サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その311 石井輝男のならず者

石井輝男監督の『ならず者』を観直したっす。
エキセントリックな作品が多いイメージの石井輝男作品の中では
あまり奇をてらってない正統派な作品なんですが、なんか好きなんすよね。
今年はヘンリー・マンシーニの生誕100周年なんすが、
『ならず者』で冬のリヴィエラ……じゃなくて、
クラブ・リヴィエラのダンス場面で「ピーター・ガンのテーマ」っぽい曲が流れてた。
1月に「新東宝【公式】チャンネル」でやってた石井輝男監督のデビュー作
『リングの王者 栄光の世界』を観たんすが(もう内容を殆ど忘れてるけど)
凄い正統派な作品で驚いたんすよね。
んで、『ギャング対ギャング』ってのも観たんすが、
これも三田佳子が可愛くてけっこう面白かったんすが、
同じ鶴田浩二主演で公開年も近い
『人生劇場 続飛車角 - 沢島 忠』を「東映シアターオンライン」で視聴したんすが、
これと比べると監督の演出が全然違っていて面白い。
『人生劇場 続飛車角』は鶴田浩二が出所(登場)するまでの前フリが長いのに、
『ギャング対ギャング』は鶴田浩二がすぐ出所してすぐ襲撃されるんすよ。
石井輝男監督ってスタイリッシュでスピーディーだなと改めて思う。
後年には粗が目立つようになるけど。


石井輝男監督の映画をこれまで30作品くらい観たんすが、
カルト映画で有名な
『徳川女系図
江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間
『直撃! 地獄拳 大逆転』
なんかのイメージでキワモノやゲテモノ映画を撮る監督だと思ってたっす。
東宝時代や「異常性愛路線」前の東映作品を観ると
スタイリッシュでスピーディーな、まだまとも(普通)な映画を撮ってる……かな?
『ならず者』『御金蔵破り』『網走番外地』シリーズの頃も面白いし。

在りし日の香港とマカオを偲んで『ならず者』を目録に。


標題:石井輝男のフィルムノワール

分類:映画>邦画>ピカレスク

■題名:ならず者

監督:石井 輝男

音楽:八木 正生

出演:
高倉 健
丹波 哲郎
南田 洋子
三原 葉子
加賀 まりこ
杉浦 直樹
安部 徹
江原 真二郎
今井 健二
鹿内 孝
高城 丈二
高見 理紗
赤木 春恵

発表年:1964年

製作国:日本

評価:A ★★★★○~B ★★★★くらい

■内容・雑記:
殺し屋の南条(高倉健)は、日本から香港に仕事(殺し)で呼ばれる。
無事仕事を片付けホテルに戻ると、部屋には女の死体が……
そして外からパトカーのサイレンが迫る。
依頼主に嵌められたのだっ!
悪党だと思い殺した男は香港の風紀取締り長官で、
死体の女はその娘だという。
阿漕な殺しをしない信条の南条は自分を騙した依頼主に復讐を誓う。
逃走中に偶然、麻薬を手に入れた南条に明蘭(三原葉子)が近づき
ボスの蒋(丹波哲郎)と引き合わせる。
南条は麻薬を安ホテルのメイド小紅(高見理紗)に預け、
ブツと交換に情報を教える条件だったが、
間に入った明蘭がブツを持ち逃げ小紅は死ぬ。
それを知らず南条は依頼主の毛(安部徹)を追って横浜へ。
マリ(加賀まりこ)から売春組織のことを聞き出し、
毛を追ってまた香港に戻る南条。
そこで小紅が死んだことを知り、
その怒りをホテルの強欲マダム(赤木春恵)に八つ当たり。
売春組織を追ってマカオに向かった南条はカジノで情報を仕入れ、
偶然、仕事でマカオに来ていた蒋に会う。
南条がブツを持ち逃げし明蘭をかどわかしたと思い込んでいる蒋だったが
拳と拳で語り合うことにより誤解が解け明蘭の裏切りを知る。
二人は再会を約束し、南条は毛を捜しに、蒋は明蘭を始末しに行く。
南条を付回す捜査官の広上(杉浦直樹)をまくため偶然逃げ込んだアパートの部屋に
小紅の友人・秋子(南田洋子)がいた。
秋子は売春組織によって横浜から香港、マカオへと連れてこられたのだ。
病んで日本で死にたいという秋子を助け、
日本に連れ帰る約束をした南条は
毛に復讐するため警官が待ち伏せる街に向かう。

南条は『修羅雪姫』みたいに刑務所産まれで、
昼間っから女がベッドで寝ているのを見ると蕁麻疹がでる殺し屋。
蒋が裏切った明蘭を
ショパンの『ピアノソナタ第2番 変ロ短調 作品35 第3楽章「葬送」』
を銃身で鍵盤を弾きながら殺す場面がカッコイイ!
最後、港で南条を待つ秋子の横を
刺されて瀕死の南条を乗せたパトカーが通り過ぎるのが切ない。
秋子役の南田洋子が、(他の作品に出演している時より)なんか艶かしい。
当時の香港やマカオの名所だけではなく裏通りやスラム街が観れる。
逆に横浜は景観が一場面くらいで、あとは室内中心。

『ならず者』は新東宝の「地帯(ライン)シリーズ」などの集大成って感じ。
『女体棧橋』での、東京発香港ルートの国際買春組織。
『黒線地帯』での、
ホテルに見知らぬ女がベッドで死んでいて罠に嵌められる。
『黄線地帯 イエローライン』での、
極悪人だという男を殺すが実は神戸税関長(役人)で
報酬の代わりにパトカーを遣され嵌められる殺し屋。
ホテルのマダムががめつい。
逃げるのに女が一緒だと役に立つ。
――など設定が似ている。

ジョン・ウーも若い頃に『ならず者』を観て影響を受けたみたいっす。
『東京ギャング対香港ギャング』は観た事ないんすけど、
同じ香港を舞台にした『神火101 殺しの用心棒』を数年前に観たんすが、
駄作だったというイメージだけでほとんど記憶にない。

気になるもの目録 LA BELLE EPOQUE (EMI'S FRENCH GIRLS 1965-1968)

EMIフランスのフレンチ・ガール・ポップのコンピレーション・アルバム。
CHRISTIE LAUME が気に入ったので。


標題:フレンチ・ポップスのイェイェ・ガールのベル・エポック

分類:音楽>洋楽>シャンソン / ポップス

■題名:LA BELLE EPOQUE (EMI'S FRENCH GIRLS 1965-1968)

名前:VARIOUS ARTISTS
MICHELE ARNAUD
LES ROCHE MARTIN
LIZ BRADY
ANNE KERN
CHRISTIE LAUME
SANDIE SHAW
RIA BARTOK
ALICE DONA

録音年:1965年~1967年?

製作国:フランス

評価:保留

■曲目:
01. LES PAPILLONS NOIRS - MICHELE ARNAUD (WITH SERGE GAINSBOURG)
02. LES MAINS DANS LES POCHES - LES ROCHE MARTIN
03. PARTIE DE DAMES - LIZ BRADY
04. SANS AVOIR RIEN DONNE - ANNE KERN
05. L'ADORABLE FEMME DES NEIGES - CHRISTIE LAUME
06. RIEN N'EST FINI (GUARDO TE CHE TE NE VAI) - SANDIE SHAW
07. ECOUTE MON COEUR - RIA BARTOK
08. TU AS PEUR DE BRUIT - LES ROCHE MARTIN
09. TANT PIS, TANT PIS ENTRE DONC (COME ON IN) - ANNE KERN
10. LES TROIS COULEURS DE L'AMOUR - ALICE DONA
11. BAS LES PATTES (HAND'S OFF) - LIZ BRADY
12. AGATHE OU CHRISTIE - CHRISTIE LAUME
13. AMUSE-TOI BIEN - ALICE DONA
14. LA MUSIQUE ET LA DANSE - CHRISTIE LAUME
15. TU TE MOQUES DE MOI (I DON'T WANNA LEAVE YOU) - RIA BARTOK
16. OH! SEIGNEUR, ECOUTE MA PRIERE (THE ANSWER TO MY PRAYER) - ANNE KERN
17. C'EST TOI QUI A GACHE NOTRE VIE - LES ROCHE MARTIN
18. A TROP REPETER BIEN - ALICE DONA
19. J'Y PENSE TOUT BAS - RIA BARTOK
20. ROUGE ROUGE - CHRISTIE LAUME

■雑記:
「LES PAPILLONS NOIRS」は、
ミッシェル・アルノーとセルジュ・ゲンスブールのデュエット。

LES ROCHE MARTIN は、
FRANCOIS BERNHEIM と VERONIQUE SANSON と VIOLAINE SANSON の男女三人組。

LIZ BRADY は、
エジプト生まれのフランス人歌手でカナダでも活動していたみたい。

ANNE KERN は、
歌手になる夢を追いかけて銀行勤めを辞めたみたいっす。

CHRISTIE LAUME は、
エディット・ピアフの二人目の夫テオ・サラポの妹。

サンディ・ショウは、
ニックネームが裸足の女王のイギリス人。

RIA BARTOK は、
ドイツ生まれのオペラ歌手の娘。タバコの不始末による火事で27歳の若さで死去。
ドイツ語でも歌っているみたい。

ALICE DONA は、
シンガーソングライターで、クロード・フランソワシルヴィ・ヴァルタン、ダリダ、
などに曲を提供しているみたい。


『LA BELLE EPOQUE』の中では、
CHRISTIE LAUME の歌声が可愛くて元気があって好き。
CHRISTIE LAUME のどの曲も良いんすが、
「AGATHE OU CHRISTIE」が一番良いかな。
次に好きなのが RIA BARTOK かな。なんか甘ったるい。
LIZ BRADY も良いかな。
LES ROCHE MARTIN の「TU AS PEUR DE BRUIT」もなんか良い。

 

■題名:SIXTIES GIRLS VOL.3

名前:VARIOUS ARTISTS
LES ROCHE MARTIN
LIZ BRADY
CHRISTIE LAUME
ANNE KERN
RIA BARTOK

発表年:2001年

製作国:フランス

評価:保留

■曲目:
01. IL EST TEMPS DE PENSER A LA NEIGE - LES ROCHE MARTIN
02. TU AS PEUR DU BRUIT - LES ROCHE MARTIN
03. MARIA DE TUSHA - LES ROCHE MARTIN
04. POUR MA SYMPHONIE - LES ROCHE MARTIN
05. RIEN N'EST PERDU (WAIT A MINUTE) - LIZ BRADY
06. QU'EST-CE QUE TU FAIS ? (WHAT DO YOU DO ?) - LIZ BRADY
07. L'ETE EST LOIN - LIZ BRADY
08. JE NE PENSAIS PAS QUE C'ETAIT MOI - LIZ BRADY
09. PARTIE DE DAMES - LIZ BRADY
10. MONSIEUR QUELQU'UN (BYE BYE BLUE JEANS) - LIZ BRADY
11. ET C'EST BIEN MIEUX COMME CA - LIZ BRADY
12. BAS LES PATTES (HANDS OFF) - LIZ BRADY
13. LA MUSIQUE ET LA DANSE - CHRISTIE LAUME
14. UNE FILLE LIBRE - CHRISTIE LAUME
15. AGATHE OU CHRISTIE - CHRISTIE LAUME
16. L'ADORABLE FEMME DES NEIGES - CHRISTIE LAUME
17. ACHETE-MOI DES FLEURS (THE ICE CREAM MAN) - ANNE KERN
18. OH ! SEIGNEUR, ECOUTE MA PRIERE (THE ANSWER IN MY PRAYER) - ANNE KERN
19. SANS AVOIR RIEN DONNE - ANNE KERN
20. TANT PIS, TANT PIS, ENTRE DONC (COME ON IN) - ANNE KERN
21. ZU SCHADE DAFUR (SKA DOO DEE YAH) - RIA BARTOK
22. BIST DU WIRKLICH TREU, SONNY-BOY ? - RIA BARTOK

好きなもの目録 その322 今井正の仇討

最近、初めて観た映画が
『その場所に女ありて - 鈴木 英夫』
『サマー・ソルジャー - 勅使河原 宏』
『妖婆 - 今井 正』
とかなんすが……大丈夫かな?

『その場所に女ありて』は、
日本の1960年代の女性社員ってお茶汲みや雑用をして
結婚までの腰掛けってイメージだったんすが、
この映画の女性社員達は広告代理店ってこともあるのか
バリバリのキャリアウーマンなんで驚く。
イタリア映画っぽさをなんとなく感じるかな。

『サマー・ソルジャー』は、
軍を脱走した米兵が支援者の手引きなどで日本中を逃亡する話なんすが、
脱走米兵が身勝手だし映像にあまり面白味がないんで普通かな。
見所は小沢昭一黒柳徹子の夫妻の家に身を寄せた脱走米兵が
黒柳徹子に欲情して襲いかかる場面。
ドライブイン加藤武のトラック運転手が遣り手婆に女の手配を頼むのを観て、
『トラック野郎』の桃さんがやたらドライブインに行って、
ウェイトレスに惚れたり便所に行くのは売春の暗喩なんじゃないかと邪推する。うそ

んで、今井正監督の『妖婆』は、
大正時代に金山を持つ裕福な家の一人娘のお島(京マチ子)が結婚することになるんすが、
姉妹のように育った年上の従姉妹・さわ(稲野和子)が
何もかも自分より上のお島に嫉妬して
蝦蟇が御神体の婆裟羅大神に願い
お島と新郎の新三(江原真二郎)を破局させ奪い取る。
呪詛を祓うため行者(三国連太郎)のもとに行くがお島は陵辱されてしまう。
関東大震災により両親や財産を失ったお島は避難中に知り合った
井原(児玉清)と愛し合い妊娠するが、井原には妻と娘がおり、
死んだ井原の娘がお島に取り憑いて体調を崩し子を堕ろす。
時が流れて、評判の仕立て屋になったお島のもとにさわが訪ねてくる。
それからお島の体の具合がどんどん悪くなっていくのであった……。
いるよね、仲の良い、親友のふりして近づいて嵌めるヤツ。
大女優の京マチ子が主演で、名監督の今井正で、撮影が宮川一夫という豪華布陣の
オカルト、ホラー映画で京マチ子がヌードにもなってるんすが……なんとも。
男はつらいよ 寅次郎純情詩集』で京マチ子がマドンナをやった同年にこんな映画が……。
宮川一夫なんで映像は良いんすよ不気味で印象に残る場面もあるし。
演出が1970年代の洋画のオカルト、ホラー作品と比べると古臭くて、
1960年代の大映の怪談、お化け作品って感じ。
前に
『異母兄弟 - 家城 巳代治』『越後つついし親不知 - 今井 正』とか
救いの無い重い邦画を観てた時に書いた駄文が下記なんすが、
三國連太郎は名優って言われるんすが、
私は三國連太郎の演技が上手い(凄い)と思ったことがなかったんすが、
『異母兄弟』での戦前の家父長制の悪い部分の権化みたいな鬼頭範太郎や、
『越後つついし親不知』での狡猾で欲望に忠実な佐分権助とかの
嫌な男の演技は凄いかな。
『異母兄弟』での三國連太郎の小鉢の豆?の喰い方が、
美味しんぼ - 森崎 東』での煮豆の喰い方と同じで
昔から演技変わってないなぁ。と思ったり、
三國連太郎佐藤浩市は親子でそんなに似てると思ったことがなかったんすが、
『旅の重さ - 斎藤 耕一』の三國連太郎を観て、佐藤浩市っぽいと思ったり、
八甲田山 - 森谷 司郎』の山田正太郎少佐は家では
鬼頭範太郎みたいだったんだろうなぁ。と思う。
あと『異母兄弟』で中村嘉葎雄がこんな昔から映画に出てたんだ……と思ったっす。
同年公開の『喜びも悲しみも幾歳月 - 木下 惠介』は観たことあるんすが、
そーとー昔で、出演している中村嘉葎雄のことをよく知らなかったから。
――で、『妖婆』での三国連太郎の行者の演技も凄いっすよ。
北林谷栄の産婆から貰った観音様の数珠の方が婆裟羅大神より強い。
『その場所に女ありて』で
矢田律子(司葉子)の姉・実代(森光子)の年下のダメ亭主役が児玉清なんすが、
『妖婆』では正反対の誠実で頼りになる役をやってる。
なんか『妖婆』は『妖僧 - 衣笠 貞之助』とイメージが被るかな、
名優、名監督のちょっと変な晩年の作品って感じ。
関係ないけど、ちょっと前に「東映シアターオンライン」で
『サラリーマン一心太助 - 沢島 忠』を観たんすが、
中村嘉葎雄の兄・中村錦之助三田佳子が出演している
今井正監督の『仇討』を下記にお送りいたします。


今井正監督は名匠として名高いんすが、
私は作品を9本観たくらいかな。
『真昼の暗黒』『キクとイサム』『武士道残酷物語』
『越後つついし親不知』『不信のとき
とかが面白かったかな、詳しく憶えてないのですんません……。
『仇討』が代表作になるのか知りませんが、
コレが案外っていうか凄い面白いので目録に。


標題:今井正の仇討

分類:映画>邦画>時代劇

■題名:仇討

監督:今井 正

脚本:橋本 忍

音楽:黛 敏郎

出演:
中村 錦之助萬屋 錦之介)
田村 高廣
神山 繁
丹波 哲郎
石立 鉄男
加藤 嘉
三津田 健
三島 雅夫
田中 春男
信 欣三
進藤 英太郎
小沢 昭一
山本 麟一
常田 富士男
三田 佳子
佐々木 愛 (※1943年生まれの女優)

発表年:1964年

製作国:日本

評価:A ★★★★☆

■内容・雑記:
部屋住みで無役の江崎新八(中村錦之助)は、
曲がった事が大嫌いな直情型の性格。
新八が馬廻り役の武具手入れを手伝っていると、
上級武士の奥野孫太夫神山繁)が
槍の穂が曇っていると難癖をつけてるのを聞き、
ちょっとそれは言いすぎなんじゃね? と新八が食って掛かる。
よーし、こーなりゃ果し合いだっ! と勢いにまかせて二人は決闘。
残されていた果たし状を読んだ新八の兄・重兵衛(田村高廣)が河原にかけつけると
息があがって興奮状態の弟の新八と死体が一つ。
私闘による死亡では、家督が没収にもなりかねないので
奥野孫太夫の家では、長男を病死ということにして
次男に家督を相続できるように工作。
新八は乱心ということにして、城下外の山寺に幽閉という
波風を立てない事なかれ主義の藩上層部の決定。
これを聞いて新八は、
「おいらキチガイじゃねぇ! 武士としての立派な決闘だ!
これじゃぁ死んだ奥野孫太夫も浮かばれねぇ」とおかんむり。
家(兄)の立場もあるし嫌々寺に身を潜めていると、
妹のみち(佐々木愛)と許婚のりつ(三田佳子)が尋ねてくる。
寺の住職・光悦(進藤英太郎)の許婚と二人で逃げろとの提案も
おとなしくしていればまた城下に帰れる日もくると新八は却下。
奥野の家の次男・主馬(丹波哲郎)は剣の使い手で、
最初長男の仇討ちをすべきだと強く主張していたが、
伯父の伝兵衛(加藤嘉)にお家大事で押し通され
憤懣やるかたないなかお城勤め。
同僚の陰口にストレスが溜まっていたが、
「そーじゃ、そーじゃ、おーそーじゃ!
乱心者を切り捨てたとて、罪にはならん、なにせキチガイだしィ」
と自分に都合の良い論理を組み立て新八を討ちに寺に向かう。
寺での生活にも慣れ、乱心者の汚名にも我慢して
安定した心持だった新八だが、
主馬が自分を討ちに来るとの報せに精神が崩壊していく。
寺近くの農民に、主馬が来たら
近道を通っていち早くオレに知らせろ。と下知。
新八汚ねぇーな、待ち伏せして不意打ちすんのかよ、
いくら相手が自分より腕が上だからって……
と思ったら、寺に来る途中の道で名乗り出て真っ向勝負!
あぁそうか、あるよね、誰かが来るとか、宅配便が来るとか、
前もってわかっていると、なんかソワソワしちゃって、
いつ来る、いつ来るって心が落ち着かなくて、
もういっそのこと、こっちから出かけちゃうか。みたいな小心者の行動。
剣の達人主馬との勝負は、幸運にも(幸運なのか?)勝ったのだが、
長男、次男と二人の家督を失った奥野家の面目は立たぬので、
とうとう三男(主導者は伯父)が仇討ちの許しを藩に請う。
まだどこのわかめにもなっていない三男・辰之助石立鉄男)は、
同じ部屋住みの新八を慕っていた気弱な青年。
なんの因果か、
弟のように可愛がっていた辰之助に仇討ちを挑まれるまで
追い詰められた新八の明日はどっちだ!

すぐ頭に血が上る、怒りっぽいけど武士道に真摯な新八が、
まわり(武士社会)から乱心者とされ、
だんだん本当に精神がおかしくなっていくんだけど、
達観して辰之助に素直に討たれようってところまで心が整ったのに、
決闘場での周りからのあまりの仕打ちに
本当に乱心してバーサーカーになるっす。
狂戦士状態で誰も敵わない新八の怒りが藩上層部に向かったのを止めるため
最初に新八を突き刺したのが弟思いの兄だったみたいっす。
その兄も……。

何も無い野原から決闘場が徐々に出来上がっていく様子や、
果し合いの作法や、見物人などなど、
メインの新八の物語と同じくらい、
まわりの社会、武士の体面などの、雁字搦めの逃げ場の無い社会構造。
関係ない庶民からみれば仇討ちなぞ所詮見世物。
みたいな批判が裏にあるなぁ。

『武士道残酷物語』が武家の系譜のオムニバス(短編の連なり)だったのを
長編に発展させたのが『仇討』かな。
切腹 - 小林 正樹』でも丹波哲郎の殺陣が絵になっていたんですが、
昔の時代劇はチャンバラ場面の迫力が半端ないっす。
今の邦画では出来ないロストテクノロジーになっちゃってるんだろうなぁ。殺陣
安易にCGとかに頼ると、失うものも大きいっす。
お経をバックにエロい場面があるんすが、
大殺陣 - 工藤 栄一』にもあり、時代劇には付き物なのか?
パブロフの犬みたいに、
お経を聞いただけでエロいこと考えちゃう体になっちゃうっす。

デパートの屋上で許婚のりつが、
「このまま二人でどこか誰も知らない遠くまで逃げちゃおうか」
って提案するんすが、新八の、
「それは、無理だぉ……」
って拒否する場面が印象に残ったなぁ。うそ
それは『人狼 JIN-ROH - 沖浦 啓之』っす。

好きなもの目録 その266 トリーボ・マッサーイのエストレランド・エンバイシャドール

昔のブログの再録をしてるんすが、
なるべく観直したり聴き直したり読み直したりして
手直ししようと思うと時間がかかって全然進まないっす。

昨日(4月17日)の夜、
インドネシアで大規模噴火があったみたいで、
日本でもラジオを聴いていたら午後11時14分頃に緊急地震速報が流れてビックリしたんすが、
愛媛県高知県の方で震度6弱地震だったんすが、それから15分くらい経って
私の住んでる北信(長野県北部)でも震度3の地震があって
日本沈没かとさらにビックリしたんすが、
NHKのラジオでは豊後水道の地震のニュースを流していて、
民放のラジオ(AMやFM共に)は東京が関係ないと我関せずと通常放送していて、
北信の地震にはどこも触れず……。
直前まで『砂の女 - 勅使河原 宏』を15年以上ぶりに観直していたんで、
東京以外の田舎のことなんて誰も気にしていないんじゃないか?
本当に地震があったのか?
と自身の存在の不安を感じたっす。うそ


ブラジルは音楽の宝庫なんですが、
まったく詳しくないので有名なモノしか知らないっす。
(でも、ブラジルのサイケやプログレのマイナーなのはなぜか知ってるっす)
なんか凄くブラジル音楽に惹かれるんすよね。


標題:TRIBO MASSAHI の ESTRELANDO EMBAIXADOR

分類:音楽>洋楽>ロック>サイケ>アフロサイケ / ファンク

■題名:ESTRELANDO EMBAIXADOR

名前:TRIBO MASSAHI

発表年:1972年

製作国:ブラジル

評価:A ★未確定

■曲目:
TIMOLO TIMODE
01. WALK BY JUNGLE
02. FAREUA
03. HARMATAN
04. DANDARA
LIDO'S SQUARE
05. PAE JOAO
06. MENINA DA JANELA
07. OAN
08. MADRUGADA SEM LUAR

■感想:
アマゾンの密林というか、熱帯の蒸し暑いべったりと湿った感じというか、
もやもやとした空気感で、呪術(祭祀)的な匂いを感じる。
女性コーラスとかの雰囲気がドクター・ジョンの『グリ・グリ』を彷彿させる。

「OAN」の最初と最後のベース・ラインが「ピーター・ガンのテーマ」っぽい。

好きなもの目録 その347 大根仁の SUNNY 強い気持ち・強い愛

『不適切にもほどがある!』
テレビ東京開局60周年記念連続ドラマ 95』
など、日本の現在と1980年代や1990年代を対比したような(懐かしむような)
映画やドラマがけっこうあるなぁ。


フジテレビのせいかはわからないけど、
いつの頃からか邦画ってテレビドラマの拡大版っぽくなったじゃないっすか。
それで面白ければ文句はないんすが、
映画とテレビドラマの違い、映画にしかない特色が薄れたような……。

素人目からすると、
映画とテレビドラマでは監督や演出がやることに
そう違いがないと思うんですが、
堤幸彦みたいにテレビドラマは面白いのに、
映画になると微妙になる監督がいるんすが、
弟子筋のせいか大根仁監督も映画になるとまあまあ面白いんだけど、
テレビドラマの時と比べるとなんかいまいちな感じを受けるんすよ。
まぁでも、好きな監督・演出家ではありますが。

大根仁監督の映画は、
『サニー 強い真一・強い千葉』……じゃなくて、
(※最初は同年公開の白石和彌監督の映画『サニー/32』にかけた
ギャグにしようと考えたんすが、
記事を書く時に忘れてサニー千葉の方になったっす)
SUNNY 強い気持ち・強い愛』がまあまあ好きなんで目録に。


標題:(保留)

分類:映画>邦画

■題名:SUNNY 強い気持ち・強い愛

監督・脚本:大根 仁

音楽:小室 哲哉

出演:
篠原 涼子
板谷 由夏
小池 栄子
ともさか りえ
渡辺 直美
池田 エライザ
広瀬 すず
山本 舞香
野田 美桜
田辺 桃子
富田 望生
小野 花梨
高田 聖子
橋爪 淳
三浦 春馬
矢本 悠馬
岡部 たかし
松本 穂香
三田 和代
キムラ 緑子
橋本 じゅん
坂口 涼太郎
宮下 今日子
宮崎 吐夢
リリー・フランキー
新井 浩文
不破 万作

発表年:2018年

製作国:日本

評価:B ★★★○くらい

■内容・雑記:
韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のリメイク。
コギャルになりたい奈美と出会うSUNNYのメンバーが狂わせる鰤谷って話かな。

主婦の阿部奈美(篠原涼子)は、夫(岡部たかし)が海外に出張中に
入院している母(キムラ緑子)を見舞うため病院に行く。
そこで女子高時代の仲良しグループ「SUNNY」のリーダーだった
伊藤芹香(板谷由夏)と久しぶりに再会する。
芹香が癌で余命一ヶ月なことを知り
SUNNYのメンバーを集めようとする奈美は
1990年代中頃の女子高時代を懐かしく思い出す。

<女子高生仲良し6人組 SUNNY>
阿部奈美(広瀬すず):
阪神・淡路大震災により、淡路島から東京に転校する。
兄(坂口涼太郎)は『新世紀エヴァンゲリオン』に嵌り、
自分の名前がシンジで妹がアベナミだから綾波だといい、
1999年にハルマゲドンで世界が破滅すると信じ引きこもっているオタク。
兄と妹で競技かるたをやっている。うそ

伊藤芹香(山本舞香):
SUNNYのリーダー。小学校から一貫して女子高で女しか知らない。
レズじゃない(アピールするので怪しい……)。
中学まで鰤谷美礼(小野花梨)と仲良かった。

裕子(野田美桜):
めっちゃ口悪い。
オッパイ小さい(マイナスAカップ)のがコンプレックスで
豊胸手術により巨乳になる。

心(田辺桃子):
ウリやらずに金出させるプロ。美容師が夢。

梅(富田望生):
ダイエット失敗続きのデブ。

奈々(池田エライザ):
ギャル系ファッション雑誌『egg』の読者モデルで活躍。


大根仁監督は音楽とダンスを取り入れるのが上手い。
おでんの屋台のラジオから森田童子の「ぼくたちの失敗」が流れてる。
出張している奈美の夫が浮気してるのかは謎のまま。
大人の芹香役は真木よう子が降板して板谷由夏になったみたいですが、
エンドロール見るまで菊地凛子だと思ってたっす。
広瀬すずのはっちゃけた演技が良い。

1990年代は私的にはろくなことがなかったし、
コギャルとか接点がまったく無いので、
異世界の住人の生態って感じっすが、
なんか当時の女子高生ってこうだったんだろうなぁ。
っていう(デフォルメされているんだろうけど)説得力がある。
庵野秀明監督の『ラブ&ポップ』なんかを観ると
当時のコギャル文化や生態がなんとなくわかるかも。

好きなもの目録 その49 コリン・デイヴィスのベルリオーズの幻想交響曲

スタンリー・キューブリックの『シャイニング』を初めて観た時、
冒頭の山道を自動車でホテルへ向かう場面に流れる不気味な音楽に、
これからホテルで起こる惨劇を予感させて怖かったんですが、
ベルリオーズの『幻想交響曲』を聴いて、
「あっ! これ『シャイニング』だ――」
と思ったんですが、正確には
グレゴリオ聖歌の『怒りの日』が元ネタ(引用)らしいです。
幻想交響曲』は、曲名通り幻想的で、
悪夢の中を彷徨う感じがして大好きなんです。


標題:コリン・デイヴィス指揮の幻想交響曲

分類:音楽>クラシック>管弦楽

■題名:
BERLIOZ: SYMPHONIE FANTASTIQUE
ベルリオーズ幻想交響曲

作曲:
HECTOR BERLIOZ
エクトル・ベルリオーズ

作曲年:1830年

出身:フランス

指揮:
(SIR) COLIN DAVIS
(サー・)コリン・デイヴィス

出身:イギリス

演奏:
CONCERTGEBOUW ORCHESTRA, AMSTERDAM
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

発表年:1974年

製作国:オランダ

評価:S ★未確定

■曲目:
『SYMPHONIE FANTASTIQUE OP.14
EPISODE DE LA VIE D'UN ARTISTE, SYMPHONIE FANTASTIQUE EN CINQ PARTIES』
幻想交響曲
ある芸術家の生涯の出来事、5部の幻想的交響曲
01. PREMIERE PARTIE: REVERIES - PASSIONS
___第1楽章:夢、情熱
02. DEUXIEME PARTIE: UN BAL
___第2楽章:舞踏会
03. TROISIEME PARTIE: SCENE AUX CHAMPS
___第3楽章:野の風景
04. QUATRIEME PARTIE: MARCHE AU SUPPLICE
___第4楽章:断頭台への行進
05. CINQUIEME PARTIE: SONGE D'UNE NUIT DU SABBAT
___第5楽章:魔女の夜宴の夢 (ワルプルギスの夜の夢)

■雑記:
コリン・デイヴィスは、フィル・コリンズやメル・コリンズ、
そして小倉優子などと同じこりん星出身。うそ

ベルリオーズの『幻想交響曲』を、リストがピアノ用に編曲したのが
なんか弾くの難しくて超絶技巧らしいっす。
メシアンの権威のロジェ・ムラロがピアノ演奏したのを
NHK-FMの『ベストオブクラシック』で聴いたことがある。

好きなもの目録 その278 團伊玖磨の夕鶴

作曲家の團伊玖磨は今年4月7日で生誕100年ということで、
NHK-FMの『クラシックの迷宮』
「▽團伊玖磨の軌跡 ~生誕100年に寄せて~」
が放送されたのを聴いたので。
團伊玖磨の祖父は、三井財閥の総帥・團琢磨。
諸井三郎や芥川也寸志とか日本の作曲家は資産家や名家出身の人が多いのかな。
まぁ、お金持ちじゃないとクラシック音楽の道に進むのは大変だと思いますが。
映画『世界大戦争 - 松林 宗惠』のサントラから
第三次世界大戦」「世界最後の日」「エンディング」が放送されたんすが、
在シリアのイラン大使館空爆などに対する報復で、
イランがイスラエルに対してドローン攻撃機弾道ミサイルで直接攻撃してる……。
世界は、日本は、来年のお正月を迎えることができるのか?
君は生き延びることができるか?


NHK-FMの『クラシックの迷宮』2018年5月27日の放送で
「ラジオドラマ「夕鶴」~歌劇「夕鶴」の起源をさぐる~」
を聴いたのをメモ。

NHK-FMの『ベストオブクラシック』
2018年3月22日と4月4日の放送で
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団演奏会の
歌劇「夕鶴」を聴いていたんですが
(ラジオドラマ「夕鶴」を聴いた後に、
歌劇「夕鶴」を録音してたのをもう一回聴き直したっす)
ラジオドラマと歌劇の脚本というか歌詞(台詞)がほぼ同じだったっす。
ラジオドラマ「夕鶴」は、歌劇「夕鶴」の雛形(プロトタイプ)かな。
与ひょうが傷ついた鶴(つう)を助け、
恩返しのため人間の女性に姿を変えた鶴が押しかけ女房になる前段階とか飛ばして、
仲睦まじい(与ひょうとつう)夫婦だったが
悪人(惣どと運ず)に唆され
金に目が眩んだ与ひょうがつうに織物(鶴の千羽織)を強引に織らせ、
その場面を約束を破って見てしまいつうが去っていく二日間の話。

「夕鶴」というか鶴の恩返しの話は、
私が小学生の頃に教科書か『まんが日本昔ばなし』なんかで知ったと思うんすが、
「夕鶴」の登場人物の名前と親友のあだ名が同じだったので記憶に残ったっす。
んで『ガラスの仮面』を初めて読んだ時、
紅天女」の月影千草と尾崎一蓮の関係が、
「夕鶴」の山本安英木下順二の関係をモデルにしてるんだなと思ったっす。


標題:木下順二團伊玖磨の夕鶴

分類:ラジオ>ラジオドラマ

■題名:ラジオドラマ「夕鶴」

名前:木下 順二

作曲・指揮:團 伊玖磨

演出:
岡倉 士朗
梅本 重信

声優:
山本 安英
宇野 重吉
清水 将夫
加藤 嘉
大阪放送子供会

音楽:大阪放送管弦楽団

放送年:1949年

製作国:日本

評価:保留

■内容・雑記:
1949年4月27日か5月6日、NHK大阪放送局の制作で放送。
声優陣は山本安英が客演していた劇団民藝が主体。

木下順二山本安英のために書いた戯曲「夕鶴」を発表したのは『婦人公論』1949年1月号。
ラジオドラマ「夕鶴」は、舞台での上演に先駆けて戯曲「夕鶴」をそのまま演っている。
團伊玖磨が音楽を担当したラジオドラマの「夕鶴」は、
オペラ(歌劇「夕鶴」)の発表より三年早い。

演出家の岡倉士朗の「夕鶴」の解釈は、
鶴の化身のつうと夫の与ひょうには欲得抜きの純粋な愛があったが、
つうが労働して作る毛織物に高値がつくことで
資本主義の利益追求のメカニズムにつうと与ひょうが組み込まれて
愛が欲得ずくになって家庭という愛の共同体が崩壊してしまう。
日本近代の主産業は繊維産業(軽工業)であり、
敗戦を経て戦後も日本を復興させていく主産業の一つは繊維産業であり、
つうというのは搾取されてずたぼろにされる繊維産業の労働者階級の象徴であり、
つうの最後の名台詞
「私はもう人間の姿をしていることが出来ないの……」
とは、マルクス主義の人間疎外のことをいっている。
ヤマトタケルの白鳥伝説が死を象徴しているように、
つうが最後に空に帰るのは、この世にもう逃げ場がない追い詰められての自殺。
一方、人間を金の亡者に変えてしまう資本主義の象徴が運ずと惣ど。

戯曲「夕鶴」は、日本の古い昔話ではなくて資本主義批判の寓話で、
戦後の左翼的な新劇運動の中で受けた。
与ひょうがつうの機織を覗き見して秘密を探ることで信頼が壊れていくのは、
管理社会、監視社会、治安維持法憲兵・秘密警察、密告といったことと関係がある。
片山杜秀談)


分類:音楽>クラシック>オペラ

■題名:歌劇「夕鶴」

名前:木下 順二

作曲:團 伊玖磨

歌:
腰越 満美
小原 啓楼
谷 友博
峰 茂樹

音楽:
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
江東少年少女合唱団

指揮:高関 健

録音年:2017年

製作国:日本

評価:保留

■内容・雑記:
2017年9月30日、東京・ティアラこうとう大ホールで収録。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第50回ティアラこうとう定期演奏会 オペラ「夕鶴」(演奏会形式)。

歌劇「夕鶴」は、團伊玖磨の代表作であり日本を代表するオペラで
国内・国外で800回以上演奏されている。
第1部が一日の出来事で1時間25分くらいで、
第2部が翌日の出来事で30分足らずと全体としてのバランスが悪い。

 

「夕鶴」を、今日の(現代社会に)読み替え演出すると、
運ずと惣どはグローバリズム時代の資本家、
つうは契約社員とか時間外労働を強いられる底辺の女性労働者、
与ひょうは没落する中産階級――(片山杜秀談)
らしいんすが私的には、
運ずと惣どはネット時代の転売ヤーや動画の個人特定、
つうはエロいイメージビデオを強いられる地下アイドルとか
ライブチャットや個人撮影されていたネットアイドル
与ひょうはビットコイン投資家――とかかな。

つうは織物(資産)が作れる自分を
与ひょうにとって手放せない価値ある存在だと思わせ、
普通の生活をするのに十分な資産を与え、
働かないで二人でラブラブの生活を送るはずだったのが裏目に。
与ひょうはバカなんで、つうは正直に鶴の化身だって打ち明ければ、
そんなこともあるかな……と受け容れたと思うんすが。
仕事(や趣味)を男から取り上げ、
自分だけを愛して他のモノに目もくれるなってのも悪かったかも。うそ

子供たちがつうを「おばさん、おばさん――」
って呼んで遊びに誘うんすが、
現代なら「おねえさんでしょ!」って訂正するな。