サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その395 鈴木則文の温泉みみず芸者

マキノ正博マキノ雅弘)監督の『殺陣師段平』を観たら、
けっこうエロくて、段平が無限精流とか使ってる……。
それは『温泉みみず芸者』『温泉スッポン芸者』だろがっ!
なんか『温泉むすめ』ってのが話題になってるみたいで、
「温泉芸者シリーズ」の最新作『温泉むすめ芸者』とかかな……
と勘違いしたもんで……うそ。
(※2021年11月末に書いた記事の再録です)


標題:現代ポルノ伝 温泉コーブン芸者

分類:映画>邦画>エロ / コメディ

■題名:
温泉みみず芸者
温泉スッポン芸者

監督・脚本:鈴木 則文

脚本:
掛札 昌裕 (※『温泉みみず芸者』)
関本 郁夫 (※『温泉スッポン芸者』)

音楽:
鏑木 創 (※『温泉みみず芸者』)
荒木 一郎 (※『温泉スッポン芸者』)

出演:
杉本 美樹
三原 葉子
松井 康子
女屋 実和子
名和 宏
岡部 正純 (岡部 征純)
大下 哲矢
山城 新伍
川谷 拓三
大泉 滉
由利 徹
岡 八朗
殿山 泰司
中村 錦司
団 鬼六
田中 小実昌
菅原 文太

(※下記『温泉みみず芸者』)
池 玲子
小池 朝雄
芦屋 雁之助
芦屋 雁平
小島 慶四郎
清水 正二郎 (胡桃沢 耕史)
佐藤 重臣
小松 方正 (※ナレーション)

(※下記『温泉スッポン芸者』)
松村 康世
城 恵美
潤 まり子
成瀬 正孝
菅 貫太郎
金子 信雄
片桐 竜次
白井 孝史 (白井 滋郎)
月亭 可朝
福地 泡介
笹沢 左保
中島 貞夫

発表年:
1971年
1972年

製作国:日本

評価:
B ★★★◎
C ★★☆
(※『温泉みみず芸者』が評価:B で、『温泉スッポン芸者』が評価:C ですが、
作品の出来は同レベルです。
『温泉みみず芸者』は池玲子小池朝雄が出演していて、
『温泉スッポン芸者』は二番煎じだからで、
C だからといって評価が低いわけではありません)

■内容・雑記:

『温泉みみず芸者』
蛸壺を生み出した先祖を持つ由緒ある家柄の多湖家の母娘が、
借金の抵当に入っている先祖の墓を取り戻すため体を張る。
多湖圭子(池玲子)は、貯めていた金を母の初栄(松井康子)が
愛人の西山(由利徹)に渡し持ち逃げされたことに怒り東京に出て行く。
トルコ風呂で働き始めた圭子は、
持ち前のたこつぼ(名器)でトルコの天才と呼ばれ人気を博す。
トルコの社長(芦屋雁之助)を腹上死させた圭子は
母に呼び出され西伊豆の土肥温泉の旅館に行くと、
また男に騙された母が宿泊費の支払いに困り助けを呼んだことに呆れる。
東京に行く時に知り合った板前の馬島敬太郎(小池朝雄)が
支払いの肩代りを申し出るが圭子は断り、芸者として働くことにする。
トルコの社長の弟でマムシホルモンの社長・
大牟田善吉(芦屋雁之助の二役)が圭子の旦那になり
お金の心配がいらなくなると思いきや善吉も腹上死して、
母が馬島の友人でオトナのオモチャ発明家の広瀬(山城新伍)とできて
多額の借金を圭子に押し付け消えてしまう。
そんな中、温泉場に
無限精流流祖 竿師段平(名和宏
師範代八段 黒竿段吉(岡部正純)
高弟五段 ピストン健(大下哲矢)
の三人が現われ、
これと目を付けた芸者に近づいてベッドを共にしては意のままに操り、
他の土地に鞍替えさせてしまう危機が迫る。
借金の帳消しと引き換えに圭子は竿師段平達と勝負することになり、
妹の幸子(杉本美樹)も呼び寄せ、
多湖家の母娘対無限精流の世紀(精気、性器)の三本勝負が始まる。

多湖初栄「女はみんな神様なんだよ。
それをいろんな理屈を付けて一人の男に縛り付けようとする
世の中がどうかしてんのさ」

クルーザーの船首でポーズを取る圭子の姿から、
日本のアニメとか好きなジェームズ・キャメロンは、
タイタニック』のローズとジャックが船首でポーズを取る場面を思いついたのかも。うそ
圭子と馬島が浜辺で結ばれる夕暮れの場面が、
金曜ロードショー』の初代オープニング
「フライデー・ナイト・ファンタジー」が流れる夕焼けの波止場に影響を与えたのかも。うそ

内容的にタイトルは『温泉たこつぼ芸者』が合ってると思うんだけど、
岡田茂(後の東映社長)が『温泉みみず芸者』に代えたみたい。
芸能人が若くサバを読むのは多いと思うけど、道徳的な問題で逆に年上に偽り
池玲子が撮影当時16歳で杉本美樹より年下なのに驚く!


『温泉スッポン芸者』
亡き父が天然のスッポンに拘ったため潰れた
老舗スッポン料理屋の娘・浅井夏子(杉本美樹)は、
三条さゆりという名でストリッパーをしたり、
クラブでバニーガールをしている偽学生。
夏子に上流家庭のお嫁さんになって欲しかった芸者の姉・良江(松村康世)は、
そのことを知りショックからダンプカーに跳ねられ死ぬ。
姉の残した借金を払うため城崎温泉で芸者になった夏子は、
スッポン芸者として名を馳せる。
そこに女体ブローカーの竿師段平が現われ、
芸者達を次々に虜にし温泉街の経営者達は大弱りし夏子に助けを求める。
夏子の亡き父の意思を継ぎ、
15年前に500匹のスッポンの子供を川に放したのを探す
スッポン気違いの服部倉次郎(菅貫太郎)を慕う夏子は、
彼のスッポン料理屋開業を手助けしようと段平との勝負を受ける。

夏子を付け狙う毛利人体改造工房の毛利高麿(山城新伍)っていう
整形外科医?が出てくるんすが、
日本人女性を白人女性に改造したり、
パリジェンヌ希望の田舎娘を黒人女性に改造してブラック・パワーとか言ってる。

<色道指南 無限精流>
色道指南 無限精流流祖 竿師段平:本名は横山段平で毛利高麿と戦友。
無限精流 佐渡渡り、無限精流 梯子段、無限精流 後家殺しを使う。
『温泉みみず芸者』では、あそこにパチンコ玉10個埋め込んでいて、
氷風呂や滝に打たれて鍛え、無限精流 逆櫓を使う。
仝 師範代八段 黒竿段吉:無限精流 笛吹童子を使う。
仝 門弟五段 ピストン健:無限精流 鉄火巻きを使う。
そして三人同時で、無限精流 千本突きを使う。
女体に孔雀の羽根が絡むと寺沢武一の漫画を連想する。
『現代ポルノ伝 先天性淫婦』では、
サンドラの妄想に出てくる三人組のイレズミ褌男が無限精流みたいな感じで、
褌男の一人は名和宏が演じてるんで、きっと竿師段平だと思う。うそ

女将の横溝富子(三原葉子)が
経総連理事長の石橋(殿山泰司)と寝るように夏子に頼むんすが、
女将の小学生の娘・かおるが
「おねーちゃん、やったらいーじゃん。減るもんじゃあるまいし」
と軽い感じで勧める。
夏子は7ヶ月の未熟児で産まれ、
ミルクの代わりにスッポンの血を飲み育ったんで、
一度吸い付いたら雷が鳴るまで離れない膣圧(膣痙攣?)の持ち主。
ゼニガメ芸者の八木陽子(城恵美)によって
化粧品会社会長・実裏角蔵(金子信雄)の万年勃起症が治るんすが、
反動によるインポを治そうと夏子と寝て腹上死。
偽学生の頃から夏子が好きだった角蔵の息子・実裏信治(成瀬正孝)は、
毛利高麿の元で勉強し夏子ソックリの人形を完成させるが
陽子に破壊され正気を取り戻す。
無限精流との勝負に勝った夏子は芸者姿でバイクに乗り去って行く。

杉本美樹のファンだという『木枯し紋次郎』の原作者・笹沢左保
東映劇場版『木枯し紋次郎』の監督・中島貞夫
紋次郎役の菅原文太がゲスト出演してる。

 

『温泉おさな芸者』の予告で、
どうか頭を使わずにバカになって見て下さい
――って字幕が出るんすが、
「温泉芸者シリーズ」はみんなそんな作品で、
初めて観ると、あまりのバカバカしさに呆れて面白いんすが、
何度も観るような名作ではないっす……。
女性の裸が(男性の裸も)いっぱい出てきますが
それほど卑猥さは無く可笑しみがある。

 

日活の『必殺色仕掛け - 藤井 克彦』を観たんすが、
俵絞めのおさね、蚯蚓千匹のおりん、数の子天井のおぬき、の名器三人女と
名刀の三男・喜三郎、馬並みの次男・慶次郎、イボイボ蛙の長男・沢太郎、
の奥野(色道)三兄弟がSEX勝負してるのが
『温泉みみず芸者』を連想したっす。
『昭和残侠伝』シリーズの花田秀次郎のパロディで花田優次郎や、
男はつらいよ』の車寅次郎のパロディで車蛾次郎って名器三人女のヒモが出てきます。
日陰花のおいくが沢太郎のイボを簪で潰すとこが必殺なのかも。
丹古母鬼馬二が大活躍するんで丹古母鬼馬二ファンにはたまらんかも……?