サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その143 土居通芳の地平線がぎらぎらっ

昔ケーブルテレビに入っていて、
チャンネルNECOで放送される邦画をよく視聴してたんすが、
その頃の記事の再録なんで話題が古い(元々古い話題なんすけど)
ので勘弁してください。


『地平線がぎらぎらっ - 土居 通芳』!
タイトルとか、まったく知らなかったんですが、
チャンネルNECOのあらすじに、
東宝末期に狂い咲き的に登場した和製ピカレスク・ロマンの傑作。
――と書いてあるんで、騙されたと思って観たら騙されなかったっす!
監督の土居通芳って人のことも全然知らなかったんですが、
ファミリー劇場で放送された
『日本怪談劇場』の「怪談 蚊喰鳥」を観ていたっす。
『日本怪談劇場』は、「怪談 牡丹灯籠 蛍火の巻」か「怪談 宇津谷峠」まで観たんですが、
映像は良いんですがストーリーに捻りがなくて、
それ以降の話は録画したままでまだ観てないっす。
「怪談 宵宮雨」「怪談 雪女」も土居通芳監督らしいので、いつか観るっす。
あと『爆弾を抱く女怪盗』を観たことがある。

ジェリー藤尾が主演なんですが、
私のジェリー藤尾についての印象は、
1980年代にテレビでなんとなく存在を知り――
濃い顔の優しい家庭人ってイメージだったんですが、
その後、離婚でゴタゴタになった。くらい
私が古い邦画を観るようになってから、
ジェリー藤尾は若い頃、喧嘩が強い暴れん坊だったと知ったかな。
『地平線がぎらぎらっ』のジェリー藤尾はエネルギッシュでギラギラしてます。


標題:ジェリー藤尾がぎらぎらっ

分類:映画>邦画>ピカレスク

■題名:地平線がぎらぎらっ

監督:土居 通芳

音楽:松村 禎三

出演:
ジェリー 藤尾
多々良 純
天知 茂
星 輝美

発表年:1961年

製作国:日本

評価:A ★★★★○~B ★★★☆くらい

■内容・雑記:
<二舎六房のシックス・ソウルズ(うそ)>
マイト(ジェリー 藤尾):
新入りの服役囚なのに態度がデカイ。
権力に反抗的で、歌と太鼓(ドラム)が上手い。
シャバに大量のダイヤモンドを隠していると噂される。

カポネ(多々良 純):
ある時はスカーフェイスアル・カポネ、またある時はチャップリン
囚房の牢名主(まとめ役)で凶悪犯。
反抗的なマイトに腹を立て殺そうとするが……。

教授(天知 茂):
本名は坂本龍一YMOのメンバー。うそ
詐欺や恐喝などの頭脳犯。沈着冷静な眼鏡。
手先が器用で鍵破りが得意。

バーテン(沖 竜次):
ホステスの妻が客といちゃつくのに腹を立て傷害事件。
世渡り上手だが、妻のことになると見境がなくなる。
ダイヤモンド埋蔵場所近辺の土地鑑があり、
車の運転が出来る。

色キチ(大辻 三郎):
釣りキチ三平ならぬ色キチ大平。
若い女に目がない性犯罪者。
吃音のちんちくりんで、下っ端としてこき使われるチンドン屋

海坊主(晴海 勇三):
本名は伊集院隼人。元傭兵の凄腕。うそ
密輸で捕まり、出所後に五人の脱獄を手引きする。


<あらすじ>
刑務所の雑居房に生意気な新入りマイトが来てから
雑居房の秩序が乱れ、他の囚人はイライラな日々を送る。
マイトを始末しようとするが、
マイトがダイヤモンドを隠している情報を聞きつけた海坊主が
みんなを止める。
ダイヤモンドの分け前を貰いたい囚人達は、
マイトを持ち上げリーダー格にするが、カポネは内心不服。
先に出所した海坊主からヤスリを仕込んだ聖書の差し入れを貰い脱獄を準備、
鉄格子を切断するが後一歩のところで部屋替えで元の木阿弥。
脱獄後の逃走用の車との待ち合わせ時間が迫り、
計画を変更して暴動の騒ぎに紛れマンホールに隠れるマイトら五人。
なんとか脱獄に成功した囚人達だが、集合場所の海坊主の家では
ダイヤモンドの分け前をめぐり海坊主と色キチが仲間割れ――。
この後、グロンサンの宣伝カーを乗っ取り
ダイヤモンドを埋めた(地平線がぎらぎらっした)場所を目指すんですが、
警察に追われる中、子供達に販促品(風船など)を配ったり、
若い娘(星輝美)を拉致したり、村祭りに飛び入り参加したり、と大忙し。
当然、仲が良いわけでもない凶悪犯や小悪党の集まりなんで、
分け前を増やすため、隙を見て足手まといな色キチをカポネが始末。
埋蔵場所直前で、突然、マムシに咬まれるマイト。
正確な場所を知っている瀕死のマイトを引き摺り
カポネと教授は柿木のある丘を目指すが、
はたしてそこにダイヤモンドはあるのか……。


マイト(ジェリー藤尾)が、矢吹丈みたいに喧嘩が強くて生意気なんで、
ねじりん棒ならぬ布団蒸しの制裁を受ける。
ジェリー藤尾が劇中で歌う主題歌の「地平線がギラギラ」や、
祭りの飛び入りで叩く太鼓がエネルギッシュで上手い。
ヒロイン役の星輝美って初めて知ったんですが、
嘘か本当か「京都の冬が寒かったから」という理由で女優を引退したみたいっす。
お宝(大金や金塊や宝石など)をめぐり悪人達が共闘からの仲間割れっていう定番。
セルジオ・レオーネの『続・夕陽のガンマン』とか、
豊田利晃の『ナイン・ソウルズ』とか、
Vシネマなんかによくありそうなストーリーなんですが、
1961年に、これだけ面白いモノを作ってるのが凄い。 

ジェリー藤尾は『偽大学生 - 増村 保造』での演技も凄かったなぁ。