暑い……、夏なんで納涼に怖い漫画
つのだじろうの『恐怖新聞』について書いた記事の再録を。
その前に、『亡霊学級 - 鶴田 法男』を観たんすが、
『亡霊学級 - つのだ じろう』の単行本が物語の重要なアイテムとして登場するんすが、
設定は完全オリジナルみたいっす。
原作者のつのだじろう先生が特別出演していて、
黒沢清監督が友情出演しているんでなんか豪華。
それと私は、若い頃の石橋けい出演作品をあまり観たことないのでなんか新鮮。
最後、逃げ場なく迫り来る学校の亡霊達に対してどうするのかと思ったら、
諦めて終わりっていう……なんか斬新のような消化不良な内容。
亡霊が「夏くんのパパ、いつ始まるの?」とか言えばもっと怖かったのに。うそ
『恐怖新聞 - つのだ じろう』が原作の『予言 - 鶴田 法男』も観たことあるんすが、
3年以上前なんで記憶にございません。
あと、「3分間待つのだじろぉ」ってギャグを思いつく。
(※2018年8月頃に)なんか久しぶりに、
つのだじろうの『メギドの火』が読みたくなって、
ダンボール箱に収納してある漫画本を取り出そうとしたんすが、
『恐怖新聞』と『亡霊学級』が簡単に取り出せたんでそっちにする。
夏といえば怪談なんで『恐怖新聞』を読んで納涼といきたいんすが、
どっちかといえば『うしろの百太郎』の方を読み直したかったかな。
私が中学生の頃、古い漫画をワイド版で販売しなおしていて、
つのだじろうの『空手バカ一代』『うしろの百太郎』とか、
横山光輝の『時の行者』『闇の土鬼』なんかが本屋に置いてあったっす。
なもんで漫画が連載されていたリアルタイムじゃないけど、
私の中学のクラスでは『うしろの百太郎』を読んでいる人がけっこういて、
同じ作者の『恐怖新聞』も回し読みされていたかな。
それで、つのだじろうの恐怖漫画が私の周りでは話題というか少し流行っていたっす。
私も当時はオカルトやホラーが好きで、
雑誌『ムー』なんかをちょろっと読むようになる前だったと思うので、
『うしろの百太郎』と『恐怖新聞』を読んで恐怖に震えたっす。
……が、『恐怖新聞』を大人になった今読むと、
知識が増えたこともあり、そんなに恐くないしあまり面白くもないかな。
子供の頃に面白かったモノ(漫画など)が大人になると面白くない、
逆に子供の頃に面白くなかったモノが大人になると面白い。
ってことがあるんで、あまりオカルト知識がない子供の頃に
『恐怖新聞』を読んだ方が恐くて楽しめると思う。
分類:漫画>少年漫画>怪奇漫画(ホラー) / オカルト
■題名:
亡霊学級
恐怖新聞
作者:つのだ じろう
発表年:
1973年
1973年~1975年
製作国:日本
評価:A ★★★★△くらい
■内容・雑記:
『亡霊学級』
<話>
第一話 ともだち
第二話 虫
第三話 水がしたたる
第四話 手
第五話 猫
(※あと『亡霊学級』と関係ない「赤い海」という短編)
「ともだち」は、
自殺した女子生徒の地縛霊が教室の机に取り憑いている話。
理科実験室の骸骨が女子生徒のモノなのかと思ったけど、そんなことはなかったっす。
なんかちょっと設定(雰囲気)を変えればラブコメになりそう。うそ
「虫」は、
虐められている少年が昆虫虐待をしていたら自分の食べ物が青虫になり、
秘密を知った虐めていた少年の食べ物も青虫になる話。
ホラー漫画では、弁当の中身を隠して食べているのを暴くと虫だったってのが
よくある定番なんすが、長野なんでイナゴや蜂の子を食べたことがあるし、
虫は高タンパクって聞くんで、食糧難の時代になるかもしれないし、
虫を食べるのに抵抗はそれほどない……無理して食わないけど。
「水がしたたる」は、
学校のプールで水死した女教師が亡霊となって現われる話。
女教師は溺れた子供を助けようとして溺死して、
プールの水質が悪いからと亡霊になり生徒に警告する良い人。
「手」は、
旧校舎の便所に妖怪が出ると嘘の怪談で脅したら、
脅された方も脅した方も汲み取り式便所に落ちて死んだ話。
便所に出る妖怪ってかんばり入道かな?
未解決事件とかで狭い便槽に嵌って死亡とか読むと恐いっすよね。
私が子供の頃はまだ汲み取り式便所が主流だったんで
臭いし恐いしで嫌だったなぁ。
それに本物の便所コオロギもなぜかいたし……。
「猫」は、
火事で猫屋敷が燃えお婆さんが亡くなる。
屋敷址にいた黒猫に石をぶつけたら死んで
お婆さん(黒猫)の霊に取り憑かれる話。
『恐怖新聞』
<登場人物>
鬼形 礼:
非科学(オカルト)的なモノを信じない中学生の少年だったが、
何の因果か(理不尽にも)読むと寿命が百日減るという恐怖新聞が届く
(ポルターガイストが取り憑く)ようになりオカルトの世界にどっぷり浸かる。
息子の部屋の窓が頻繁に割れたり、
霊に取り憑かれてるから除霊するとか騒いでいるのに両親は無関心なのか存在感が薄い。
恐怖新聞:
深夜12時くらい(色んな時間帯)に生前は新聞配達人だったポルターガイストによって届く
近未来に起こる事件を載せた新聞。
霊能力の無い人には朝田新聞や毎夕新聞などの普通の新聞に見える。
エリナ 松岡:
宇宙連合とのコンタクトマンであると自称する電波系のヤバい女。うそ
円盤や宇宙人の話で鬼形礼を振り回すが、肝心な場面でいつも突然消える。
中神 緑子:
鬼形礼と同じく恐怖新聞が読めるクラスメイト。
中神 洋介:
中神緑子の兄で新聞記者。
小泉 香具耶:
非常に霊格の高い守護霊がついた霊能力者。
うしろの百太郎っぽい顔つきで
外見は五、六歳の幼女だが鬼形礼と同い年。
テレポートできるみたい。
<話>
序章 白の頁(霊の世界) 真夜中に奇怪な新聞が来た
第一話 赤の頁(怪奇の世界) 誰かが噛む
第二話 青の頁(宇宙の世界) 空に光る謎
第三話 白の頁(霊の世界) 自分と自分
第四話 黒の頁(伝説の世界) 真説四谷怪談
第五話 赤の頁(怪奇の世界) 山小屋の怪
第六話 黒の頁(伝説の世界) ファラオの呪い
第七話 白の頁(霊の世界) 百物語
第八話 青の頁(宇宙の世界) 北極点の謎
第九話 白の頁(霊の世界) うらみの火が燃える
第十話 黒の頁(伝説の世界) 黄金百枚
第十一話 白の頁(霊の世界) 不幸の手紙
第十二話 赤の頁(怪奇の世界) 生きていたモナリザ
第十三話 赤の頁(怪奇の世界) 笑う骸骨
第十四話 紫の頁(悪魔の世界) 悪魔のカード
第十五話 赤の頁(怪奇の世界) 名投手怪死
第十六話 白の頁(霊の世界) ピアノ
第十七話 白の頁(霊の世界) 除霊
第十八話 赤の頁(怪奇の世界) 奇妙な妹
第十九話 黒の頁(伝説の世界) 背中がこわい
第二十話 青の頁(宇宙の世界) 円盤着陸
第二十一話 赤の頁(怪奇の世界) ドラフトの星
第二十二話 赤の頁(怪奇の世界) ふとん
第二十三話 赤の頁(怪奇の世界) 風呂
第二十四話 赤の頁(怪奇の世界) 自転車
第二十五話 白の頁(霊の世界) 交霊会
__________黒の頁(伝説の世界) 竹之市再生
__________白の頁(霊の世界) 交霊会 (黒の頁 竹之市再生 続き)
第二十六話 白の頁(霊の世界) 他人の顔
恐怖新聞心霊辞典
(※あと『恐怖新聞』と関係ない原作 / つのだじろう、絵 / 居村真二の「地獄村」という短編)
「真夜中に奇怪な新聞が来た」は、
幽霊の存在を信じない鬼形礼のもとに真夜中、
一日読むと寿命が百日減るという恐怖新聞が配達される。
「誰かが噛む」は、
修学旅行中、何者かに噛まれる吸血鬼事件が起こる。
疑われた鬼形礼は貧血の女生徒と共に旅行を途中で帰ることに……。
「空に光る謎」は、
恐怖新聞に空飛ぶ円盤(UFO)が現われると載り、
鬼形礼のクラスで星空観測をすることになる。
現われた円盤から降りてきたエリナ松岡と名乗る少女は
自分は宇宙とのコンタクトマンであるという。
宇宙連合、地球計画とはいったい何なのか?
宇宙連合の敵が猟師のオッサンという
スケールがでかいんだか小さいんだかよくわからん。
「自分と自分」は、
生霊(ドッペルゲンガー)の話かと思ったら、
『ブラック・ジャック』のピノコや
ホラー映画『バスケット・ケース』みたいなシャム双生児の話。
「真説四谷怪談」は、
歌舞伎や芝居や映画やドラマの脚色された四谷怪談ではなく、
真実(実話)に近い四谷怪談が恐怖新聞に載る。
恐怖新聞に京極夏彦の『嗤う伊右衛門』が連載されているとかではない。
「山小屋の怪」は、
スキー場に来た鬼形礼は馴染みの山荘に泊まるがどうも様子がおかしい。
雪男の伝説を語る見知らぬ山荘のおやじは指名手配の殺人犯だった。
恐怖新聞が直接登場しない話なんですが、
スキー靴に詰めた古新聞で殺人犯の顔を知るのなら、
いつもどおり恐怖新聞で知らせればいいのに。
「ファラオの呪い」は、
王家(ツタンカーメン)の呪いの話が恐怖新聞に載る。
現在では懐疑的な古い情報による話。
山岸凉子の『ツタンカーメン(封印)』を読んだ方が為になるかな。
「百物語」は、
クラスで怪談会(百物語)をやることになり、低級な動物霊が現われ悪さをする。
「北極点の謎」は、
鬼形礼が『泣くな!十円』の聖徳湯(銭湯)に入っていると
円盤が着陸しエリナ松岡が現われる。
火星に行ったはずのエリナ松岡は
実は北極の穴から地球内部へ行ったと言うのだ。
恐怖新聞が登場しない地球空洞説の話。
ファー・イースト・ファミリー・バンドに『地球空洞説』ってアルバムがある。
めぐっちゃんが北極点の穴から、
キマリや報瀬達が南極点の穴から地球内部へ入る
『宇宙よりも遠い場所』の続編とかないかな……。
「うらみの火が燃える」は、
鬼形礼の同級生が連続放火事件を起こすが、
それは一家に怨みを持つ少女の霊が取り憑いたせいだった。
新興宗教の教祖に除霊をしてもらうが……。
放火で何軒も焼失してるのに、同級生の親は息子が犯人だと警察へ言うなと身勝手。
「黄金百枚」は、
徳川埋蔵金みたいな話で、埋蔵金狂の糸井重里が出てくる。うそ
「不幸の手紙」は、
鬼形礼の同級生が悪戯で作った不幸の手紙に本物の悪霊が取り憑き
同級生は他人がばけものに見えるようになり暴れまくる。
恐怖新聞のポルターガイストが親切にも同級生に解決法を教える。
「生きていたモナリザ」は、
モナリザ盗難事件の真相が語られ、
犯人がモナリザの生まれ変わり(再生)の女性を愛したことが原因というトンデモ。
「笑う骸骨」は、
人見蕉雨の『黒甜瑣語』の「髑髏の謡(歌い骸骨)」とかが元ネタ。
「悪魔のカード」は、
映画『エクソシスト』みたいな悪魔憑きの話。
カトリック教会なのに牧師(神父だと結婚できないから?)がパパという女生徒の妹が
悪魔アイニに取り憑かれゴキブリ飯を食う。
悪魔憑きを科学的に分析すると『震える舌』みたいに破傷風のことかな。うそ
聖水の威力が強力なんすが破傷風ワクチンなのかも?うそ
ポルターガイストがタロットカード占いのお婆さんに変身して悪魔祓いに協力。
せっかく貰ったタロットカードをすぐ捨てる鬼形礼。
「名投手怪死」は、
有名プロ野球選手が試合中に次々と怪死する事件が起こる。
それは自殺した元プロ野球選手の妻による丑の刻参りの呪いだった。
壁村神社ってのが出てくるんすが、
『週刊少年チャンピオン』の編集長・壁村耐三から名付けたのかも。
恐怖新聞が読める中神緑子が転入してきて兄の新聞記者・中神洋介と共に
レギュラー出演するようになる。
山崎ハコの「呪い」を聴きながら読めば恐さ倍増。うそ
恐怖新聞につのだじろうのマスコミ批判の記事が載ってる。
当時マスコミから叩かれたのかな。
「ピアノ」は、
音楽室に霊が取り憑いたピアノがあり、
なぜかムソルグスキーの『展覧会の絵』しか弾けない。
(キース・エマーソンや冨田勲の霊が取り憑いたモーグ・シンセサイザーとかないかな)
音楽室でショック死していた帆立涼子のキャラデザ(髪型)が
佐倉魔美(『エスパー魔美』)っぽい。
「除霊」は、
優れた霊能力者のお坊さんに
鬼形礼が除霊してもらうことになるが失敗。
ポルターガイストが強力で偽の朝日を出したりする。
(確かめてないけど、『孔雀王』とかホラー系の作品で
夜明け前に外を明るくさせて誘き寄せるってパターンがあったような)
「奇妙な妹」は、
鬼形礼の妹だと言い張る少女が押しかけてくる。
お兄ちゃんと一緒に寝かせて――と布団に潜り込もうとしたり、
設定を変えれば妹萌えラブコメ。
「背中がこわい」は、
お婆さんのおんぶおばけの話。子泣き爺みたいに重くなる。
「円盤着陸」は、
鬼形礼がエイリアンにアブダクションされる話。
矢追純一の本を資料にしてる。
「ドラフトの星」は、
甲子園のヒーローが意中のプロ野球球団に入るため
謎の老人の力を借りるが、父親の強欲や周りのプレッシャーに潰される。
「ふとん」は、
学校の生徒の何人も同時にお爺さんが布団の上にいる悪夢を見る。
原因は寝たきり老人の孤独死だった。
鬼形礼や中神緑子や恐怖新聞などが登場しないので、
『恐怖新聞』と関係ない短編だったのかも?
語り手の主人公を鬼形礼に描き換えてもいいような。
「風呂」は、
鬼形礼の新しいクラスメイトの引越し先の屋敷のお風呂に
ソープ嬢の地縛霊がいて体を洗ってくれるサービス憑き。うそ
「自転車」は、
『弱虫ペダル』の巻島裕介みたいな顔の女性の霊が
自転車に取り憑いてるんで坂道を楽々登れて便利……当然うそっす。
「交霊会」と「竹之市再生」は、
鬼形礼と中神兄妹が交霊会に参加すると、
中神家に因縁を持つ按摩の竹之市の霊が現われ
取り憑かれた中神緑子は車に飛び込み死亡、
兄の中神洋介は乱心して暴れ警察に捕まるという
レギュラー・キャラなのに最悪のバッドエンド。
按摩は七代祟るらしいんすが、
交霊会に参加してない中神家の人(中神兄妹の両親)には危害を加えてないんで、
面白半分に霊を呼び出すもんじゃない。
時代劇や怪談なんかで座頭は執念深く悪辣な金貸しっていうのが定番で
西洋のユダヤ人金貸しと同じ役割。
「他人の顔」は、
写真に撮った自分の顔が老人に見えることに驚いた鬼形礼は、
死期が近いことを守護霊に告げられる。
抗う決心をした鬼形礼はポルターガイストを除霊するため
高い霊能を持つ小泉香具耶と霊場に篭るが……。
地震で行方不明になった鬼形礼が学校に現われ、
不審に思い後をつけたクラスメイト五人は墓場で惨殺される。
クラスメイト全員をバス事故で殺すように悪霊の霊団に鬼形礼が命令されるが、
既の所で裏切ってクラスメイトを救う。
そのことにより、死んでしまった鬼形礼は地獄行きを回避し
幽界に行ったはずだった。
しかし、その鬼形礼が恐怖新聞の配達人となって現われる衝撃の結末!
鬼形礼の葬式に後百太郎からの花輪がある。
「自分と自分」「名投手怪死」「ドラフトの星」
などの野球を題材にした話はあまり面白くない。
「真説四谷怪談」「ファラオの呪い」「北極点の謎」「生きていたモナリザ」
などの内容が雑誌『ムー』の内容とそうかわらないので、
『ムー』を一月読むと寿命が一日くらい減っているかも……。
エリナ松岡(UFO)の話になるとポルターガイストが絡んでこないんすが、
宇宙人に霊や悪魔の存在とかについて訊いてほしい。
霊場に篭ってる時にテレパシーでエリナ松岡を呼んで、
エイリアンとポルターガイストを闘わせるとか。
案外、エリナ松岡や円盤もポルターガイストが化けていたのかも?うそ
主要キャラ以外(鬼形礼の両親や中神洋介など)の絵を
アシスタントが描いているみたいなんすが、
つのだじろうと違う劇画調っぽい画風なんで統一したキャラデザじゃないのがマイナス。
『恐怖新聞』をオカルトやホラーの知識が無い状態で読むと新鮮に感じるだろうけど、
ストーリーはありきたりかな。
(『恐怖新聞』がオカルトやホラーの基本になり、
昔は斬新だったのが、今は当たり前になったせいなので、
『恐怖新聞』が面白くないということではないっす)