サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その177 舛田利雄と石原裕次郎

東映シアターオンライン」で『社葬 - 舛田 利雄』を観たんすが、
徳永常務(江守徹)に社長になるように詰められた
粗チンの谷専務(加藤武)が「よし、わかった!」と
市川崑監督の「金田一耕助シリーズ」みたいなこと言ってる。
『社葬』は、新聞社の派閥(後継者)争いの話なんすが、
「日本の新聞はインテリが作ってヤクザが売る」っていうコピーと、
冒頭の新聞拡張員が勝手に契約の判子を押す場面と、
腹上死した岡部憲介社長(高松英郎)の死体を
酔っ払いのふりして運び出す場面を遙か昔に観た覚えがあるかな。
私は新聞拡張員が嫌いなんすよね、一人暮らししていた頃に酷い目に遭っているので。
東京に引っ越したばかりの初日に、近所のモンなんだけどって
パンチパーマにサングラスの男が荷解きで忙しい時に来て、
(不動産などから何処に新居者が入るか情報が回っているみたい)
その地域の祭りに協力しているだなんだ言って組関係者(ヤクザ)を臭わせて
新聞の契約を取りに来たんすよ。
一度は断ったんすが、何度も来てしつこいんで契約しちゃったんすよ。
次に引っ越した先では、私と同じ学生みたいなのが「引っ越して来たんですか?」
と話しかけてきて、同じアパートの住民だと思って仲良くしとかなきゃ……
と思ったら新聞の勧誘……。
一ヶ月だけって約束で契約したのに、三ヶ月単位だって勝手にされてるし……。
新聞の契約を断って、少し経って玄関を見たら靴が隠されていたこともあるし……。
同僚に新聞奨学生だった人がいたんすが、
薬の治験バイトは金になるっていって、副作用が出れば長期にお金が貰えるからもっと良い。
みたいなこと本気で言ってるんすよ。
普通は大金払ってでも病気を治したいのに、
金が欲しいから副作用に苦しむくらい平気っていう考えが理解出来なかったっす。


昔ケーブルテレビに入っていて、
チャンネルNECOで放送される邦画をよく視聴してたんすが、
日活系のチャンネルなんで古い日活の映画が放送されるんすが、
昔の日本の大手映画会社の中で日活はあまり私の好みじゃなくて、
舛田利雄今村昌平鈴木清順中平康蔵原惟繕浦山桐郎
などの作品や芦川いづみが出演しているなら視聴するって感じで、
下から後光が差している日活ロゴ以前っていうか、
ロゴが手彫りの頃の文芸映画や純愛もの映画を撮っていた頃の方が私の好みで、
ヤクザや不良が主人公で荒唐無稽な無国籍アクション映画を
撮っていた頃はあまり好きじゃないかな。
無国籍アクション映画はリアリティが無くファンタジーって感じで
観終わっても何も残らないっていう感じがして……、
今観ると昔の風景や建物や乗り物やファッションなどが見れるんで
違った楽しみ方は出来るんですが。

下記は、2016年から2017年頃の記事の再録で作品を観直していないので
間違ったことが書いてあっても勘弁してください。


私は、日活の二大スター石原裕次郎小林旭では、
小林旭の方が好きなんですが、
石原裕次郎の方が、舛田利雄中平康の監督作品に主演しているので、
けっこう観てるっす。
舛田利雄監督の映画は画面作りがダイナミックで、
アクションが迫力あって、なんか好きで観ちゃうんすが、
(日活とかの)アクション映画なんで物語が荒唐無稽(整合性が無い)で、
観終わると心に何も残らないんすが、
かっこいい映像(演出)の場面だけ印象に残るっす。
録画したのも観たら消しちゃうので、
もう何年も前に観て内容を憶えてないモノ(作品)が多いんすが、
私が観たことのある舛田利雄監督・石原裕次郎主演の映画のメモ。


標題:舛田利雄と赤い石原裕次郎

分類:映画>邦画

■題名:
赤い波止場
赤いハンカチ
赤い谷間の決闘

監督:舛田 利雄

出演:
石原 裕次郎

(※下記『赤い波止場』)
北原 三枝
中原 早苗
轟 夕起子
大坂 志郎
二谷 英明
岡田 真澄

(※下記『赤いハンカチ』)
二谷 英明
浅丘 ルリ子
森川 信
金子 信雄
川地 民夫
桂 小金治

(※下記『赤い谷間の決闘』)
渡 哲也
岩崎 加根子
小沢 栄太郎
桂 小金治
太田 雅子 (梶 芽衣子)

発表年:
1958年
1964年
1965年

製作国:日本

評価:
A ★未確定
A ★未確定
B ★未確定

■感想:

『赤い波止場』は――
元ネタはジュリアン・デュヴィヴィエの『望郷』。
相米慎二監督が好きな邦画らしい。
全編神戸ロケで映像がかっこいい!
1958年の日本映画で、この完成度は凄いかな。
ヒロインの北原三枝石原裕次郎の奥さん)より、
マミー(中原早苗深作欣二の奥さん)の方が魅力的。

『赤いハンカチ』は、あまり憶えていないけど、
出来が良かったイメージがあるっす。
最後に、会話を(オープンリールで)録音して犯罪の証拠にする場面だけ、
金子信雄が変な動きをしているなと思って)
なぜか印象に残ってる。

『赤い谷間の決闘』は、北海道を舞台にした西部劇って感じかな。
石原裕次郎は別格呼ばわりされる元猟師。
でも、猟銃で悪いヤツラを撃ちまくるわけではない。
北海道の荒野と石切場採石場)などのロケーションが日本離れしていて良い。
デビューしたての梶芽衣子が出ていて、まだ野暮ったい。

 

■題名:
錆びたナイフ
今日に生きる
青年の樹
男と男の生きる街
零戦黒雲一家
太陽への脱出
殺人者を消せ
青春とはなんだ
夜のバラを消せ
栄光への挑戦
嵐の勇者たち
スパルタ教育 くたばれ親父

監督:舛田 利雄

出演:
石原 裕次郎

(※下記『錆びたナイフ』)
北原 三枝
小林 旭
白木 マリ (白木 万里)
宍戸 錠
安井 昌二
高原 駿雄
杉浦 直樹
柳瀬 志郎
青木 富夫 (突貫小僧)
清水 将夫

(※下記『今日に生きる』)
二谷 英明
南田 洋子
北原 三枝
宍戸 錠
金子 信雄
武藤 章生
深江 章喜
江木 俊夫
三浦 和義

(※下記『青年の樹』)
芦川 いづみ
北原 三枝
芦田 伸介
大坂 志郎
梅野 泰靖

(※下記『男と男の生きる街』)
加藤 武
大坂 志郎
渡辺 美佐子
芦川 いづみ
南田 洋子
長門

(※下記『零戦黒雲一家』)
二谷 英明
渡辺 美佐子
大坂 志郎
浜田 光夫

(※下記『太陽への脱出』)
岩崎 加根子
二谷 英明
宇野 重吉
梅野 泰靖
殿山 泰司
高品 格
田中 明夫
南田 洋子

(※下記『殺人者を消せ』)
十朱 幸代
小池 朝雄
高松 英郎
大坂 志郎
名古屋 章
荒木 一郎
浦辺 粂子

(※下記『青春とはなんだ』)
十朱 幸代
桂 小金治

(※下記『夜のバラを消せ』)
由美 かおる
芦川 いづみ
東野 英治郎
三島 雅夫
永井 秀明
清水 将夫
河村 弘二
宮城 千賀子
西尾 三枝子
斎藤 チヤ子
白木 マリ (白木 万里)
横森 久
藤 竜也
高品 格

(※下記『栄光への挑戦』)
浅丘 ルリ子
八代 真矢子 (八代 万智子)
川地 民夫
小林 桂樹
北村 和夫
赤座 美代子

(※下記『嵐の勇者たち』)
渡 哲也
浜 美枝
吉永 小百合
山本 陽子
芽衣
宍戸 錠
二谷 英明
浜田 光夫
川地 民夫
内田 良平
藤 竜也
岡田 真澄 (岡田 眞澄)

(※下記『スパルタ教育 くたばれ親父』)
若尾 文子
渡 哲也
有川 由紀
川地 民夫
金田 正一

発表年:
1958年
1959年
1960年
1962年
1962年
1963年
1964年
1965年
1966年
1966年
1969年
1970年

製作国:日本

評価:
C ★未確定
B ★★★○~C ★★☆くらい
C ★未確定
B か C ★未確定
B ★未確定
B ★★★☆~B ★★★◎くらい
C ★未確定
C ★★○くらい
C ★★◎くらい
C ★★☆くらい
C ★★☆くらい
C ★★△

■内容・雑記:

『錆びたナイフ』は――
なんか石原慎太郎原作だと、
主人公の恋人が輪姦(強姦)されて自殺するってパターンが多いような……。
恋人を乱暴した男を刺し殺した橘行彦(石原裕次郎)は
出所後バーのマスターに納まっているが、
恋人が乱暴された事件には裏があったことを後で知り怒り爆発!
前半の橘は錆びたナイフって感じでなんか女々しいんすが、
後半は弟分の寺田誠小林旭)が殺され、
出川哲朗みたいな切れたナイフになるっす。
勝又清次(杉浦直樹)の子分で高田(柳瀬志郎)ってのがいるんすが、
遠目に見ると小池朝雄っぽくて私はよく間違うんすよね柳瀬志郎を。
黒幕との連絡にハム(アマチュア無線)を使っているのが時代だな。

『今日に生きる』は――
二つの運送会社がしのぎを削る鉱業都市に流れ者(石原裕次郎)が現われ
(ダンプ)トラックの運転手になるが、経営者(二谷英明)が殺され、
残された妻子(南田洋子江木俊夫)に昔の自分を重ね立ち上がり、
ライバルの運送会社の不正を暴き街から去っていく。
ロケ地は茨城県日立市らしいので、昔の鉱業都市の風景が見れる。
当時の(ダンプ)トラックや列車や鉱山爆破の映像が迫力があってかっこいい。
石原裕次郎がすらっとしていて(スタイルが良い)かっこいい。
石原裕次郎を追ってきた従妹・恋人役の北原三枝より南田洋子の方がヒロインっぽい。
江木俊夫が子役で出てるんすが、台詞回しが大人っぽく利発そう。
そしてなんと、石原裕次郎の子供時代の子役にロス疑惑三浦和義が。

『青年の樹』は――
石原慎太郎の原作なんですが、
学生運動汚職事件を追求する場面とかみて、
昔は理想に燃えていた小説家が政治家になり、搾取を糾弾する側から搾取する側になったんだな。と
話はヤクザの息子が大学に入学して退学になるまでの青春と苦悩。
最初の入学式と最後の俺たちの戦いはこれからだ!みたいな場面の学生達のモブシーンとか、
港湾や建物のロケとか今の邦画でやると手間(金)かかるだろうなぁ。
ピーター・ウィアーの『いまを生きる』で(先生や生徒が)机の上に立つ場面があるんすが、
『青年の樹』でも同じような場面がある。
山形香世(北原三枝)は母違いの和久武馬(石原裕次郎)の姉で、
妹の明子(芦川いづみ)と武馬は血の繋がりがないっていう複雑な関係なんすが、
香世からすると武馬と明子は弟妹なんで二人が結婚すると……どうなるの?
武馬と明子が朝帰りして、小さな恋人たちの像の前で牛乳を飲む場面が微笑ましい。

『男と男の生きる街』は――
刑事の父を殉職で亡くした新聞記者の岩崎(石原裕次郎)は、
父の部下だった北川(加藤武)を恨んでいた。
数年後、フランス帰りの画家の殺人事件をきっかけに、
父の追っていた事件と死の真相に関わる密輸組織に迫る!
芦川いづみが出演しているのと、
加藤武長門勇横溝正史シリーズかよ)が出演しているのが見所かな。
脚本に熊井啓が参加しているせいか、説明台詞が多くて
ヤクザの親分なのに子分を使わず自ら手を下したりで、
あまり面白い話ではない。

零戦黒雲一家』は――
男しかいない島に慰安婦が一人流れ着くっていうアナタハン島みたいな設定。
最後に潜水艦が救出に現れるのがキスカ島撤退作戦みたいで迫力がある。

『太陽への脱出』は――
日本も武器輸出を原則解禁する方向に向かってるみたいっすが、
『太陽への脱出』は武器輸出三原則の時代に、
海外(東南アジア)に武器を密輸する商社マン(死の商人)の苦悩と葛藤。
タイのバンコクが舞台(ロケ地)なんでスケールが大きく、
当時のバンコクの様子(寺院や市場や街並みや空港など)が観れる。
現地妻(岩崎加根子)の健気さと悲哀が泣かせる。
「もうそろそろ死のうよ」と石原裕次郎が言って
初めて劇中で死ぬことになったらしいんすが、
武器工場爆破は失敗し、裕次郎が蜂の巣になって死ぬ最後は壮絶で、
サングラスに朝日が昇っていくのが映りこむという凝った映像で終わる。
圧力に負けたマスコミ(新聞社)が
日本に呼び寄せといて見捨てるのが酷い。

『殺人者を消せ』は――
石原裕次郎カストロ髭の似合わなさ具合が逆に凄い。うそ
陽キャラの石原裕次郎に対する、陰キャラの小池朝雄が良い。

青春とはなんだ』は、青春学園ドラマの元祖、定番って感じの映画。
不良や優等生、恋愛や家の問題、ラグビーなど、
その後に作られる青春学園ドラマの雛形で、
原作の石原慎太郎が弟の石原裕次郎をイメージして主人公の高校教師を造形したみたい。
アメリカ帰りの英語教師が学校の人気者になり、
女教師や女生徒にモテモテ、ウザい不良生徒やPTAを丸め込むのが、
悪の教典』に設定が似ている。背中にナイフの刺し傷もあるし。
「しなのいわしろ」って駅が出てくるから、長野県が舞台みたいだけど、
実際には無い架空の駅(土地)みたいっす。
生徒達のモブシーンとか、最近の邦画なんかとくらべると、
生き生きとした群衆場面でなんか良いんですよ。

『夜のバラを消せ』は――
悪徳政治家や悪徳企業などの悪事を暴き制裁する
007(ジェームズ・ボンド)みたいなスパイものかな?
徳川新六(石原裕次郎)を、香港から梨花(斎藤チヤ子)って女が追ってくるんですが、
バイクに乗っていて黒いライダースーツなんで峰不二子みたい。
その梨花から逃れ、追ってくる白バイ隊員を撒くために、
なんの関係もない対向車のトラックを横転させて道路を塞ぐという非道な新六。
政財界の大物達の秘密を探るため、その妻や愛人を篭絡する新六。
新開発の爆薬 LY7(エルワイセブン)を香港に密輸しようとする計画を掴む。
しかし新六のボス(東野英治郎)は、それ以上の追求をしようとはしない。
ボスの行動に疑問を感じた新六は独自に行動を起こすが、
何者かに命を狙われる!
新開発の爆薬 LY7 は、常温では爆発しないけど、
750℃以上の熱に接触すると1000分の2秒で大爆発するっていう液体で、
捕らわれ手足を縛りつけられた新六を拷問するのに使われるんすが、
時計の針が進む描写とか、緊迫感を狙っている演出なんだろうけど、
なんか間抜けでくどい。
車に乗っている人間を車ごと穴に落とし、
トラックで四方八方から砂利を落とす演出とか迫力ある。
由美かおるの映画デビュー作みたいで、
凄い若くて演技も拙いけど、バレエ仕込の踊りはキレがある。
由美かおるの顔はアヒル顔というか、尾藤イサオっぽく感じる時がある。
最後に、LY7 を積んだ船を爆破するんですが、
新六「泳ぎの方はどうだ?」
飛鳥井ゆかり(由美かおる)「河童よ。どうして?」
という会話を聞いて、
由美かおるってカータンぽいかも。と思う。
私は、芦川いづみが美人で好きなんですが、
東野英治郎からセクハラされてる場面とか)
少ししか登場しません。
夫の藤竜也もちょい役で出てる。

『栄光への挑戦』は――
元ボクサーの宗吾郎(石原裕次郎)が起業し、
香水店から始まり画廊など次々事業を替え
東銀座に自社ビル(ムネビル)を持つまで成功する。
宗が計画するヘリポート付きのビル建設を快く思わない財界のボスが、
ヤクザを使い宗の事業を妨害し、宗を売春と殺人容疑で陥れようと画策する。
(中略)
色々あって最後は、スケートパレス(スケート場)で
石原裕次郎浅丘ルリ子が抱き合って大団円。
宗がムネビルの地下駐車場からエレベーターに乗り
7階の会社事務所まで昇って行くシークエンスが凄く良い!
<ムネビル>
RF 屋上庭園 遊歩道
F9 ホール 会議場
F8 事務室 スカイラウンジ
F7 ムネ 興業株式会社
F6 トルコ風呂 サウナ風呂 ムネ
F5 キイクラブ ムネ (MEMBER'S CLUB ムネ)
F4 ナイトクラブ ムネ
F3 レストラン ムネ
F2 ショッピング センター
F1 ショッピング センター
B1 ボーリング センター
B2 ムネ 駐車場
石原裕次郎専科さんのサイトを参考にしてます。
――のB2からF7まで各階のフロアとガラスに反射した宗の姿を映す場面。
銀座にあった不二家ペコちゃんの大きな電飾看板とかの風景が観れる。
ムネビルの社長室の窓から銀座の街並み(ビルや電飾看板)が見れるんすが、
社長室がセットっぽいので、窓の外の風景はミニチュアのセットなのかも?

『嵐の勇者たち』は――
最初、映画が始まって石原裕次郎の「反逆のメロディー」が流れるんすが、
画面が真っ黒なんで電波(通信)状態が悪くて録画失敗したのかと思って、
早送りしたら日活のマークがちゃんと出て、
車で目的地(日本共栄連合会結成式会場)まで行く
都会の街並みを映すようなオープニングが別にあって驚く!
日活のオールスター登場って感じで、
小林旭以外の、宍戸錠二谷英明吉永小百合、渡哲也とか出演してるし、
ヘリコプター数台を投入してのアクションとか豪華。
元刑事の島地(石原裕次郎)と車椅子の神崎(二谷英明)達のグループと、
日本共栄連合会の生駒に潰された組(暴力団)の残党・唐沢(渡哲也)達のグループが、
生駒の婚約者・志摩亜紀子(浜美枝)が身に付ける一億円のダイヤを狙い
日本共栄連合会結成式に出席する。
会場が突然停電になり、明かりが点くと亜紀子の姿が忽然と消えていた。
ダイヤは島地達が奪い、亜紀子は唐沢達によって誘拐されたのだ。
ダイヤを奪えなかった唐沢達は亜紀子の身代金を生駒に要求する。
島地達も奪ったダイヤがニセモノとわかり、生駒から高額の報酬で亜紀子救出を請け負う。
ダイヤが最初からニセモノだったのか、
途中で亜紀子がニセモノとすり替えたのかわからないんですが、
元刑事とヤクザの残党と悪女と組織がダイヤを巡っての三つ巴、四つ巴の争いかな。
と思ったんすが、途中から島地達と唐沢達(と服飾デザイナー達)が協力して
巨悪の生駒に立ち向かう話になっとります。
この映画の凄いところは、
アンチ(ピカレスク)ヒーローといえる役の石原裕次郎が、
清純なヒロイン役の吉永小百合を盾にして、
渡哲也が待ち受け銃を撃ってくるボートハウスに近づいていくという
卑怯(鬼畜)な行動するとこ。
吉永小百合の後ろに身を隠し、銃弾を避ける石原裕次郎の小物ぶりを見て、
なんか笑いがこみ上げてくるっす。
吉永小百合山本陽子梶芽衣子の女の子三人組は、
梶芽衣子と並んでも吉永小百合が一枚上の美人に見えるのが
既にスターとして確立してる余裕のせいかな。
デザイナー役なのに、吉永小百合の着ている
黄色いチョッキ(ベスト)みたいな服のファッションセンスはないと思うけど。

『スパルタ教育 くたばれ親父』は――
学生運動で偏向しヒッピーっぽい不良青少年達を
スパルタ教育(体罰と運動)によって更生させるという
原作の石原慎太郎の思想を映画化?
ダイニチ映配ということか、若尾文子が共演と珍しいけど日活では違和感。
石原裕次郎ホームドラマに合わないと思う。
渡哲也が(サービスなのか)なぜか上半身裸になる。
子役が良い演技してるけど、悪ガキ達で他所の家の牛乳瓶を割るし、
ゴミ箱を荒し、花壇を荒らし、車に悪さするしで、悪戯が度を越している。
石原裕次郎プロ野球の審判役なんですが、
妻役の若尾文子は審判なんか辞めて他の仕事に就いて欲しくて、
テレビでやたら織戸組のコマーシャルが流れるので伏線だと思い、
最後は審判を辞めて織戸組に転職するもんだと思ったら、
そんなこともなく協賛してるだけみたい。
ホームドラマなんで、舛田利雄監督らしさ(演出)があまり観られないなと思ったら、
最後に、父(石原裕次郎)の実家の漁村に(父以外の)家族で夏休みに行くと、
暴走族が浜を荒らしまくっていて地元の漁師達が大弱りしてて、
漁協の組合長をやっている祖父の家の中を暴走族がバイクで走り回る。
っていう凄いダイナミックでバイオレンスな場面が出てきて
さすが舛田利雄と思ったっす。
それで、みんなが困っているところに駆けつけた石原裕次郎と渡哲也が暴走族を打ち払い、
父親の権威を復権するみたいな大団円。
まぁ、本物の漁師はヤクザも恐れるくらい強いので、
ちゃらい暴走族なんて一捻りだと思うけど。


分類:映画>邦画>時代劇

■題名:
影狩り
影狩り ほえろ大砲

監督:舛田 利雄

出演:
石原 裕次郎
内田 良平
成田 三樹夫
丹波 哲郎

(※下記『影狩り』)
浅丘 ルリ子
辰巳 柳太郎
江原 真二郎

(※下記『影狩り ほえろ大砲』)
夏 純子
加藤 嘉
ルーセル・麻紀
宮下 順子
白木 万里

発表年:1972年

製作国:日本

評価:C ★★◎

■内容・雑記:
財政逼迫の徳川幕府は諸大名から領地を召し上げるために、
影(隠密)に諸大名の内情を探らせ落ち度をあら探ししていた。
かつて影に自藩を取り潰しにされた室戸十兵衛(石原裕次郎)、
日光(内田良平)、月光(成田三樹夫)の三人は、
影に狙われた諸藩に雇われる影狩りとなる。

『影狩り』は、家康公からの永代本領安堵のお墨付きを運ぶのに影の攻撃から護衛。
『影狩り ほえろ大砲』は、
鋳潰した大砲(おおづつ)四海波の代りの大砲を運ぶのに影の攻撃から護衛。
とストーリー展開がほぼ同じで、ロケーションも山中で同じ。
舛田利雄監督が時代劇をやるのは珍しいと思うので、
(『必殺!5 黄金の血』とかあるけど)
大映東映とかの時代劇に慣れた目で観ると演出が異色。
剣士対忍者の闘いなんですが、忍者のスタントの宍戸大全とグループが頑張ってるなと思う。
殺陣も切られれば血しぶきが飛ぶし、『影狩り』では首チョンパが多い。
(『影狩り ほえろ大砲』では予算の関係か首チョンパが無い)

室戸十兵衛役の石原裕次郎が顔を黒くメイクして髭面なんですが、どー見ても悪人面。
ハードボイルドな主人公って、絶倫で女に目がない設定が普通だと思うんすが、
十兵衛は主家の若君を介錯してからインポになってしまい、
介錯するときの十兵衛の格好が、ちょうちんブルマーをはいているみたい)
女に興味がないっていう変わった設定で、
『影狩り』では許婚だった千登世(浅丘ルリ子)を最後に殺す非情さ。
主人公の代りに、脇役の日光が女好きって設定で、何処でも女に手を出す。

『影狩り』の見所は、
月光を誘惑するくノ一のむらさき(堀井永子)の巨乳。
(日光を誘惑するくノ一のくれない(山岸恵美子)は貧乳)

『影狩り ほえろ大砲』の見所は、
牛と大砲が空を飛んで移動する!……とこかな。
くノ一役の白木万理のお色気場面があるんすが、
必殺シリーズ』のりつ役に慣れているので違和感がある。

石原裕次郎勝新太郎とかと比べたら可哀想なんですが、
(時代劇にあまり出演していないからか)
殺陣があまり上手くないかな。

音楽は、
『影狩り』を、廣瀬健次郎、猪俣猛とサウンド・リミテッド
『影狩り ほえろ大砲』を、玉木宏樹
がやっているんすが、時代劇にあまり合っていないかな。

プログレ一口メモ>
猪俣猛とサウンド・リミテッドと、
玉木宏樹&S・M・Tの『タイム・パラドックス
は日本のプログレとして聴ける。

 

昭和の大スター・石原裕次郎を私が認識したのは、
太陽にほえろ!』のボスと、
父が石原裕次郎の歌が入った8トラックのカートリッジテープをよく聴いていたから
名前を知ったかな。
私の本音を言うと、
石原裕次郎のどこが良い(凄い)のかまったくわからないっす。
裕次郎ファンの方、すみません)
顔がかっこいいわけでもないし、演技が上手いわけでもない……。
(個人の感想です)
色々な映画やドラマで、色々な役を演じても、
演技の幅(違い)がなく、(主役しか出来ない)全て同じ感じのキムタク演技。
映画デビュー当時はスタイルも良くかっこよかったとは思うんですが、
中年のボス状態から知った私には魅力を感じず、
キャラが強い小林旭宍戸錠の方がいいかなって感じだったっす。
でも、どの映画やドラマでも存在感はあるんで、
昭和って時代を代表する大スター(時代の寵児)なんだなとは思うっす。