サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その30 ジミー・ウォングの片腕ドラゴン

ジミー・ウォングの『片腕ドラゴン』『片腕カンフー対空とぶギロチン』が、
あまりにも荒唐無稽なんで目録に。
『吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』と
チャン・チェ監督の『片腕必殺剣』『続・片腕必殺剣』
そして『五毒拳』もあるよ。


標題:片腕ジミー・ウォング

分類:映画>洋画>アクション>カンフー

■題名:
ONE-ARMED BOXER
獨臂拳王
片腕ドラゴン
ONE-ARMED BOXER VS THE FLYING GUILLOTINE
獨臂拳王大破血滴子
片腕カンフー対空とぶギロチン

監督:
JIMMY WANG YU
王 羽
ジミー・ウォング

発表年:
1971年
1975年

製作国:香港

評価:A ★未確定

■内容・雑記:
『片腕ドラゴン』のストーリーは――
今でいう喫茶店みたいな中国のお茶を飲む店に、鳥篭を持ってくる町人。
貴重な鳥を自慢していると、町人の座っている席は俺様の指定席だと
後からきた鉄鉤門の男達が難癖を付け、許してやる代わりに鳥をよこせと乱暴狼藉。
近くにいた正徳武館のジミー・ウォングが助けに入り、
正徳武館VS鉄鉤門の抗争に発展する。
鉄鉤門の連中は名前の通り、いつも鉄の鉤を手に持ってそれで攻撃してくるんですが、
まさに凶器はバールのようなもの――。
色々あって、敗れた鉄鉤門が世界中(主にアジア)から用心棒を呼ぶんですよ。

琉球空手の二谷と、その弟子二人。柔道の高橋。
テコンドー、ムエタイ、インドのヨガ?、チベットラマ僧
どうみても空手や柔道ではなかったり、キックをほとんどしないテコンドー、
逆立ちをするだけのヨガとか、全員中国人の仮装です。
インド人は顔をシャネルズ(ラッツ&スター)みたいに黒く塗っているだけ。
二谷の顔は、なすび(タレント)みたいなんですが、
その空手チョップの切れ味は抜群で、
ジミー・ウォングの右腕を付け根からスッパリ切っちゃう。
レーザー施術なのか、まったく出血しない優れもの。
ラマ僧の一人(二人いる)の顔が、伊武雅刀みたいで、
気功により身体を膨らませて無敵になったり――。
道場での闘いで、壁板が薄い薄い。
その世界観は、ぶっ飛んでます。

右腕を失い重傷のジミー・ウォングは、医者の父娘に助けられ
(ここら辺で、スチル写真のダイジェストになっているんですが、
ノーカットの映像とかあるのかなぁ?)
そこで秘薬を使い残った片腕を鋼鉄のように鍛え上げる。
そして復讐に向かう片腕ドラゴン――。
後は自分の目で確かめてください。
カルト映画、おバカ映画好き必見!

『片腕カンフー対空とぶギロチン』は、『片腕ドラゴン』の続編で、
キル・ビル』や『ストリートファイターII』などに影響を与えた作品。
前作と同等以上にぶっ飛んでいてインド人もびっくり!

『片腕ドラゴン』のBGMは、
アイザック・ヘイズの『黒いジャガー』を勝手にパクってるぽいんですが、
『片腕カンフー対空とぶギロチン』も、
ノイ!、クラフトワークタンジェリン・ドリームなどの
ジャーマン・プログレを勝手にBGMとして使っている。


■題名:
THE CHINESE BOXER
龍虎闘
吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー

監督:
JIMMY WANG YU
王 羽
ジミー・ウォング

発表年:1970年

製作国:香港

評価:B ★未確定

■雑記:
道家のタオ・アルは町を牛耳り賭博場を作るため、
日本から空手家を呼び寄せ、邪魔な中国拳法道場を潰す。
師匠と仲間を殺されたジミー・ウォングは復讐を誓い猛特訓。
マスクで顔を隠しタオ・アル一派を闇討ち。
しかし、ジミーちゃんを倒すため日本から侍を呼び寄せる空手家。
果たして最後に生き残るのは……。
カンフー映画の原点、基本を確立した作品らしいです。
この映画を観て憤慨したブルース・リーが、
自ら香港で映画に出演しようと思い立ったらしいので、
それだけでも価値のある作品。
香港の映画(カンフー映画)にしては映像が凝っている。
(パンやドリー撮影、雪の降る中での殺陣とか)
タイトルと、最初に登場する道場の仲間を見て、
ドラゴンとジャガーの二人が師匠の仇討ちをする話だと思ってました。

ブルース・リージミー・ウォングの映画の違いは、
ブルース・リーは元々強いが、
ジミー・ウォングは一度負けたりして修行して、
汚い手を使ってでも勝とうとするところかな。
修行や特訓、他流試合の武道会とか『ドラゴンボール』に影響与えているのかな?

『トラック野郎 望郷一番星 - 鈴木 則文』
を観て思いついたんですが――
『吼えろ!オホーツク 起て!カムチャッカ
ってのを。 


■題名:
ONE ARMED SWORDSMAN
獨臂刀
片腕必殺剣
RETURN OF THE ONE-ARMED SWORDSMAN
獨臂刀王
続・片腕必殺剣

監督:
CHANG CHEH
張 徹
チャン・チェ

出演:
JIMMY WANG YU
王 羽
ジミー・ウォング

発表年:
1967年
1969年

製作国:香港

評価:B ★未確定

■内容・雑記:
『片腕必殺剣』
子供の頃、押し入った賊に父を殺されたジミー・ウォングは、
亡き父の主人(武術家)の弟子になり、我が子同然の扱いを受けて育つ。
ジミー・ウォングを快く思わない兄弟子達に虐められ、
争いが起こる前に出て行こうとするジミーちゃん。
しかし、油断したすきに、
ツンデレを拗らせヤンデレになった師匠の娘に、右腕を切られてしまう。
瀕死のところを村娘に救われ、恋に落ちる二人。
武術を捨て農夫として生きようと決めたその時、
大恩ある師匠を殺害しようとする一団の魔の手が迫る!
香港では、『座頭市』の人気が凄かったらしく、
ブルース・リーも『座頭市』の真似をしたスチル写真がある)
肉体的なハンデキャップを負った主人公ということで、
片腕になったみたいです。
金刀の流派封じに、金刀鎖っていう、
刀を挟む武器で対抗されて、ジミー・ウォングのいた流派がボロ負け。
子供の頃から修行した金刀流より、片腕なのに、
助けてくれた娘の持っていた秘伝書で数ヶ月修行と、
父の形見の折れた(短い)金刀の方が最強ということで、
(金刀鎖は、金刀に対して絶対的な優位性があるんですが、
刀が短いと掴めないって欠点がある)
最後、悔しくて師匠は刀を折ったのかな。
敵の首領の顔をなかなか映さないので、何か伏線でもあるのか?
(身内の裏切り者とか、既に登場した人物とかかな)
と思ったら、別に何もなかったっす。
この、思わせぶりな演出、好い加減さが香港らしい。

『続・片腕必殺剣』
農夫として生活するジミー・ウォングの元に、
八大刀王と名乗る集団から、天下一武道会みたいなのするから顔貸せや!
と招待状が届く。
武術を捨てたんで無視していると、他の流派の武術家達が八大刀王の罠に落ち、
次々と殺され、または囚われてしまう。
他の流派の一人が暴走し、
ジミーちゃんの妻を人質に、八大刀王と戦わせようとする。
妻を助けて死んだ他の流派の人への恩と、八大刀王の横暴を止めさせるため
片腕ジミー・ウォングが立ち上がる!
映画のオープニングで、
八大刀王それぞれの武器と技が披露されるのがカッコイイ!
八大刀王とは――
大刀王:丸坊主の力自慢。
通臂王:鎖鎌みたいな武器を使う。
鉄輪王:『仮面ライダーX』のアポロガイストの盾(ガイストカッター)みたいなのが武器で、ブーメランみたいに投げたりもする。
天遁王:空(屋根の上)から落ちてくる。
蔵王:地面に穴掘って潜んでいる。
龍王:刀の先から毒霧を噴射したり、銃のように弾を撃つ。ガンブレード
千手王:唯一の女性。女性の色気で油断させて襲う。数本の小刀を投げる。
無相王:役者はティエン・フォン(田豐)。
前作の『片腕必殺剣』では、ジミー・ウォングの師匠だったけど、今作は八大刀王の頭目
隠し技は三段階に伸びる刀。高枝切りバサミじゃないけど、相手が離れていても安心。
ジミー・ウォングと八大刀王それぞれとの一対一の対決かと思いきや、
これが意外と集団戦。
天遁王とかを網で動けなくして集団で刺し殺したり、
殺るか殺れるかの、勝てばいいっていう大陸思想。
竹林での戦いとか、あまりのトンデモぶりに笑える。
ジミーちゃん率いる他の流派の集団は、
やられてもやられても人数が増えるが、重要な役の仲間は簡単に死ぬ。
『片腕必殺剣』シリーズは、
他流試合や片腕、師匠の娘との関係とか
少し『シグルイ』っぽい。

勝新太郎の『座頭市』シリーズの『新座頭市 破れ!唐人剣 - 安田 公義』に
『片腕必殺剣』の獨臂刀(ジミー・ウォング)が出演して座頭市と対決してます。
座頭市』シリーズの中では異色だけどそれほど面白くはないかな。
香港版『獨臂刀大戦盲侠』では、最後に座頭市は獨臂刀に敗れるみたいっす。
『新座頭市 破れ!唐人剣』については
「好きなもの目録 その382 安田公義の座頭市」に書いてます。


■題名:
THE FIVE VENOMS
五毒
五毒拳

監督:
CHANG CHEH
張 徹
チャン・チェ

発表年:1978年

製作国:香港

評価:保留

■内容・雑記:
武術の流派で五毒門ってのがあるんすが、
世間の評判が悪くて日の当たる場所に出れないんすよ。
師匠が老い先短いんで最後の弟子ヤンに隠された五毒門の財宝を受け継ぎ、
世間に身を隠している五人の弟子達を見つけ
ヤンは未熟で弱いんで善良な弟子一人と組み、後の四人を始末しろとの最後の遺言。
一番弟子:ムカデ拳。
二番弟子:ヘビ拳。
三番弟子:サソリ拳。
四番弟子:ヤモリ拳。
五番弟子:ガマ拳。
五毒門では仮面を被って修行するみたいで、
一番弟子と二番弟子は顔見知りで、四番弟子と五番弟子も顔見知りだが、
それ以外は同門でも顔がわからないっていう設定で、
名前は変えているからわからないし、
顔も居場所もわからないので捜しようがない無理ゲー。
一番弟子と二番弟子が組んで財宝のありかを探すため
五毒門を辞めて一般人になって身を潜めている学者の爺さんを殺す。
四番弟子と五番弟子が目撃者の証言から
犯人の一番弟子を捕まえ共犯の二番弟子を捕まえようとするんすが、
二番弟子は街の有力者なんで無理で、
逆に五番弟子が罠に填められ殺される。
ヤンは四番弟子と組んで、一番弟子と二番弟子そして二人を操る三番弟子と対決する。

五毒門って悪行が酷くて、世間に五毒門ってバレると迫害されるみたいなんすが、
それって師匠の教育が悪いんじゃ……。
二番弟子の悪知恵で五番弟子が拷問されるんすよ、
万針衣っていう鉄の処女(アイアンメイデン)みたいなのや、
紅背兜っていう背中全体がこんがり焼ける玉子焼き器みたいなので。
五番弟子をいたぶる二番弟子なんすが元々裕福な家の生まれなんで
もう悪事は働きたくないとか弱音吐くんすよ。
五毒門に入門したばっかりにみんな不幸に……。うそ

『五毒拳』は、
米エンターテインメント・ウィークリー誌の史上最高のカルト映画ベスト50ランキングで
11位になるくらい評価が高いんすが、
カンフー映画としてはブルース・リージャッキー・チェンの1970年代の作品の方が面白いと思う。