数寄なモノ目次録

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その363 黒沢清の降霊

私は十代の頃まではホラー映画が好きだったんすが、
二十歳以降くらいから、自分から積極的にはホラー映画を観なくなったかな。
何故ならホラー映画は恐いから……。
観ると影響されて、夜中にトイレに行き辛くなるし、一人でいると不安になるし、
普段何も考えずに生活しているのが、ちょっとした物音や暗がりに敏感になるし、
ホラー映画を観た後の何日かは寝ると悪夢見ることが多いような気がするし。
なんすが、歳取って感受性が衰えたせいか、
この頃は昔に比べてホラー映画を観てもそんなに恐くなくなったっす。
昼間(太陽が出ている内)に観れば全然大丈夫っす。

去年、「好きなもの目録」で中田秀夫監督の『リング』を取り上げようと思って
関連する作品をけっこう観たんすが、
メモとか取らなくて時間が経ったら内容がうろ覚えになったんで止めたんすが、
『リング』関連のホラー映画を観てた流れで、
まだ観たことがなかった2000年前後の
邦画のホラー映画やサスペンス映画を何本か観たっす。
落合正幸監督の『催眠』『感染』、鶴田法男監督の『予言』、
及川中監督の『富江』、飯田譲治監督の『アナザヘヴン』、
長崎俊一監督の『死国』、原田眞人監督の『狗神』、下山天監督の『弟切草』、
金子修介監督の『クロスファイア』などなんすが、
どれも、まぁまぁ面白かったんすが、
その中で特に、恐くて面白かったのが
黒沢清監督の『降霊』だったので目録に。

前にも書いたんすが、
私が邦画を観始めるきっかけの作品の何本かの内の一本が
黒沢清監督の『CURE』だったんすよ。
今までで黒沢清監督の映画やオリジナルビデオやドラマを25作品以上観たんすが、
黒沢清監督の作品って何か不穏な雰囲気が漂う感じで良いんすが、
物語の最初の方は丁寧に世界観を作っているのに、
最後の方はぞんざいでよくわからない終わりっていうか、
最近は最初から最後まで
詳しく説明しないと内容が理解出来ないって人が多いみたいっすが、
黒沢清監督の作品は説明不足だったり場面が飛んだりでわかり辛いこともあり、
雰囲気だけで、よく考えると物語がそれほど面白くない……と感じ、
他の監督の邦画もけっこう観たこともあり、
黒沢清監督は私の好みとは違うことがわかり、今はそれほど興味が無いです。


標題:幽霊に会いたいですか? 黒沢清の降霊

分類:テレビ / 映画>ドラマ / 邦画>ホラー

■題名:降霊 (降霊 ウシロヲミルナ / 降霊 KOUREI)

監督・脚本:黒沢 清

脚本:大石 哲也

音楽:ゲイリー 芦屋

出演:
役所 広司
風吹 ジュン
草彅 剛
岸部 一徳
きたろう
大杉 漣
哀川 翔
石田 ひかり
井上 肇
清水 大敬
戸田 昌宏

発表年:1999年(2001年)

製作国:日本

評価:B ★★★◎以上

■内容・雑記:
真面目な音響技師の佐藤克彦(役所広司)と
専業主婦の純子(風吹ジュン)の仲の良い夫婦。
純子は外に出ようとファミレスで働き始めるが、
霊能力があるため意識せず霊が見えてしまい仕事を辞めてしまう。
克彦は素材の自然音を録音するため樹海に出かける。
そこで偶然、誘拐犯から逃げ出した少女が
克彦のトランクの中に隠れてしまう。
それに気付かず鍵を閉め家に帰りそのままにしていた。
心霊現象に興味がある知り合いの大学生・早坂(草彅剛)に
少女の霊視を頼まれた純子だが気が進まない。
純子がふと家に持ち帰った少女のハンカチに触れると、
行方不明の少女が近くにいることを感じ驚く。
誘拐犯は逃走中の事故で意識不明で、
佐藤夫婦が少女をどうやって発見したか上手く説明出来ない状況。
(自分達が犯人の協力者だと疑われる)
夫婦は警察や病院に連絡をせず、少女の発見を利用し
純子が霊能力者として成功することを画策するが……。

マーク・マクシェーンの『雨の午後の降霊術』が原作みたいっす。
テレビドラマで後で映画公開もされたみたいっすが、
黒沢清監督のドラマだからか出演者が豪華かな。
佐藤夫婦は、いいことがあるのを信じて代わり映えのしない生活を送っているんすが、
純子はファミレスじゃなくミスタードーナツで働けばいいことがあったかも。うそ
克彦も純子に感化されたのか、自身が関係しているからか、
自然と少女の幽霊が見えるようになるし、物理的攻撃で撃退しようとするし。
克彦が自分のドッペルゲンガーを燃やす面白い場面があるんすが、
役所広司は『ドッペルゲンガー』にも出演してるなぁ。
15年以上前に観て内容をまったく憶えていないけど、
途中まではサスペンスでけっこう面白いのに、
監督が厭きたのか途中からコメディっぽくなって残念な作品だった印象しかない。

『降霊』は、とにかく幽霊の見え方がリアルというか秀逸!
1990年代の後半くらいに映画好きの先輩から黒沢清を進められたんすが、
その先輩が確か
『映画はおそろしい ホラー映画ベスト・オブ・ベスト DVD-BOX』を買って、
『生血を吸う女 - ジョルジョ・フェローニ』
『回転 - ジャック・クレイトン
『白い肌に狂う鞭 - マリオ・バーヴァ』
の3作品を観せてくれたんすよ。もうまったく内容を憶えてないけど。
黒沢清監督は『回転』に影響を受けたみたいなんすが、
『降霊』は『回転』みたいな幽霊の見え方かな。

んで、『降霊』と同じ頃の幽霊が登場する
黒沢清監督の『回路』を15年以上ぶりに観返してみたんすが、
昔観た時は、幽霊がゆっくり近づいてくる場面とか恐かった印象なんすが、
全然面白くない……。


分類:映画>邦画>ホラー

■題名:回路

監督・脚本:黒沢 清

音楽:羽毛田 丈史

出演:
加藤 晴彦
小雪
武田 真治
麻生 久美子
有坂 来瞳
松尾 政寿
役所 広司
風吹 ジュン
哀川 翔
菅田 俊
水橋 研二
塩野谷 正幸
長谷川 憲司

発表年:2000年

製作国:日本

評価:C ★★○

■雑記:
なんか霊界は幽霊で溢れていて、
あの世とこの世を繋ぐ回路が開かれて幽霊がこっちにどんどんやってくる話みたい。
どんどん人々が消えていくんすが、電気とかのインフラは幽霊が補っているみたい。うそ

女の人が飛び降りる場面とか、
影のような幽霊とか開かずの間とか面白いところもあるんすが、
何か大変なことが起こっている雰囲気だけって感じ。
ネットの先で繋がっている相手が人間かどうか確かめようがないし、
AIが当たり前の世の中なんで、幽霊と繋がってもおかしくないかも……。

暗闇や影や鏡やテレビやパソコンや携帯などから幽霊が現れるのかな?
それとも、人間自身の幻覚や幻聴、脳の勘違いや病気なのか……。知らん

『DOOR III』の製作後、黒沢清小中千昭で企画した脚本・設定が
『回路』や『serial experiments lain
に反映しているとかいないとか……どっちやねん。

 

■題名:DOOR III

監督:黒沢 清

脚本:小中 千昭

音楽:
TORSTEN RASCH
トルステン・ラッシュ

出演:
田中 美奈子
中沢 昭泰
天宮 良
真弓 倫子
前沢 保美
諏訪 太朗
長谷川 初範
大杉 漣

発表年:1996年

製作国:日本

評価:C ★★☆くらい

■内容・雑記:
佐々木京(田中美奈子 ※京=みやこ)は若くて美人の保険外交員で、
同業他社のライバル・井岡礼子(真弓倫子)など
他の女性外交員が契約を取るため枕営業も辞さない中、
京は女の武器を使わず男性を魅了し契約を取っていた。
特別営業主任を目指す京だったがスランプ気味で契約が目標に達せず困っていたが、
別れた元不倫相手の近江克彦(天宮良)に新規の会社を教えてもらい営業に出向く。
そこで「サイテックシステム」の若くして部長の藤原美鶴(中沢昭泰)と
京は出会い不思議な魅力に惹かれる。
京は藤原と出会ってから不気味な女性の影に悩まされ、
藤原の病弱だという妻を疑い調べると、
藤原の妻や両親は既に亡くなり多額の保険金がおりていることが判明。
京は旧知の保険調査員・阿部雅夫(諏訪太朗)に相談するが、
藤原の家を訪ねた阿部は心神喪失状態になり車に飛び込み死ぬ。
生前の阿部が寄生虫を研究する吉川忠明(長谷川初範)と接触していたことを知り、
京は吉川を訪ね珍しい寄生虫の話を聞き、
藤原が女を虜にするフェロモンを発する寄生虫の宿主で、
繁殖するため同じ寄生虫の女性の宿主を探していることを知る。

ネタバレなんすが、
藤原のフェロモンが京にだけ効き目が弱いんすが、
元々なのか京もフェロモンを出す寄生虫の宿主だったってオチ。
だから枕営業をしなくても男性から契約を取れたみたい。

高橋伴明監督の『DOOR』『DOOR II』シリーズ第三弾みたいですが
象徴的な扉が出てくる以外は関係ないみたいです。
諸星大二郎の「不安の立像」みたいな怪しく佇む人影や、
ぼんやりとした影みたいな幽霊?やゾンビ?の様な女性がゆっくり近づいて来たり、
大林宣彦の『ハウス』の江馬涼子(鰐淵晴子)に吹く妖艶な微風とは真逆の不穏な微風、
半透明なカーテンに透ける影、歩き回って椅子に座る、
など黒沢清演出の特徴がこの頃にもう観れる。