市川崑監督の映画は30作品以上観てるんすが、
品質の高い映像作品を量産していて凄いと思うんすが、
ちょっと醒めているというか神目線というか
第三者的な突き放した対象物描写をしているように感じるかな。
私が好きなのは『鍵』『黒い十人の女』『股旅』
『犬神家の一族 (1976年)』『悪魔の手毬唄』などかな。
特に『股旅』と『犬神家の一族 (1976年)』は
私の好きな邦画の上位に入るくらい大好き。
『火の鳥』を観て、
ミッシェル・ルグランの『火の鳥』テーマ音楽と
安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」がなんか似てると思い、
ナギ(尾美としのり)が
「オロ(風吹ジュン)、お前、女だったのか……」って台詞が
『大豆田とわ子と三人の元夫』で、
とわ子の母つき子の恋人・國村真が男だと思ったら
女(風吹ジュン)だった驚きにシンクロする。
市川崑監督の石坂浩二が金田一役の「金田一耕助シリーズ」を目録に。
分類:映画>邦画>ミステリー
■題名:
犬神家の一族
悪魔の手毬唄
獄門島
女王蜂
病院坂の首縊りの家
監督:市川 崑
原作:横溝 正史 (※出演:『犬神家の一族』『病院坂の首縊りの家』)
脚本:
久里子亭 (※市川 崑 / 日高 真也)
長田 紀生 (※『犬神家の一族』)
音楽:
大野 雄二 (※『犬神家の一族』)
小杉 太一郎 (※箏曲「双輪」:『犬神家の一族』)
村井 邦彦 (※『悪魔の手毬唄』)
田辺 信一 (※『犬神家の一族』以外)
深町 純 (※シンセサイザー演奏:『悪魔の手毬唄』)
江草啓介カルテット (※ジャズ演奏:『病院坂の首縊りの家』)
撮影:長谷川 清
出演:
石坂 浩二
加藤 武
大滝 秀治
小林 昭二
草笛 光子
三木 のり平
沼田 カズ子 (沼田 和子 ※『病院坂の首縊りの家』以外の出演と『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『病院坂の首縊りの家』の結髪)
坂口 良子 (※『犬神家の一族』『獄門島』『女王蜂』)
辻 萬長 (※『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』)
三谷 昇 (※『犬神家の一族』『獄門島』『病院坂の首縊りの家』)
常田 富士男 (※『悪魔の手毬唄』『女王蜂』『病院坂の首縊りの家』)
白石 加代子 (※『悪魔の手毬唄』『女王蜂』『病院坂の首縊りの家』)
高峰 三枝子 (※『犬神家の一族』『女王蜂』)
あおい 輝彦 (※『犬神家の一族』『病院坂の首縊りの家』)
三條 美紀 (※『犬神家の一族』『病院坂の首縊りの家』)
小沢 栄太郎 (※『犬神家の一族』『病院坂の首縊りの家』)
岸 惠子 (※『悪魔の手毬唄』『女王蜂』)
岡本 信人 (※『悪魔の手毬唄』『病院坂の首縊りの家』)
東 静子 (※『悪魔の手毬唄』『獄門島』)
司 葉子 (※『獄門島』『女王蜂』)
ピーター (池畑 慎之介 ※『獄門島』『病院坂の首縊りの家』)
中井 貴惠 (※『女王蜂』『病院坂の首縊りの家』)
萩尾 みどり (※『女王蜂』『病院坂の首縊りの家』)
(※下記『犬神家の一族』)
島田 陽子
金田 龍之介
地井 武男
川口 恒
川口 晶
原 泉
仁科 鳩美
大関 優子 (佳那 晃子)
寺田 稔
守田 比呂也
岸田 今日子
三國 連太郎
三ツ矢 雄二 (※写真のみ)
他
(※下記『悪魔の手毬唄』)
若山 富三郎
仁科 明子 (仁科 亜季子)
高橋 洋子
永野 裕紀子
永島 暎子
北 公次
大和田 獏
潮 哲也
渡辺 美佐子
頭師 孝雄
中村 伸郎
辰巳 柳太郎
冨田 恵子
川口 節子
原 ひさ子
林 美智子
日笠 潤一
山岡 久乃
他
(※下記『獄門島』)
佐分利 信
大原 麗子
内藤 武敏
太地 喜和子
浅野 ゆう子
一ノ瀬 康子
中村 七枝子
武田 洋和
東野 英治郎
松村 達雄
稲葉 義男
上條 恒彦
池田 秀一
荻野目 慶子
荻野目 洋子
他
(※下記『女王蜂』)
仲代 達矢
神山 繁
伴 淳三郎
沖 雅也
佐々木 勝彦
佐々木 剛
中島 久之
石田 信之
冷泉 公裕
武内 亨
高野 浩幸
花上 晃
他
(※下記『病院坂の首縊りの家』)
佐久間 良子
桜田 淳子
草刈 正雄
清水 こう(※糸偏に宏)治
入江 たか子
久富 惟晴
河原 裕昌 (河原 さぶ)
早田 文次
菊地 勇一
林 ゆたか
山本 伸吾
林 一夫
他
発表年:1976年~1979年
製作国:日本
評価:
S ★★★★★☆
S ★★★★★○
A ★★★★◎
B ★★★☆
B ★★★◎
■雑記:
ネタバレだらけっす。
『犬神家の一族 (1976年)』
探偵の金田一耕助(石坂浩二)は、
犬神家の遺産相続に懸念を感じた顧問弁護士の助手・若林に呼ばれ
信州の那須に赴くが面会する前に若林は毒殺されてしまう。
若林に代わり犬神家の顧問弁護士・古館恭三(小沢栄太郎)から改めて依頼され
犬神家の複雑な人間関係の謎を解き明かす……のか?
犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛(三國連太郎)には母親の違う三人の娘、
松子(高峰三枝子)、竹子(三條美紀)、梅子(草笛光子)がいて、
松子は夫が亡くなっているのかいなくて息子の佐清(あおい輝彦)がいて、
竹子は夫が寅之助(金田龍之介)で息子の佐武(地井武男)と娘の小夜子(川口晶)がいて、
梅子は夫が幸吉(小林昭二)で息子の佐智(川口恒)がいる。
佐智と小夜子は付き合っていて小夜子は妊娠している。
佐清、佐武、佐智のいずれかと結婚することにより
犬神家の遺産を相続する立場になる野々宮珠世(島田陽子)は、
神官・野々宮大弐の妻・晴世(仁科鳩美)と犬神佐兵衛の間に生まれた子供の娘で、
佐兵衛の実の孫。
佐兵衛が女工の青沼菊乃(大関優子)に生ませたのが青沼静馬。
松子が自分の息子・佐清に遺産相続させたくて、
珠世の命を狙ったり、佐武や佐智を殺すんすが、
佐武を殺す場面を佐清と静馬に目撃され、
それをネタに静馬に脅された佐清が犬神家に怨みを持つ静馬と一緒に
家宝の「斧、琴、菊(よきこと聞く)」に死体を擬装したっす。
顔に大怪我を負った青沼静馬がゴムマスクをして佐清に成り代わっているんすが、
なんで佐清がビルマから日本へすぐに復員しなかったのかは、
自分の説得失敗で三角山の部隊を全滅させてしまった僕は、
とても日本へ帰る気持ちにはなりませんでした。
ビルマで僧になり野晒しになっている日本兵の死体を埋葬し、
竪琴を弾いていたので……それは『ビルマの竪琴』。好きビルマの竪琴聴く
兄と恋人を殺され頭がおかしくなった小夜子が持っているウシガエル?は、
最初の場面の犬神の屋敷近くで鳴いていたのを捕まえたのかも。うそ
『悪魔の手毬唄』
青池リカ(岸恵子)の夫・青池源治郎が恩田幾三に化け一人二役になり、
由良敦子(草笛光子)との間に泰子(高橋洋子)、
司咲枝(白石加代子)との間に仁礼文子(永野裕紀子)、
別所春江(渡辺美佐子)との間に千恵(仁科明子)を孕ませたんで、
リカの娘・里子(永島暎子)と泰子と文子と千恵は母親が違う姉妹。
リカの息子・歌名雄(北公次)が泰子と恋仲になったり、
仁礼嘉平(辰巳柳太郎)に歌名雄と文子の結婚を迫られたり、
千恵は有名人なのに里子は顔に痣がある日陰者だったりしたのが
リカが殺しに走る動機かな。
お庄屋の多々良放庵(中村伸郎)が、
リカに恩田は夫だとチクらなければ殺人は起きなかったし、
なぜモテるのか不思議な歌名雄が
知らないとはいえ妹と結ばれるようなことがなかったら悲劇は起きなかったのに……。
(それだと物語にならないけど)
由良の隠居・五百子(原ひさ子)が殺人が起こってからじゃないと
手毬唄の続きを思い出さないのが歯痒いというかギャグ。
謎の老婆おはんや手毬をする日本人形みたいな幼女達や
葡萄酒樽に浸かる文子の死体とかジャパニーズホラー的な不気味さがある。
放庵の別れた何番目かの妻・おはんが鬼首村に姿を現してから事件が起きるんすが、
映画『おはん』みたいに、
放庵はおはんを捨てて、亀の湯の女将リカのヒモをしていた――ことから、
原作の名前がおりんだったのをおはんに変えたんだと思ったら、
(うそっす。まったく思ってないっす)
『はなれ瞽女おりん』と重なるのを避けたみたい。
『獄門島』
鬼頭与三松(内藤武敏)の三人の娘・
花子(一ノ瀬康子)、雪枝(中村七枝子)、月代(浅野ゆう子)が次々に殺されるんすが、
梅の木に逆さ吊りにされたり、道成寺の釣鐘とかギミックが凝っているけど、
最初の動機が鬼頭嘉右衛門(東野英治郎)の遺言ってのが
(雪枝と月代は違うけど)どーにも解せない。
島の権力者だったとはいえ俳句仲間に、
わしが死んだらバカな三姉妹を俳句に見立てて始末してね……
ってお願いされても、さすがに実行しないでしょ。
座敷牢から逃げた与三松のその後の安否がよくわからない。
了然和尚(佐分利信)の台詞が聞き取りづらい。
了沢(池田秀一)は通常の三倍速く伝法を受ける。うそ
『女王蜂』
大道寺智子(中井貴恵)は、旧皇族の血筋を受け継いでいて、
それを知ってか男達が群がってくるんすが、
中井貴恵は女王蜂って感じではないかな。
市川崑監督は、俳優に代理を立てず若い頃の演技もさせるんすが、
速水銀蔵(仲代達矢)の大学生姿には、
『こころ』の森雅之に通じる無理してる感が凄くて苦笑するっす。
九十九龍馬(神山繁)が寄木細工の扉の部屋で
どうやって殺されたのかよくわからんっす。
短刀の飛んでくる勢いや角度とか謎。
『病院坂の首縊りの家』
法眼弥生(佐久間良子)と五十嵐猛蔵(久富惟晴)の
間に生まれた私生子が山内冬子(萩尾みどり)で、
冬子と法眼琢也(菊地勇一)の娘が山内小雪(桜田淳子)。
法眼弥生と琢也の娘が法眼由香利(桜田淳子)なんで
姉妹というか叔母と姪の関係なんで由香利と小雪が瓜二つ。
冬子は出生の秘密を知り母(弥生)を訪ねていったら、
妹(由香利)に妾と詰られ琢也が母娘姦していたショックから首を縊ったのかな?
とにかく法眼の家系が複雑なんでよくわからんっす。
小雪と血の繋がらない義理の兄・山内敏男(あおい輝彦)は、
小雪のことが好きなんすが、容姿がソックリで高飛車な由香利にも惹かれるんで、
『みゆき』や男女逆にした『タッチ』って感じっす。
誤って由香利を殺してしまい自暴自棄になった敏男が自殺し、
自分の首を怨みのある法眼病院に風鈴みたいに吊るしてくれっていう
猟奇的なことを頼むから妙なことに……。
本條写真館の徳兵衛(小沢栄太郎)と息子の直吉(清水こう治)は、
山内敏男や由香利の事件の巻き添えというよりも、
よくあるエロ写真をネタに脅して金を強請ろうとした報い。
実は、京呉服問屋の一人娘・佐田千重子と北山杉の村娘・苗子は、
生まれてすぐ生き別れた双子で入れ替わっていたっていうトリック。うそ
それは山口百恵の『古都』っす。
市川崑監督の「金田一耕助シリーズ」全作に、
加藤武が橘や立花や等々力と名前を変えて同じ様なキャラの刑事役で登場して、
「よし、わかった!」とその場限りの当て推量をするんすが、
『幸福』にも剣持刑事課長として登場し
「よし、わかった」(「金田一耕助シリーズ」の時より声は小さめ)
と言ってるっす。
『天河伝説殺人事件』でも仙波警部補として登場し
「よし、わかった!」と二回くらい言ってるっす。
■題名:犬神家の一族
監督・脚本:市川 崑
原作:横溝 正史
脚本:
日高 真也
長田 紀生
音楽:
谷川 賢作
大野 雄二
撮影:五十畑 幸勇
出演:
石坂 浩二
加藤 武
大滝 秀治
草笛 光子
三條 美紀
仲代 達矢
富司 純子 (藤 純子)
松坂 慶子
萬田 久子
松嶋 菜々子
尾上 菊之助
岸部 一徳
葛山 信吾
奥菜 恵
螢 雪次朗
池内 万作
松本 美奈子
永澤 俊矢
野村 信次
蓮佛 美沙子
中村 敦夫
嶋田 豪
尾藤 イサオ
石倉 三郎
林家 木久蔵
中村 玉緒
深田 恭子
三谷 幸喜
他
発表年:2006年
製作国:日本
評価:C ★★◎
■雑記:
野々宮たま世と三人の許婚って感じなんすが、
私はよく松たか子と松嶋菜々子を間違えるっす。
2006年版『犬神家の一族』は、
1976年版『犬神家の一族』と物語や場面設定などほぼ同じで、
役者も役名や配役が違っていても
石坂浩二、加藤武、大滝秀治、草笛光子、三條美紀が重なっているんすが、
旧作から30年経っているんで加齢により加藤武や大滝秀治の滑舌が少し悪い。
石坂浩二は、1976年版の時35歳くらいで、2006年版の時65歳くらいなのか。
2006年版の配役も豪華なんすが、1976年版の配役が完璧なんで
比べると見劣りするかな。
全体的に2006年版はテンポがゆっくりしているかな。
2006年版の良い所は、佐清(青沼静馬)のゴムマスクを被ったり捲ったりするときの
口元のフィット感が不気味で良い。
1976年版の小夜子は、川口晶でちょうどいい不細工加減だったんすが、
2006年版は奥菜恵なんで可愛すぎるかな。
松嶋菜々子と並んだりすると奥菜恵って背が小さいんだなと思う。
1976年版の那須ホテルの女中・はるは、
坂口良子で良い味出してるんすが、
2006年版は深田恭子なんで可愛すぎて女中に見えないかな。
犬神家の女中役で蓮佛美沙子が出てるみたいなんで、
ゴムマスクの静馬と女中が一緒に湖に飛び込み男女の体が入れ替わる
『転校生 -さよなら あなた-』みたいなトリックが
2006年版にあると思ったらなかったっす。当たり前
■題名:八つ墓村
監督・脚本:市川 崑
原作:横溝 正史
脚本:大藪 郁子
音楽:谷川 賢作
撮影:五十畑 幸勇
出演:
豊川 悦司
浅野 ゆう子
高橋 和也
宅麻 伸
岸田 今日子
岸部 一徳
萬田 久子
喜多嶋 舞
加藤 武
白石 加代子
神山 繁
吉田 日出子
石倉 三郎
石橋 蓮司
西村 雅彦
うじき つよし
井川 比佐志
姿 晴香
織本 順吉
小林 昭二
大沢 さやか
川崎 博司
今井 雅之
横山 通乃
他
発表年:1996年
製作国:日本
評価:C ★★○
■雑記:
野村芳太郎監督の『八つ墓村 (1977年)』があったとはいえ、
1970年代の石坂浩二の「金田一耕助シリーズ」の頃に
市川崑監督の『八つ墓村』が制作されていればよかったのに……。
市川崑版の岸部一徳の田治見要蔵も悪くはないんですが、
野村芳太郎版の山崎努の多治見要蔵が凄すぎて見劣りするかな。
岸田今日子の小竹&小梅が不気味可愛い。
豊川悦司の金田一耕助も悪くはないんすが、
2006年版『犬神家の一族』の金田一耕助に石坂浩二を起用しているので、
その十年前の『八つ墓村』でも石坂浩二にしてほしかったなぁ。
■おまけ
■題名:天河伝説殺人事件
監督:市川 崑
原作:内田 康夫
脚本:
久里子亭 (※市川 崑 / 日高 真也)
冠木 新市
音楽:
宮下 富実夫
谷川 賢作
撮影:五十畑 幸勇
出演:
榎木 孝明
財前 直見
日下 武史
山口 粧太
山口 真司 (山口 眞司)
岸田 今日子
岸部 一徳
神山 繁
岸 惠子
酒井 敏也
岡本 麗
奈良岡 朋子
出光 元
横山 道代 (横山 通乃)
木原 三貴
井上 博一
立原 麻衣
大滝 秀治
加藤 武
小林 昭二
常田 富士男
斎藤 洋介
貞永 敏
伊東 四朗
石坂 浩二
発表年:1991年
製作国:日本
評価:C ★★△
■雑記:
市川崑監督の「金田一耕助シリーズ」は戦後の日本を舞台にしてたんすが、
『天河伝説殺人事件』はバブル景気頃の日本を舞台にしているのかな。
映像や美術は市川崑なんで美しくて良いんすが、、
「金田一耕助シリーズ」と出演者が重なっているから
「金田一耕助シリーズ」みたいなのを期待するんすが、
「金田一耕助シリーズ」と違って殺害方法が普通で
見立て殺人とか不気味な人物が登場するとかなく、
能楽の世界を舞台にした正統派のミステリーなんで
あまり面白くない。
旅館の女将の岸惠子が手違いから愛する我が子を殺してしまうってのが
『悪魔の手毬唄』っぽい。
追善能で「道成寺」を舞うのが、ちょっとだけ『獄門島』を連想。
仙波警部補(加藤武)が「金田一耕助シリーズ」を踏襲して
「よし、わかった!」と二回くらい言ってる。
最後の薪能で、
雨降らしの面を被った骨嵬にガサラキを召喚する場面が見所……うそ。