと元の木阿弥になるせいか、
親鬼の頭目が五人の鬼の輪(絆)がどーのこーの言って許す展開に。
五人が鬼輪番になった餞に育ての親鬼達が次々に死んでいくんすが、
頭目の顔が見たいという五人に対して、
刀で顔を削いで切腹するという荒業で正体を明かさない頭目……
でも、声が森山周一郎なんで顔がわからなくても誰かわかると思う。

んで、鬼輪番になった五人は祝十兵衛(藤巻潤)の密命で紀州藩に潜入し
鬼輪狩りの横笛将監(佐藤慶)と対決するんすが、
鬼輪番を手引きする玄海岸田森)の裏の裏をかく作戦が悉く失敗して窮地に……。

小法師役の荒牧啓子はヌードになって体張ってるんすが、
面で顔が見えなかったり、体が貧弱(ペチャパイ)だったりで有難味がない。
六地蔵役の高峰圭二は小法師と交わることによりウルトラマンAに……なりません。
忍者の話なんで耐えるっていうかマゾっぽい陰鬱な物語かな、
鬼輪番で頑張っても報酬がどのくらいあるのかわからないし、
地位や名誉なんて(死んで墓も)無いし、
天下泰平のためっていうやりがい搾取のブラック企業が幕府の鬼輪番
横笛将監の話なんで本当かわかないけど、
幕府が紀州藩に武器の調達を命じていたのに、
それに乗じて紀州藩の勢力を削ごうと謀反の難癖を付けてるみたいな裏の裏。

1970年代前半の小池一夫・原作の映画、
映画『子連れ狼』シリーズ、『御用牙』シリーズ、『忘八武士道』二作、
などと同じエロでグロで血飛沫に腕が切られたりの残虐描写の『鬼輪番』なんすが、
東映っぽいなぁって思うんすが東宝
勝プロや『影狩り』二作の石原プロなんかと東宝がやると下品に。
さいとう・たかをと手を組み『影狩り』とコラボした
『影狩りVS鬼輪番』みたいなのが観たい……かな。