数寄なモノ目次録

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その338 内田けんじの鍵泥棒のメソッド

『ダマせない男』を観たんすが……
キャストや設定が『鍵泥棒のメソッド』や『コンフィデンスマンJP』
っぽいっていわれているみたいなんすが、
まぁ……普通以下かな。
好評ならシリーズ化する予定とかあるのかな?
ネタバレなんすが、百面のジョー(上)がルパン三世
江戸川乱歩の美女シリーズ」の明智小五郎(天地茂)並みに
誰にでも(女性は無理かも)化けられるんで詐欺の域を超えている……。
大森詩子(広末涼子)と小山紗枝(村川絵梨)が
絹咲正(堺雅人)を取り合う展開かと思ったら、
女性同士で出来ているっていう想像の斜め上いくLGBTどんでん返し。
最後、絹咲と浅香澪(門脇麦)の二人が
貴島源一郎(生瀬勝久)の手下に殺されそうになったところを
貴島に化けたジョーに助けられ切り抜けるんすが、
一時的に助かっただけで貴島が二人を許さないと思うんすが。
『コンフィデンスマンJP』は御都合主義っぽいけどなんか納得いくけど、
『ダマせない男』はなんか適当過ぎて納得いかない。
鍵泥棒のメソッド』から十年経ってるんで、
広末涼子の首なんか見るとさすがに年取ってる感じで、
ちょっと前に『ジェネラル・ルージュの凱旋 - 中村 義洋』を観返して
チュッパチャプス好きの速水晃一役とか良いなぁと思ったんすが、
堺雅人は昔に比べて少し演技下手になってるように感じるかな。


2020年12月17日に書いた記事を修正して下記に転載。

半沢直樹』を観ていて、
2013年版第一部の大阪編が一番ストーリーもしっかりしていて面白く、
2020年版の『半沢直樹』は悪くはないけど、
役者の顔芸がなんか面白いっていう大味なネタドラマになってたかな。
んで、伊丹十三監督の『あげまん』観たら、
銀行員の鈴木主水(津川雅彦)と頭取(大滝秀治)の関係や銀行の内幕、
銀行と政治家の癒着など『半沢直樹』っぽい場面があるんすよ。
『あげまん』ってタイトルから
ナヨコ(宮本信子)と付き合う男が出世する話だとはわかるんすが、
まさか銀行の話だとは思わなかったっす。
さすが伊丹十三は目の付け所が違い、面白いジャンルを取り上げるのが早いなぁ。
んで、2020年版『半沢直樹』第6話に、
帝国航空の社員・仁藤圭子役で内田慈が出てるんすが、
邦画観てるとよく見る女優さんだなぁ。と思いながら、
チョイ役にしては目立ってるけど、なにかの伏線なのか?
あっ! そうか……、
もしかして、堺雅人と内田慈が同じ場面に登場しているのに意味があるのかも……。
半沢直樹』は堺雅人香川照之の共演が話題なんすが、
その二人が出演した『鍵泥棒のメソッド』に、
内田慈が堺雅人の元恋人役で出てるんすよ。
ドラマのスタッフがそれでキャスティングしたのかも……と思ったっす。

一般的に、邦画は洋画よりレベルが低く見られていると思うんすが、
そして、邦画を評価している人でも、昭和の邦画は最高だけど、
それに比べて平成の邦画は駄目だって人もいるでしょう。
昭和には、黒澤明市川崑清水宏内田吐夢などの巨匠や名匠が数多くいたんすが、
平成の邦画を観るけど古い邦画を観ない人にとって映画監督は、
クロサワといえば黒沢清、市川といえば市川準、清水といえば清水崇
そして、内田といえば内田けんじ!
ってのが今では常識……なのかも。うそ

私も若い頃は邦画にあまり興味が無かったんすが、
1990年代の後半くらいから徐々に観だして、
今では、邦画だろうが洋画だろうが、古かろうが新しかろうが、
実写だろうがアニメだろうが、メジャーだろうがマイナーだろうが、
何か引かれるモノがあれば何でも観ます。
んで、平成の邦画もけっこう観てると思うんすが、
(平成で)一番くらいに好きなのが内田けんじ監督なんすよ。
私は大体、映画を観たらその映画をまた観なおすことはあまりなくて、
面白かった記憶がある映画を、
まったく内容を忘れた数年後に観なおすことがたまにある程度で、
短期間に何度も観なおしたり、
インターバルを置いて何度も観なおしたりすることがないんですが、
なんか内田けんじ監督の作品は観なおしたくなるんすよ。
平成の邦画(実写)の中では、
鍵泥棒のメソッド』が一番私の好みに合い好きなんで目録に。


標題:内田けんじのメソッド 邦画を甘くみてるとダマされちゃいますよ

分類:映画>邦画

■題名:
運命じゃない人
アフタースクール
鍵泥棒のメソッド

監督・脚本:内田 けんじ

音楽:
羽岡 佳 (※『アフタースクール』)
田中 ユウスケ (※『鍵泥棒のメソッド』)

出演:
(※下記『運命じゃない人』)
中村 靖日
山中 聡
霧島 れいか
板谷 由夏
山下 規介
眞島 秀和

(※下記『アフタースクール』)
大泉 洋
堺 雅人
佐々木 蔵之介
常盤 貴子
田畑 智子
山本 圭
山本 龍二
北見 敏之
奥田 達士
大石 吾朗
伊武 雅刀
尾上 寛之
桃生 亜希子
沼田 爆
田村 泰二郎
佐藤 佐吉
ムロツヨシ

(※下記『鍵泥棒のメソッド』)
堺 雅人
香川 照之
広末 涼子
内田 慈
荒川 良々
原 金太郎
森口 瑤子
小野 武彦
木野 花
小山田 サユリ
三上 市朗
李 千鶴
柊 瑠美
中谷 竜
大谷 亮介
田中 聡元
荒川 結奈
黒田 大輔
池田 成志
久野 雅弘
本宮 泰風
三村 恭代
林 和義
ウダ タカキ
松山 愛里
中川 晴樹
ムロツヨシ (※携帯画像のみ)

発表年:
2005年
2008年
2012年

製作国:日本

評価:
A ★★★★☆
A ★★★★★
S ★★★★★○

■内容・雑記:
運命じゃない人
桑田真紀(霧島れいか)は、
婚約者の車の助手席でメンソールのタバコの吸殻を見つけ、
婚約者の浮気(裏切り)を知り、一人で生きていくことに決め、
同居していた部屋を後にし街をあてどなくさまよう。
宮田武(中村靖日)は、真面目な良い人で
恋人の倉田あゆみ(板谷由夏)と一緒に暮らすためにマンションを購入するが
あゆみは好きな人が出来たからと部屋に荷物を置いたまま出て行く。
そんな二人が運命的に出会う物語……かな?

カメラを止めるな!』みたいに、最初にゾンビ映画を観せて、
後に映画撮影の舞台裏を観せるみたいな感じで、
表で進む二人の出会いは、実は裏ではこんな事件が起きてました。
って感じに後半は時間軸が戻るんすが、
伏線というかほとんど関連描写なんで前半から目が離せない。
あの時、あの場所に、あの人が居たのか!
っていう驚きのオンパレード。

以下ネタバレっす。
宮田の中学時代からの親友・神田勇介(山中聡)は探偵で、
あゆみに不信感を抱き独自に調査、あゆみが結婚詐欺師だとわかるが、
あゆみが宮田から離れ、ヤクザの組長・浅井(山下規介)の女なこともあり、
それ以上追求しなかった。
そんな神田のもとにあゆみが組長の金を奪い逃亡の手助けを頼みに来る。
ヤクザの金に手を付ければ命が無いので、金を返すようにあゆみを説き伏せ、
宮田の部屋に置いてあるパスポートを手に入れるため勝手に侵入する神田。
丁度そこに宮田が帰ってきたので、慌てた神田は宮田を遠ざけるため、
あゆみの話しがあると電話でレストランに呼び出す。
パスポートと交換に手数料百万を受け取った神田は、
レストランで宮田と落ち合い、あゆみは結婚するみたいだから諦め、
次の相手を探せ。と偶然後ろの席にいた真紀を一緒に食事をしようとナンパ。
神田はトイレに行くと言って消え(ヤクザに拉致)、
行く場所のない真紀を宮田は自分のマンションに連れて行く。
そこにあゆみが自分の荷物を取りに来る。
真紀はあゆみの身勝手さに怒りマンションを出て行く、
彼女を追いかける宮田はなんとか電話番号を手に入れ有頂天。
あゆみは実は着替えるふりをして
神田を騙して札束を宮田の部屋に隠していたのを取りに戻ったのだが、
そこには、なぜか浅井が……。
実は奪われた札束は見せ金(ダミーの札束)で浅井には痛手は無かったが、
組員が騒ぎ出し、しかたなく自ら収拾に動き出す。便利屋の山ちゃん便利だな。

真紀は、自分一人で生きていくってわりには、
行く当てもないのに飛び出すし、神田のナンパにすぐ喰いつくし、
札束を見つけたらパクるし、嘘の電話番号教えるし、
などなど、あゆみよりちょっとましって感じ……。
大体、車の助手席に女性と思われるタバコの吸殻があったからって、
それが即、浮気かどーかなんてわからないと思うけど、
同僚とか知人がたまたま同乗しただけかもしれないのに、
すぐ婚約指輪売っちゃうし……まぁ、安物だったから、男が騙していたのかもしれないけど。

ヤクザの浅井組長は、経済的というか理論的なヤクザは他の邦画でも見るけど、
なんか新鮮なヤクザの組長像。


『アフタースクール』
木村(堺雅人)は、出産間近の妻・美紀(常盤貴子)と朝食を共にし、
ふと、中学生の時に学校の下駄箱前で初恋の人・美紀から手紙を貰ったことを思い出し、
妻から今までのお礼にと靴をプレゼントされ自分の幸せを噛みしめる。
義父(山本圭)のもっと見晴らしの良い場所に引っ越せという言葉には苦笑い。
会社に出勤するため家を出ると、
ちょうどそこに中学時代からの親友・神野(大泉洋)が妻の買出しを手伝いに来た。
神野の新車を借り横浜へ……。
その夜、美紀が産気づき神野が病院まで付き添うが、
赤ちゃんが産まれたのに木村には連絡がつかない。
母校の中学教師になった神野が夏休み中の学校に行くと、
同級生だった島崎(佐々木蔵之介)が、木村の所在を尋ねてやって来た。
探偵の島崎は、木村は浮気している。と女(田畑智子)と一緒に写っている写真を見せる。
妻にベタ惚れの木村がそんなことするはずない。と島崎と一緒に木村を探すことになる神野。
夫が妻の妊娠中に浮気するのはよくあることで、
中学時代から好きだった美紀を手に入れるチャンスだろ。
と人間や社会の裏も表も全部わかりきってる島崎は神野をけしかける。
――みたいな話ではないっす。
騙している人が実は騙されていた。って話っす。

以下ネタバレっす。
佐野美紀は、親の借金を背負い
あゆみという名前で高級クラブでホステスをさせられ、
ヤクザの組長・片岡(伊武雅刀)の愛人だった。
雨の日、妊娠し子供を産みたい美紀は、偶然店で見かけた木村を頼り、
木村を迎えに来た神野の車に逃げ込む。
神野は妹の婦警(田畑智子)に相談し、
美紀が片岡と梶山商事社長・大黒(北見敏之)との関係を知る重要参考人となり、
梶山商事の社員・木村は会社の悪事を探ることになる。
大黒社長は会社の資料を持ち出した木村を探すため、
部下の唐沢(奥田達士)に探偵の北沢(佐々木蔵之介)を使うように命じる。
片岡に借金のある北沢は、木村の情報を集めるため地元の中学校を尋ね、
同級生の島崎を騙り神野から木村の情報を引き出そうとするが、
神野は木村と一緒に写っている妹のことを知らない島崎をニセモノと見破り、
彼が何者で目的は何か探ろうと一緒に行動することに。
しかし、掏りかえられた携帯電話から神野の目的がバレ、
大黒社長を逮捕する計画を急遽変更することになる。
中学生の時に木村が佐野美紀から貰った手紙は神野に渡してと頼まれたモノで、
美紀と結婚しようと外車や指輪をローンで購入したのは神野で、
美紀の父親っぽい行動していた郷田(山本圭)は捜査官で、
あゆみだと思って追っていた女は神野の妹、
などなど……ってトリック。
江藤外相(大石吾朗)と大黒社長とヤクザの繋がりが、
どんな汚職や犯罪に繋がるのかは映画的マクガフィンなのか明かされない。


鍵泥棒のメソッド
以下ネタバレぎみっす。
桜井武史(堺雅人)は、貧乏な売れない役者で
所属していた劇団は解散し、
同じ劇団で恋人だった理香(内田慈)とも別れ、
その彼女が結婚するとわかり、失意から首を吊ろうとする。
しかし、ボロアパートなので電灯の紐が切れ死に切れない。
財布の中の全財産を確かめると銭湯の入浴券が残っていた……。
最後に風呂に入ろうと銭湯に出かける。
コンドウこと山崎信一郎(香川照之)は、裏社会では凄腕の殺し屋で通っているが
本当は便利屋で殺しも請合うが実際には人は殺さず逃がし屋をしている。
几帳面な性格で、岩城社長(原金太郎)を偽装殺人した仕事の時に付いた血糊が気になり、
偶然見かけた銭湯で汚れを落とそうとするが、
洗い場の石鹸に足を滑らせ頭を打ち気絶してしまう。
投げ出されたコンドウのロッカーの鍵が偶然桜井の足元に……。
鍵を掏りかえた桜井は、コンドウの車を乗り回し、
コンドウの金で友人(劇団員)からの借金を返し、最後の思い出に理香に会いに行く。
水嶋香苗(広末涼子)は、父(小野武彦)が病気で余命残り少ないため、
死ぬ前に自分の花嫁姿を見せようと突然婚活を始める。
何事も計画通りに進める完璧主義者の香苗だが、
理想的な相手はすぐには見つからない。
記憶喪失のコンドウに成り代わった桜井、
自殺未遂をした売れない役者だと思い込む山崎(コンドウ)、
そんな実は山崎の桜井と偶然知り合う
結婚相手の条件が健康で努力家という恋愛未経験の香苗の三人が、
ヤクザの工藤純一(荒川良々)から
岩城社長が持ち逃げした大金のありかを探る事件に巻き込まれる。

水嶋香苗の結婚相手(バイト募集)の条件が健康で努力家なんすが、
山崎と香苗が病院前で出会い、アパートまで車で送った最初の段階で、
山崎はいたって健康で努力家ってのがわかり、香苗の結婚相手の条件に合っているし、
父の病室で「女子が男子をナンパしたってかまわないじゃない。――」
って一文に蛍光ペンでマークしてるのが、
積極的に香苗が山崎の世話を焼く理由とか、
香苗が最高級のモノを紹介する雑誌の編集長でモノの価値(値段)がわかる、
岩城社長の婚約者・井上綾子(森口瑤子)の息子はなぜ子供部屋で寝ないのか、
香苗の姉・翔子(小山田サユリ)の恋の(キューンのマシン)話と
車のアラームが最後に繋がる、
などなど細かい伏線が張り巡らされている。
香苗は恋愛対象に容姿や年齢や収入を求めないんすが、
ファザコンっぽいので年上でも、
亡き父と同じでベートーヴェンの「弦楽四重奏14番」が好きな山崎とは相性が良さそう。
桜井のアパートの部屋の隣人のオタクと山崎の会話や、
香苗の父の葬式で流すビデオレターが、
間違って結婚式用が流れてしまうのが何度観ても笑う。
荒川良々は好きだけど、ヤクザの組長はミスキャストかな。

 

運命じゃない人』『アフタースクール』『鍵泥棒のメソッド
の三本ともストーリーは甲乙付け難く面白いんですけど、
大体ヤクザや探偵や便利屋などの裏社会の捻くれた人間と、
その対極の真面目で誠実な普通の人間を絡ませる話かな。
運命じゃない人』の霧島れいか板谷由夏より、
『アフタースクール』の常盤貴子田畑智子の方が好きな女優で、
鍵泥棒のメソッド』の広末涼子の水嶋香苗のキャラが好きで
堺雅人香川照之のコンビも良いので、
私の評価は
鍵泥棒のメソッド』>『アフタースクール』>『運命じゃない人』っす。
三本ともエンドロール前後にオマケがあるので、最後まで見逃せない!

平成の邦画の監督の中では内田けんじが一番好きなんすが、
寡作で今なにか映画制作をしているのかもわからない……。
内田けんじ監督作品は、ストーリーは凝ってるし、
キャラクター(登場人物)も面白い人達ばかりで良いんですが、
演出は王道というか普通というかテンポが一定で
派手さで見せるって感じじゃないので、
迸るエネルギーで突き抜ける感じとかなく、
なんか小さくまとまっちゃってるのが残念かな。