サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

気になるもの目録 間諜、十七人の忍者 大血戦

二、三年くらい前に、
沢島忠監督の『股旅三人やくざ』を観て、
戦後(第二次大戦後)から1970年代頃の邦画は、
私が知らないだけで凄い監督がいっぱいいたんだなぁ……。
と改めて思ったんすが、
四月に「東映時代劇YouTube」で『間諜』をやっていて視聴して
面白くてなんかメモしとこうと思ったんすが、
いつも通り面倒臭いので放置してたら記憶が薄れる。

1960年代の日本では、
山田風太郎の「忍法帖シリーズ」や、
白土三平の『忍者武芸帳』『サスケ』『ワタリ』、
横山光輝の『伊賀の影丸』や藤子不二雄Aの『忍者ハットリくん』とか
忍者ものブームがあったのか、
けっこう忍者ものの映画が作られてるっす。
大映の『忍びの者』シリーズ、
『十七人の忍者 - 長谷川 安人』
『大忍術映画ワタリ - 船床 定男 / 倉田 準二』などなど。

んで、『十七人の忍者』の正式な続編ではないけど
『十七人の忍者 大血戦 - 鳥居 元宏』を観たら
まぁまぁ面白かったので、
松方弘樹が主演している忍者・間諜映画
『間諜』『十七人の忍者 大血戦』『忍びの衆』をメモしとこうと思ったっす。
(実写『伊賀の影丸』は松方弘樹・主演みたいだけど未視聴。
山内鉄也監督で、松方弘樹の父の近衛十四郎・主演の『忍者狩り』は
面白かったと思うんすが視聴したのが昔でうろ覚えで、
『怪竜大決戦』は松方弘樹・主演だけど特撮なんで今回は割愛)

『間諜』は、沢島忠作品を取り上げる時に
「好きなもの目録」で記すと思うんすが、
とりあえず「気になるもの目録」にメモしとくっす。
「好きなもの目録」にするか、
「気になるもの目録」にするか微妙なモノは
後で「気になるもの目録」から「好きなもの目録」に変更することもあります。


標題:松方弘樹の忍者間諜作品

分類:映画>邦画>時代劇

■題名:間諜

監督:沢島 忠

音楽:佐藤 勝

出演:
松方 弘樹
内田 良平
緒形 拳
三島 雅夫
野川 由美子
宗方 奈美
楠 侑子
田中 邦衛
鳳 啓助
京 唄子

発表年:1964年

製作国:日本

評価:B ★★★△前後

■雑記:
忍者映画とかでよくあるパターンなのか、
幕府に反旗を翻そうとする藩に忍や間諜が侵入し、
武器弾薬を爆破するっていうの。

松山征四郎(松方弘樹)と南新九郎(内田良平)と佐々木忠行(緒形拳
の三人は密命により武士の身分を捨て
倒幕の陰謀がある阿波蜂須賀藩に間諜として潜り込む。
三人は武士で腕は立つけど、
鬼輪番』みたいに幼少期から忍の訓練をしているわけでもなく、
粗相から処分(切腹)されたことにされ、身分を変え敵国に潜入する捨石。
南新九郎は島抜けした流れ者、佐々木忠行は藍工場の人足になるんすが、
松山征四郎は新米なんで、長年に阿波で間諜をしている作爺(三島雅夫)が
子供がいないから養子を取って結婚させるっていう設定で
征四郎を呼び寄せお千代(野川由美子)と夫婦にさせるっす。
征四郎は童貞だし役目で結婚したんでお千代に手を出さないんすが、
寝床でのお千代の後姿のうなじがエロいっす。
捕らえられた佐々木を助けるため阿波踊りの騒乱を利用して
堀(川?)の中に征四郎が入り遠景で阿波踊りの民衆っていう場面とか
凄い構図で感心する。
武器弾薬の秘密工作場が切り立った山の中にあるんすが、
滑り落ちるように崖を下っていく速さとか、
荷馬車に引き摺られる松方弘樹とか怪我しないのか心配になる。
先に間諜として入り込んでいた吉岡が怪しんでいた松葉杖の謎の男とか
伏線が色々ありそうでストーリーはそんな大したことないかな。

沢島忠は、ひばり(美空ひばり)映画などで知られているんすが、
デビュー作『忍術御前試合』は、まだ『大忍術映画ワタリ』系の
子供騙しの荒唐無稽な忍術描写なんすが、
それに比べると『間諜』はリアル寄り。
私は、野川由美子を『必殺仕置人』で初めて認知したんすが、
はっきりとした顔立ちで勝気でおきゃんな性格っぽくて気になり、
その後、鈴木清順作品を視聴して好きになったんすが、
日活三人娘(吉永小百合松原智恵子和泉雅子
と並ぶかそれ以上の魅力があると思うんすが、
日活所属じゃなく清純系じゃないんで
東映東宝大映と当時の色んな映画会社に出演してるのかな。


■題名:十七人の忍者 大血戦

監督:鳥居 元宏

音楽:津島 利章

出演:
松方 弘樹
小川 知子
三島 ゆり子
南原 宏治
大友 柳太朗
嵐 寛寿郎
遠藤 辰雄 (遠藤 太津朗)
丹羽 又三郎
大木 実
近衛 十四郎
香川 良介

発表年:1966年

製作国:日本

評価:C ★★☆

■内容・雑記:
『十七人の忍者』は、二、三年くらい前に観たんで内容を殆ど忘れてるっす。
東映集団抗争時代劇」のはしりと評されてるらしいんすが、
忍者の行動がやたら現実的だった印象っす。
タイトルだけはその続編だけど内容は関係ないのが
『十七人の忍者 大血戦』
「たった一秒間!一人の人間が十人、二十人にふえる!」
(そんな描写は無いっす、JAROに相談されちゃうっす)

慶安四(1651)年、由比正雪が企てし謀反の陰謀が発覚、
その背後に紀州大納言頼宣(近衛十四郎)があり、
さらに甲賀組が加担せしことが伊賀組によって全て明らかにされ、
甲賀組の頭・甚左衛門(南原宏治)は、
松平伊豆守信綱(大木実)に呼び出され詰問される。
甚左衛門は甲賀七人衆の滝小六が無断で加担したことにして首を差し出す。
そして甲賀組は伊賀組に見張られる中、隙を見て紀州に脱出する。
伊賀組の頭・服部半蔵(大友柳太朗)は伊豆守の命により、
紀州に潜入し鉄砲・火薬の隠し場所を探り出そうとする。
味方の犠牲により田辺城の墨館にあることを突き止め奇襲するが
甲賀組の罠に嵌り窮地に陥る。
服部半蔵は仲間を助けるため、新三郎(松方弘樹)に後を任せ
自ら囮になって甲賀組に捕まる。
伊賀組の新三郎は、甲賀の大原三右衛門(嵐寛寿郎)と伊賀の女との間の子で、
両親は掟により処分され服部半蔵が育ての親。
そんな伊賀の新三郎も掟を破り甲賀甚左衛門の娘・結香(小川知子
と契りを交わしている『ロミオとジュリエット』『バジリスク甲賀忍法帖~』状態。
そこに新三郎に片思いしているせいで何かと強く当たる
伊賀組の小猿(三島ゆり子)が絡む。
んで、鉄砲・火薬の隠し場所を再度探るため、
新三郎は小猿にくノ一なんで女として田辺城に潜入し、
留守居役の青木左衛門?(遠藤辰雄)を誑かすように言うんすが、
小猿は新三郎と二人きりになると「好きな男の手で女にしてほしい」
とか心の内を打ち明けるんすが、
新三郎は「小猿のことは好きだけど、男と女の好きではない。妹のように思ってる」
みたいなこと言って抱きしめるだけなんすが、
それで決心がついた小猿は、死んだ城兵の囲い者のふりをして留守居役に近づくっす。
小猿「ご無体な
留守居役「よいではないか」
小猿「お待ちくださいっ」
留守居役「生娘でもあるまいに」
って感じに小猿は留守居役に犯されるんすが、
色里出身っていう設定だったのに処女だったんで正体がバレるっす。
伊賀では『鬼輪番』の性的な忍の術みたいなのは習得しないみたいで、
新三郎が小猿を抱かなかったことが裏目に出て小猿は切られるんすが、
死ぬ前に囚われている服部半蔵に隠し場所を伝える。
服部半蔵は紙に小便であぶり出しの図面を作り守り袋に入れ、
半蔵から新三郎の居場所を教えてもらおうと
大原三右衛門の手引きでやって来た結香に守り袋を渡す。
んで、まぁ色々あって、
服部半蔵甲賀甚左衛門が一騎打ちしてなんとか勝ち、
鉄砲・火薬の隠し場所の墨館を爆破!
新三郎と結香は結ばれ二人は去り、
半蔵は一人、松平伊豆守を出迎えて終わり。
安定した時代になったんで、伊賀と甲賀の両方とも滅んでいく……。

新三郎と結香の逢引の場面や、新三郎と小猿が抱き合う場面や、
小猿が留守居役に手籠めにされる場面とかの男女の絡みがある場面は、
なんかATGや官能映画みたい。
他の作品でもたまに見かけたと思うんすが、
伊賀組の中に丹波哲郎を若くしたような役者がいるんすが誰か不明。


■題名:忍びの衆

監督:森 一生

撮影:森田 富士郎

音楽:鏑木 創

出演:
松方 弘樹
峰岸 隆之介 (峰岸 徹)
本郷 功次郎
安田 道代 (大楠 道代)
南美川 洋子
藤村 志保
内田 朝雄
伊達 三郎 (伊達 岳志)

発表年:1970年

製作国:日本

評価:保留

■雑記:
二年くらい前に観たんすが内容を全然憶えてないっす。
松方弘樹東映から大映へレンタル移籍して
早世した市川雷蔵の後釜で『眠狂四郎』シリーズや、
『忍びの者』シリーズに出演してた頃の作品。
市川雷蔵松方弘樹では弥生系と縄文系、
しょうゆ顔とソース顔くらいの違いがあるんで無理があるかな。