数寄なモノ目次録

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その413 三木孝浩の闇の伴走者

わたしには正義がある
しかし、その正義はけして世間で
許されるものではない
by 山上徹……じゃなくて一峰馨

浦沢直樹と組んでいたりして知られる
漫画編集者、漫画原作者、小説家などの長崎尚志・原作の
ドラマ『闇の伴走者』が、
漫画出版業界や漫画家やアシスタントなどを題材にしたミステリーで、
私は漫画(古い漫画)が好きなんで興味深いっす。
監督の三木孝浩は恋愛映画の名手として知られていると思うんすが、
私は三木監督の恋愛映画より
サスペンスドラマの『闇の伴走者』の方が好み。


標題:三木孝浩と古田新太松下奈緒の闇の伴走者

分類:テレビ>ドラマ>サスペンス

■題名:
闇の伴走者
闇の伴走者~編集長の条件

監督:三木 孝浩

原作:長崎 尚志

脚本:
佐藤 大 (※『闇の伴走者』)
阿相 クミコ

音楽:GRANDFUNK INC.

出演:
松下 奈緒
古田 新太
森本 レオ
温水 洋一
野間口 徹
吉沢 梨絵
真野 響子
前野 朋哉

(※下記『闇の伴走者』)
要 潤
田中 哲司
平田 満
タモト 清嵐
ベンガル
モロ 師岡
石丸 謙二郎
池田 鉄洋
藤井 美菜
斎藤 洋介
森下 能幸
藤田 弓子
奥村 佳恵
あのん

(※下記『闇の伴走者~編集長の条件』)
岩松 了
津田 寛治
白石 隼也
今野 浩喜 (※お笑い芸人 元キングオブコメディ
小宮 浩信 (※お笑い芸人 三四郎
水橋 研二
金井 勇太
田鍋 謙一郎
平泉 成
阿部 翔平
橋爪 淳
橋本 じゅん
阪田 マサノブ
内田 慈
田中 泯
あがた 森魚
八木 亜希子
片岡 礼子

発表年:
2015年
2018年

製作国:日本

評価:
B ★★★△
C ★★△

■内容・雑記:
ネタバレだらけっす。

『闇の伴走者』
水野優希(松下奈緒)は、元警察官で今は出版関係専門の調査員をしている。
別れた夫の寺田幹男(野間口徹)とは離婚調停中。
死去した有名漫画家・阿島文哉(ベンガル)の全集を出版しようと遺稿を整理していた
アジマプロ社長で阿島の妻・淑子(真野響子)と
アジマプロライツ部部長の小澤幸秀(要潤)は
阿島の未発表作品と思われる画稿を発見するが、
内容が気持ち悪く酷いリアルな連続殺人鬼の話で困惑する。
35年程前、板橋区で4人の若い女性が神隠しになった
未解決事件の記事が画稿の隣に置いてあり、
その事件との関連や画稿が阿島の直筆なのか水野が調査することになる。
水野は漫画に詳しい編集者・醍醐真司(古田新太)を紹介してもらい、
阿島文哉の未発表の漫画に興味を持った醍醐と共に調査することに。

謎の未発表作品は、
手塚治虫の「ペーター・キュルテンの記録」とかに影響を受けた
連続殺人鬼の漫画家の話なんすが、
画風は1970年代の阿島文哉がミステリーを描いていた頃のダークな絵柄で
1985年前後に描かれた阿島より絵が上手い漫画って設定なんすが、
1985年前後に描かれた漫画(劇画)にしては古臭いっす。
その頃の青年漫画大友克洋の影響が凄かったし、
阿島文哉は、手塚治虫石ノ森章太郎ジョージ秋山
とかがモデルなのか、その系統の1980年代では古臭い画風。
『闇の伴走者』の世界では、
手塚治虫石ノ森章太郎藤子不二雄白土三平楳図かずお
桑田二郎久松文雄、などが巨匠や有名な漫画家として存在していて、
阿島文哉は上記の漫画家に並ぶかちょっと下くらいの位置付けみたい。
謎の未発表作品のタイトルが不明なんすが、
絵が上手いけど構成力が無く話し(筋)がつまらないと
醍醐に散々に貶されるっす。伏線ですが。
醍醐によると、巨匠の中で本当に筋があるのは、
手塚治虫白土三平藤子不二雄楳図かずおの四人らしいんすが、
私的には、手塚治虫を外して山岸凉子諸星大二郎を入れるな。

んで、未発表作品に影響された小澤が
作品の登場人物の漫画家さんの貝原章彦(平田満)に接触して、
女性(藤井美菜)の監禁をさせるんすが、
小澤は阿島文哉のファンからファンクラブ会長になり
漫画の編集者になりたくて出版社を受けるが落ち、
アジマプロに拾って貰ったんで漫画マニアだけど
編集者としての能力は無く、
未発表作品の画稿の順番がバラバラだと思い込み、
ノンブル(ページ番号)を勝手に入れ替えていたってオチ。
ある巨匠がアシスタントに述べた言葉
「君の漫画は時系列通りに描きすぎている。だから面白くない。
漫画というのは、過去、現在、未来、順番に描かないから面白いんです」
ってなことで、
ノンブルを元に戻したら未発表作品は傑作だったというオチなんすが、
小澤は貝原からすると編集者(伴走者)として失格なんで始末され、
突然死した小澤のことを調査するため
小澤が住んでいたアジマプロ社宅を訪れた水野を貝原が拉致監禁
貝原は小学生の頃、「べんりやロボくん」ってな漫画を描いてて、
それを読んだ三つ年上の黒髪が美しい少女(あのん)が最初に褒めてくれて、
絶対漫画家になれるよって貝原を応援してくれる天使だったけど、
ある日、その天使が不良数人にイタズラされ
悦びの声を上げているのを目撃した貝原の性癖が歪み、
少女と貝原は練炭自殺を計り貝原だけが生き残るんすが、
少女が死ぬ直前の生から死への美しい顔に魅せられて、
それを再現しようと大人になり連続女性誘拐監禁殺人をしてたんすが、
貝原の漫画のファンで編集者(伴走者)になる少年が現われ、
彼に諭されて犯罪を止めたっす。
まぁ、その少年ってのが……
大人になって漫画編集者になる一峰馨(田中哲司)っす。
出演者に田中哲司がいると真犯人だろうなぁ。ってフラグが立つっす。

J・D・サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』が好きな少年の一峰馨が、
漫画家さん(貝原章彦の若い頃役:タモト清嵐)と出会った頃、
一峰の母親が日本リベルテ教会の辰巳晶子(奥村佳恵)という
インチキ宗教の教祖に全財産を献金して死ぬんすが、
復讐に燃える一峰少年に代わり漫画家さんが辰巳晶子を殺したっす。
その後、漫画家さんは自分の理解者(運命共同体)がいるんで連続殺人を止めたんすが、
神に罪を問う法則により、事件のことを漫画に描いて
漫画編集者になった一峰に見せ助言を貰い手直しして、
前半の画稿を貝原、後半の画稿を一峰が預かることにして、
貝原が神に審判を委ねるため画稿をアジマプロに置いたっす。
一峰は貝原から水野を助けるし、
貝原は一峰に諭されて自殺したみたいで、
一峰自身は教唆くらいで殺人には直接関わっていないけど
「超人の定義」
その一、恐怖を克服する。
その二、感動を得られるように常に感覚を研ぎ澄ます。
その三、裏切りを恐れない。凡人は必ず裏切るから。
その四、ほめ言葉や賞賛に動じない。賞賛は、いじめや悪意以上に人を滅ぼす。
その五、自分の行いに対価を求めない。
その六、いじめや批判に動じない。むしろ――(不明)。
その七、敵を作ることを恐れない。
その八、常にビジョンを見て、神を認識する。
その九、人はいつか死ぬ。だから死を恐れない。
その十、人を殺しても平気でいられる強い精神を持つこと。
――とか書いて、自分を厳しく律っしていたので最後自殺するっす。
『トラック野郎』の桃さんみたいに、
「教育者としての心得」
その一、トルコには行かぬこと
その二、みだりに放屁立小便をしないこと
――くらいの緩い方が辛い世の中を渡っていけるっす。うそ

一峰馨は宗教2世なんすが、長崎尚志が関わった作品
20世紀少年』『キャラクター』など
カルト宗教やカルト2世(宗教2世)が題材で出てくるなぁ。

貝原の描いた阿島文哉の画風の未発表作品は内容的に、
手塚治虫の『アラバスター』『ガラスの城の記録』『奇子』『ばるぼら
『鉄の旋律』「ペーター・キュルテンの記録」など
ブラック・ジャック』で再ブレイクする直前頃の
暗い作品をモデルにしていると思うんだけど、
漫画を描いたのは田中圭一で、
貝原が代筆した恐怖漫画「マンチュリアン・クラッチ」の
作者・斑目虹太はモデルは楳図かずおとか日野日出志だと思うけど、
漫画を描いたのは伊藤潤二です。
貝原が水野を拉致監禁するんすが、
別れた夫・寺田がストーカーしていたお陰で助かるっていう、
ストロベリーナイト』で
井岡が姫川玲子をストーカーしてたお陰で助かるのと似てる。


貝原は絵が凄く上手くて有名漫画家の画風の漫画(画稿)を
本人以上に上手く描けるって設定なんすが、
私は昔から、パソコン(AI)などに、
もしも好きな漫画家やイラストレーターなど(任意)の絵で
話は面白いのに絵が下手な漫画をリメイクしたら、
もしも1978年頃の鴨川つばめで『マカロニほうれん荘』の
第1話から描き直して『マカロニ2』以降も量産したら、
もしも『未来少年コナン』『ルパン三世 カリオストロの城』の頃の
宮崎駿で『宮崎駿イメージボード集』などのアニメ化したら、
もしも今敏が生きていて作品を量産したら、
もしも葛飾北斎の『百物語』の5作品以外があったら、
もしも山中貞雄の消失した作品を復元したり山中貞雄が戦死しないで作品を量産したら、
もしもヴァンゲリスがイエスに入って
『危機』『リレイヤー』みたいなアルバムを作ったら、
もしもキング・クリムゾンのデビュー前から1970年代のリハーサルやライブ全部を
高性能な録音・録画した作品があったら、
――などなどと入力すると、その作品が生成されたり
3Dプリンターでフィギュアなど造形物が出来るってのを夢見てたんすが、
最近は、AI画像生成ツールで
素人でも絵が作れる世の中になってるみたいで凄いというか恐ろしいっす……。
有名なキャラや他人の著作物を勝手に同人や成人向けに改造出来るっす……。
(個人で楽しむ分には問題ないのか?)
これからオリジナルと贋物の境が曖昧になるのかなぁ。

 

<登場人物>
水野 優希(松下 奈緒):
元警察官で今は出版関係専門の調査員をしているが
水木しげるの妻なのに(嘘っす、それは『ゲゲゲの女房』だろ)
漫画に疎く『ONE PIECE』も知らなかった。(後で読むけど)
連続女性誘拐監禁殺人事件の犯人・貝原に拉致監禁されたトラウマからか
『闇の伴走者』でロングヘアの黒髪を
『闇の伴走者~編集長の条件』ではショートヘアにしている。
父も警察官だったが汚職の疑いから事故死したことを不審に思い、
「伝説の落とし屋」に始末されたのではと疑う。
母・和江(藤田弓子)は認知症で優希の姉(吉沢梨絵)が介護していたが
『編集長の条件』では亡くなっている。

醍醐 真司(古田 新太):
大手漫画雑誌の敏腕編集者だったが辞めてフリーランス
漫画や編集、その他の雑学など薀蓄が豊富だが変人。
食べ物や飲み物に煩い(拘りがある)食通だが、
高級で珍しいモノや自然食品などを有り難がる海原雄山的なことはなく、
庶民的な食べ物やジャンクフードを愛する。
「必要無いものこそ世の中に必要なんじゃないかな。
漫画だって音楽だって映画だって、テレビドラマだってお菓子だって、
無くても生きていけるよ。
けど、人生の楽しみはそこにあるんじゃないかな」
「もし、人の命を救って、その人の人生を変えたなら
もしかしたら歴史だって変わるかもしれないだろ」
ブラック・ジャック』「193話 ある老婆の思い出」
を引用して自分を奮い立たせ水野を助けに行くなど実行力がある。
『編集長の条件』では『漫画ブレイブ』の編集長になる。

 

『闇の伴走者~編集長の条件』
『漫画ブレイブ』の編集長で、
伝説の漫画編集者・南部正春(岩松了)が転落死し、
後任の編集長に醍醐が迎えられる。
同じ頃、水野はアジマプロから、
行方不明だった阿島文哉の貸本漫画『紅忍者』第31話の画稿が見つかり寄贈されたが、
寄贈した人が亡くなり画稿の出所を調査してほしいとの依頼を受ける。
画稿を寄贈したのは南部だった……。

『闇の重版出来!』って感じの話かな。
絶対に勝てる大人向け漫画誌のノウハウは水色だとか。
ブルーカラーとホワイトカラー(労働者)の境目が無くなった時代という意味で、
水色読者に向けて、彼らを元気にし、鼓舞するというコンセプト。
日本をもう一回見直そう、愛そうというメッセージもある)
戦後の未解決事件・下山事件は自殺なのか他殺なのか?
伝説の落とし屋、幻の漫画家発見、漫画関係の故買屋、
などなど面白そうなネタ(要素)がいっぱいなのに……あまり面白くないっす。

「漫画の存在意義は
強気を挫いて弱きを助ける(弱い者の味方)」と
醍醐は会社の暗部を隠蔽しリストラを敢行する
出版社社長・小城利勝(平泉成)に反旗を翻すんすが、
嫌な人間に思えた南部も
「編集長として一番大事なのは部数を上げることじゃない。
部下を幸せにすること」って考えで、
リストラされる契約編集者のために仕事場を用意してたってオチ。

幻の漫画家・校条啓蔵(田中泯)が
紙芝居作家から貸本漫画家に転身するときに参考にしたのが
手塚治虫の『新宝島(新寳島)』なんすが、
校条の描いた貸本漫画『日本残酷猟奇事件』は白土三平の画風。
国鉄総裁失踪『下山事件』の紙芝居って渋すぎるような……、
観てる子供達は困惑してるっす。『津山三十人殺し』の紙芝居もあったとか。
『闇の伴走者』では
手塚治虫の「ペーター・キュルテンの記録」をモチーフにしてたんすが、
『編集長の条件』では『奇子』をモチーフにしてる。
『漫画ブレイブ』のアルバイト・伊東昇太(白石隼也)が
ONE PIECE』を愛しているので台詞の引用などがある。
子連れ狼』の小島剛夕の名前が出てくるんすが、
私も「ごうせき」じゃなく「ごうゆう」って読んでました。
ドラマの劇中で使われる漫画は
田中圭一(『紅忍者』とか阿島のとかだと思う)、
森秀樹(『日本残酷猟奇事件』とか校条の描いた紙芝居の絵とかだと思う)、
『漫画ブレイブ』で連載されている
『パシリ刑事(ポリス)』を平松伸二、あと土山しげるが描いている。
松下奈緒がイヤミの「シェー」をする。
建設中の東京オリンピックスタジアム(国立競技場)が見れる。

「一番クソな漫画は『パシリ刑事』、『パシリ馬鹿』だ」
とバカにして挙手注目の敬礼をした南部を、
『パシリ刑事』を立ち上げた前編集者・堀尾智(津田寛治)が
伝説の落とし屋みたいに突き落としたんすが、
死者になった南部が堀尾の肩を後ろから叩いて
「こちらの世界へようこそ」って言う最後。
(うそっす、それは『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』っす)