サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

気になるもの目録 山本薩夫

「角川シネマコレクション」で『忍びの者 - 山本 薩夫』がやってたんで
久しぶりに観直したっす、観るの三回目くらいかな。
織田信長役で城健三朗(若山富三郎)が出演しているんすが、
忍者と若山富三郎繋がりってわけじゃないけど、
「新東宝【公式】チャンネル」でやってた若山富三郎のデビュー作
『忍術児雷也 - 加藤 泰 / 萩原 遼』も観る。

『忍術児雷也』は、『忍びの者』と比べると
ちゃちい子供向けって感じを受けるけど。
NARUTO -ナルト-』のネタ元の児雷也大蛇丸綱手が登場する。
足利晴氏がいた頃より後くらいの時代設定なのか?
尾形周馬弘行が短銃で大蛇を撃って蝦蟇を助けて児雷也になるんすが、
大蛇が「このうらみをはらさでおくべきか!!」と魔太郎みたいなこと言ってます。
三すくみの大蝦蟇と大蛇と大蛞蝓の特撮がチープだけど愛嬌があるかな。
大蛞蝓は『ウルトラQ』の火星怪獣ナメゴンや貝獣ゴーガのルーツにも思える。
刀同士の殺陣がまだチャンバラっていうか歌舞伎の立回りや
新国劇のたてみたいな感じなんすが、
時代劇はこの後に黒澤明とかがリアルな刀同士の戦いにしていったのかな。
黒姫とか妙高とか北信五岳の名称が出てくるんで地元に近くて親近感が湧く。


山本薩夫監督作品は十数本観てるんすが、
『台風騒動記』『氷点』『白い巨塔
などが好きかな。


標題:山本薩夫地帯

分類:人物>映画>邦画>監督

■名前:山本 薩夫

出身:日本

生没年:1910年7月15日~1983年8月11日

職業:監督

評価:保留

■雑記:
主に2010年8月とかに山本薩夫監督作品について書いた駄文の再録。

山本薩夫監督作品観てるんですが、
『逆境を力に変えた熱血監督 ~山本薩夫 生誕100年~』で、
ちょっとだけ『真空地帯』の映像が流れたんですが、それ観て
『黒ベエ - 藤子 不二雄A』の「しごく者 しごかれる者」って話を思い浮かべる。
たしか新入社員かなんかが研修で自衛隊体験入隊みたいなことをさせられて
人格破壊されるって話で、
『真空地帯』のは軍隊でのしごきなんですが、柱に抱きついて蝉のマネをさせたり、
両脇に机があるとこで、一方の机に右手、他方の机に左手をついて
空中で自転車こぎ(エアサイクリング)させるシーンが、
ソックリ『黒ベエ』にあるんですよ。
元ネタって『真空地帯』だったんだぁ。
(『二等兵物語 - 福田 晴一』にも同じようなしごきがある)

『金環蝕』と『不毛地帯』観たんですけど、社会派ドラマって私はあまり観ないし
普通途中で厭きるんですが、
なんかグイグイ引っ張られて厭きずに観れたなぁ二本とも。
やっぱ役者が良いんだろうなぁ。
二本とも共通して出演している役者多いんですが、
『金環蝕』の電力開発総裁の永井智雄の喋り方が
まわりの暑苦しい連中と比べてのっぺりしていて印象に残るなぁ。
不毛地帯』は、『金環蝕』よりは面白くなかったけど
佐藤勝のオープニングの音楽が、テルミン?使ってるのかオモシロくて。

山本薩夫監督の演出って正統派なのか、
特に奇抜な演出しないで人物に焦点をあててゆき、
その人物の内面に迫るって感じかな。
茶店や料亭、お座敷などで
登場人物の二人が会話する場面で、かならず途中などに
ウエイトレスや仲居さんや芸者さんなんかが入ってくるのが
場面に変化をつけているっす。
たんなる会話劇だと観客が厭きるのを知っているのか、
『金環蝕』では、ちょいエロがちりばめられているし。
『金環蝕』の政治家の話し方が、いるいるこーいう政治家って話し方で
今の政治家でもそー変わらないし、
汚職も変わらないし……政治って進歩ないなぁ。
不毛地帯』の特撮シーン、東宝だけに円谷プロっぽいなぁ。と思ったら
特殊技術の川北紘一って特撮の有名な人だったんですね。
不毛地帯』の壱岐正中佐って、
伊藤忠商事の元会長・瀬島龍がモデルらしいんですが壮絶な人生っすね。
それまで軍隊、軍事関係には関わりたくないっていっていた壱岐が、
新型の戦闘機を見て目の色が変わるのが――。

華麗なる一族』を観たネタバレなんすが。
万俵大介(佐分利信)は、
長男の万俵鉄平(仲代達矢)が、祖父(万俵大介の父)と妻の間の子だと疑い
長男に冷たいんですが、長男が自殺したあとに
血液型から長男は本当に大介の子だとわかるって場面が悲劇的で。
祖父と妻が密通したというより
なんか祖父は、風呂場で気を失った奥さん(妻:月丘夢路)を
ベッドに運んだだけみたいっす。
んなら、もしかして、誰も入ってないと思って風呂場に入ったら
自分の息子の奥さんが先に風呂入っていて、
義父にビックリこいて気絶した奥さんを寝室に運んで介抱しただけなのか?
「やわらかいなぁ~」とか誤解を招くこと言うなよじーさん。否定しろよ!
原作の小説とかどーなってんのかわからないですが、
手塚治虫の『寄子』とか、昔の大地主とか財閥とか地方の旧家なんかでは
長男の嫁は、家の主たる祖父(長男の父親)が味見するのは当然のことなのか。
と本などの知識のみで納得していたっす。
でも長男の鉄平、そんなに自分の出生の秘密に悩むなら血液型くらい調べとけよ。
孫が祖父に顔ソックリってよくあることだけどさぁ。
鉄平が母に、自分は誰の子か?って詰問するシーン
「あなたはわたしの子です(泣き落とし)」
と何度も言う母のシーンとか良かったなぁ。
休憩
次男の万俵銀平(目黒祐樹)が、最初だけで
あまり活躍しなかったなぁ。もっとなんかやらかすのかと思ったんですが、
なんかやたら醒めていて、人生を達観しているっていうか。
閨閥のため、中古(非処女)の奥さんをあてがわれても文句も言わず。
鉄平も高炉建設なんて夢を追わず、堅実に会社を運営していれば
社員も幸せだったような……。
都合よく高炉が爆発事故起こしたのは、
銀行合弁を画策する父・大介の工作かと思いました。
まぁ偶然でしょうが。
あと、鎌倉のあの男って?
鎌倉には、日本を裏から動かす影の支配者がいるのかなぁ。
たしか田中芳樹の『創竜伝』だったかで、鎌倉あたりに住む爺さんが
政治家を裏から動かし、実質日本の影の支配者だ。
っていう記述があったような
元ネタっていうか、モデルになった人物がいるのかなぁ。
案外、『ガサラキ』の西田さんみたいな人かも。
(『フィクサー』の西田敏行ではない)
ちょうど、ロシアが小麦などの穀物の輸出禁止するらしくて
穀物モラトリアム起こりそうだなぁ。
(※当時の出来事。今ならウクライナ情勢かな)

華麗なる一族』『金環蝕』『不毛地帯』とかって、
その時代の政治や社会を反映しているんだろうけど
今現在の未来を映しているようで。
映画とかアニメなんかのフィクションで未来を予言して
それに追随して現実の社会・世相が動くみたいな。


『台風騒動記』
観たんすけど、凄い面白かったっす。
今年(※当時、2012年7月末)は九州地方とかの豪雨災害あったし、
東日本大震災は言うに及ばず、
もう、むか~~~~~~しからの日本の体質なんだな、
直らないなぁ。と呆れ笑いながら観れる喜劇。
まったくのフィクションなのかと思ったら、
実際にあった出来事を下敷きにしてるとか。
こんなハッキリとしたザマス言葉を話すオバサンが登場する映画も珍しいかも。
中央公論』と『世界』を購読してると赤なのか……。
「天災の後にやってくるのは人災である」
って最後の言葉に納得。
台風被害の被災者の保護・生活よりも
新校舎の建設で政治家やゼネコンが儲かるのが先ってのが、
震災被害の被災者の保護・生活よりも
原発の存続の方が大事ってのと重なってみえる。


座頭市牢破り』
山本薩夫なんで共産主義的な社会道徳で説教臭い。
最初の話から時間が経過して話が進む。
清滝の朝五郎(三國連太郎)は最初良い親分で
十手を預かり悪い親分になり『座頭市御用旅』の鉄五郎の前身みたいな感じ。
最後に大原秋穂(鈴木瑞穂)を開放しに向かう音楽が「カルミナ・ブラーナ」っぽい。
関係ないけど、『トラック野郎 爆走一番星』の杉本千秋役などの
加茂さくらを見ているとなんか鈴木瑞穂を連想する。


『忍びの者』
百地三太夫が、変装して二つの忍者の郷の頭領をかわるがわるやって、
二つの郷の忍者たちを競わせて、信長暗殺を企てるんですが
逆に忍者同士が戦って裏目ってんですけど。 
『大忍術映画ワタリ - 船床 定男 / 倉田 準二』でも同じような設定だったなぁ。
伊藤雄之助百地三太夫と藤林長門守の二役やってるんすが、
流石の怪演で存在感抜群す。
藤林長門守はヒノナ(浦路洋子)を抱いているみたいなんすが、
百地三太夫はイノネ(岸田今日子)を抱いていないのは
石川五右衛門市川雷蔵)を罠に嵌めるためなのか、
それとも好みじゃないからなのか?
岸田今日子はナメクジっぽいから綱手役が出来ると思う。
下柘植の木猿役の西村晃や葉蔵役の加藤嘉とかいい味出してる。
忍者ものなんで、最後は五右衛門や妻のマキ(藤村志保)の
どちらかが死ぬ悲劇で終わるのかと思ったらハッピーエンド。
織田信長若山富三郎)の伊賀攻めのおかげなのか……
一滴飲むだけで死ぬ毒薬で死なないのは若山富三郎だからかな。
音楽は渡辺宙明