サイグレアニマン

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好きなもの目録 その281 谷崎潤一郎の青塚氏の話

「ドール業界の谷崎潤一郎になりたい」
「世界進出し、ラブドール界の青塚氏になる」うそ
オリエント工業が廃業から復活らしいんで……。


NHKラジオ第2の『朗読』の時間をたまに聴いているんすが、
朗読「谷崎潤一郎作品集」の『青塚氏の話』が面白かったので目録に。
私は、谷崎潤一郎作品の『痴人の愛』『卍』『蓼喰ふ虫』あたりを
何十年前くらいに読んだか、途中まで読んで挫折したかって感じで、
武智鉄二監督の『白日夢』『紅閨夢』や、
増村保造監督の『卍』『刺青』『痴人の愛』や、
市川崑監督の『鍵』『細雪』なんかを観てるくらいで
谷崎潤一郎には興味があるけど、どの作品が面白いのか皆目見当がつかなくて、
朗読「谷崎潤一郎作品集」の『魔術師』も聴いたけど、
そちらは何とも思わなかったんすが
青塚氏の話』は私の琴線に触れたっす。


標題:谷崎潤一郎青塚氏の話

分類:文学>小説

■題名:青塚氏の話

作者:谷崎 潤一郎

発表年:1926年

製作国:日本

評価:保留

■内容・雑記:
若き映画監督の中田は
無名のグラビアアイドルだった由良子を見出し自身の映画の主演女優に抜擢し、
由良子をアイドル的な人気を博す肉感的な女優として育てたうえ、
彼女と結婚し妻の映画を何本も撮っている。
ある日、由良子の新作映画公開後に酒場に行った中田は
偶然同席した中年紳士に話しかけられる。
酔っ払った紳士(青塚氏?)は由良子の大ファンだといい、
由良子の出演作品のソフトは全部所持し、
新作やソフト化されていない作品を観るため日本中の上映会に足を運び、
何百回も由良子の映像を視聴し
頭の天辺から足の爪先まで体の全てを記憶しているという。
そればかりか、由良子の体の部分部分は日本中の風俗店にいる
どの風俗嬢の体の部分に瓜二つか知っているというのだ。
そして、その紳士は自分の妻も由良子と瓜二つだと言い放つ。
紳士は中田を自分の妻に会わせるからと強引に連れ出し
郊外の一軒家に案内するが、そこで中田が目にしたモノとは……!
――みたいな話っす。

中田が目にしたモノとは、みなさん予想がつくと思いますが、
由良子に生き写しのオリエント工業製のリアルラブドールっす。
カッパハゲ(トンスラみたいなの)の紳士はファティマ・マイスターで、
由良子ソックリのファティマを30体も製造したとか。
(ちゃんと体臭もあり排泄もする)
夫の自分(中田)より由良子を知り尽くしている青塚氏に驚愕した中田は
実体と虚像が曖昧になり憔悴して亡くなる。


関係ないけど、
ミケランジェロ・ブオナローティって、
粗彫りとかしなくて3Dプリンターみたいに大理石から直接彫像
(全体を粗彫りしていくんじゃなく、彫像の一部分からの直彫り)
してることに今更驚愕して、
レオナルド・ダ・ヴィンチより凄いんじゃね……と思う今日この頃。