サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その45 原恵一の映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦

原恵一監督の『かがみの孤城』の評判が良いみたいなんで視聴したんすが、
私的には普通の良作って感じでした。
原恵一監督のアニメ作品を観る時は
『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』
『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』
に並ぶくらいの名作をいつも期待するんすが、
残念ながら『河童のクゥと夏休み』以降のアニメ作品で
凄い面白いと思った作品は無いです。
なんか物足りないんすよ……全て『クレヨンしんちゃん』にすればいいのに。うそ

『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』
『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』
について書いた2010年10月や2014年8月末の記事を再録しようと思い、
原恵一監督が手掛けた『映画クレヨンしんちゃん』作品
映画クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡
『映画クレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦』
『映画クレヨンしんちゃん 爆発! 温泉わくわく大決戦』
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル
を20年以上ぶりに視聴した雑記と、
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦 - 増井 壮一』
について書いた2013年6月末の記事と
河童のクゥと夏休み』について書いた駄文をおまけしてます。


標題:原恵一の映画クレヨンしんちゃん

分類:アニメ>映画>ファミリー

■題名:映画クレヨンしんちゃん
嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲
嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦

監督・脚本・絵コンテ:原 恵一

絵コンテ・演出:水島 努

ねんどアニメ:石田 卓也

声優:
矢島 晶子
ならはし みき
藤原 啓治
こおろぎ さとみ
真柴 摩利
林 玉緒
一龍斎 貞友
佐藤 智恵

発表年:
2001年
2002年

製作国:日本

評価:S ★★★★★△

■内容・雑記:

『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』
この映画、子供向けなんですが
子供にトラウマを持たせるんじゃ……。
普段、誰もが当たり前だと思っている親子の絆、
親が子供に対する愛情(無償の愛)が幻想かもしれない。と
昨今、育児放棄児童虐待の話題が絶えませんが、
若い親、年取っている親でも、自分の血の繋がった子供に対する愛情ってのは
絶対的なものなのか?っていう投げかけを感じるんですよ。
ある日突然、親が自分の子どもに対して愛情を失ってもなんら不思議ではない。
永井豪の「ススムちゃん大ショック」みたいに、
ある日突然、大人たちが狂い、子供を襲いだしてもなんら不思議ではない。
親が子を愛しむってのを当然とするのは、昔からの慣習でしかないのでは?
そんな疑問を感じさせるアニメ。
親や大人が、懐かしさのニオイに負け、
親や大人としての仕事や役割を放棄して、
子供時代、1960年代や1970年代の懐かしい世界に引き篭もる。
親に見捨てられた子供の不安、未来への絶望。
こんな、子供にとって怖い映画ってないっすよ。
一見、子供向けのギャグ・アニメですが。
自分(しんちゃん)の親や先生が、子供(しんちゃん達を)狩りにくる。
――これは怖い。
自分を庇護してくれる立場の人間が、自分を捕まえに来る。
捕らえられた後は、20世紀の世界に都合のいい人間に再教育・洗脳されるという……。

今の日本みたいな閉塞状況で未来に明るい希望が持てないと、
過去に、高度成長期の輝かしい日本に戻りたいと、
大人が思ってもなんら不思議ではない。
大人達が夢中になる20世紀博は、大阪万博をもとにしてるんだろうけど。
懐かしい子供の頃に帰りたい、子供の頃の世界で遊びたいってのが、
ちょっと諸星大二郎の「子供の王国」を思い浮かべるなぁ。
その「子供の王国」に抵抗するのが、しんちゃん達・かすかべ防衛隊。

20世紀博では、特撮や魔女っ娘モノの主人公にコスプレして、
ビデオを撮るサービスがあるんですが、
『ヒーロー(ひろし)SUN』のアクションシーン、
特撮にしては動きが速すぎて、光線も出るタイミングが速いかなぁ。
もうちょっと、ノッソリと切れのない動きの方が特撮っぽいような。
カーチェイス・シーンや20世紀博タワーの鉄筋の上でのシーンとか、
ギャグアクションの場面が冗長かな。
『オトナ帝国の逆襲』は名作なんですが、そこが
私が『戦国大合戦』の方を『オトナ帝国』より上にみる理由かな。
(私が戦国時代モノなんかの歴史好きってのもありますが)

カーチェイスも、鉄筋の上でのアクションも、
面白いことは面白いんですが、実写で考えると死と隣り合わせというか、
一つ間違えれば死ぬか大怪我って感じ。
バスに乗り込もうとするひろしやみさえを邪魔するしんちゃん……。
一見ギャグなんですが、高速で移動する車から無理な体勢で落ちれば
死に繋がる。
なんか子供が親を殺そうとしている場面に見えるっす。
高所の鉄筋の上、追い詰められる野原一家。
いったいどうやって、この絶体絶命の場所から切り抜けるのか?と思ったら、
「みさえのデカイケツだぞ!」という、
わかったようなわからないような圧力により敵を退却させるとか。
まぁそこがアニメのいいとこですがね。
カーチェイス・シーンは、『ブルース・ブラザーズ』の影響らしいです。

まぁなんだかんだ言って、
しんちゃんが一人でタワーの階段を駆け上がって行く場面で、
いつも号泣しちゃう私なんですがね。
一生懸命階段を昇り、ボロボロになりながら
(イエスタディ・ワンスモアの)ケンの脚にすがりつくしんちゃん……泣ける。
涙が止まらないっす。

最後、野原一家の親子の絆・未来への希望を、
テレビ中継で観たオトナ帝国の住民の懐かしいにおい度が落ちて、
(イエスタディ・ワンスモアの)ケンとチャコの計画が挫折。
二人が飛び降り自殺しようとするって場面も子供向けアニメとは思えない。
そう、このアニメ、
子供に観せたくないアニメと言われ続けた『クレヨンしんちゃん』の、
大人に対する挑戦なんですよ、原恵一監督の。

エスタディ・ワンスモアのケンの顔がジョン・レノンっぽい。
「シェー」とか「ガチョーン」とかの懐かしの昭和ギャグよりも、
関根勤の「ケレル」の一言の方が、『コサキン』を思い出して懐かしかった。


『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』
クレヨンしんちゃん』のアニメとしては失敗作、
しかし『映画クレヨンしんちゃん』の最高傑作。
それが『アッパレ! 戦国大合戦』!

クレヨンしんちゃん』のTVアニメは、今は観てないけど、
1990年代はけっこう面白くて観ていたなぁ。
劇場映画シリーズもテレビで放送するのを観てたんですが、
『オトナ帝国』は泣かせる、傑作だ!と前評判を聞いていたんですが、
私的にはそれほどではなかったです。
しかし、この『戦国大合戦』を観たとき、衝撃をうけたんですよ!
その戦国時代の戦闘シーン見て!!
私がそれまで観て来た映画やアニメの中で、
一番時代考証がしっかりしているとおもわれる合戦場面だったんで。
なんだ……コレは!と驚いたんですね。
それまでの時代劇や戦国モノってウソというか、
当時(実際)の合戦とは違う戦闘シーンで、迫力を出していたと思うんですが。
投石や、槍を突くんじゃなく上から叩きつけたり、
収穫前の作物の刈り働きとか、
こんなの綿密に描写した映画とか観たことなかったんですよ私は。
しかもそれが子供向けアニメで、というんで二度ビックリ。
時代劇モノのアニメの合戦場面では、
もののけ姫』がリアルで凄いと言われていると思うんですが、
私に言わせれば、『戦国大合戦』の方が『もののけ姫』より上。
でも、戦国モノとか歴史・時代モノに興味ない人、子供には
どこが凄いのか、まったくわからないだろうなぁ。
なんか無駄に凄いんですよ。

合戦で、人が大勢死ぬ又は怪我する。
槍で人を突く、刀で切る、焙烙玉の爆発で人が弾け飛ぶ、
などの直接描写は避けてますが、どうみても凄惨な殺戮シーン。
なのに子供向けアニメ!
案外、子供にはしんちゃんと同じで、
お祭りくらいにしか感じてないのかもしれないけど。
テレビやゲームで流れる戦争って感じで、現実感が持てないのかな、
現代の子は。

井尻又兵衛と春日廉、姫と配下の武将、という身分の違いながら
お互い好きあっている二人。
しんちゃんに、「未来では結婚はお互い好きあっていればいいんだよ」
と聞き、家と家、政略結婚しか許されない、
この時代に虚しさ・遣る瀬無さを感じる廉ちゃんなんだけど……。
現代なんかもっとシビアで、金や身分のない男なんか相手にされないし、
恋愛と結婚は別腹って女の人の方が多いんじゃ。

「裏切り御免」とボーちゃんが言うんだけど、
ボーちゃんは『隠し砦の三悪人』を観てるのか?
ひょっとして黒澤明ファンとか。
戦国時代のボーちゃんの名前がぼーしちなんだけど、
ぼーはちじゃなくてよかった、亡八だったらたいへんなことに……。

ドラえもん』のしずかちゃんが典型なんだけど、
男の子グループに一人だけ混ざっている女の子って
やっぱ性格が悪くて、女の子グループに入れてもらえないのか?
(または、女王様気分でちやほやされたいとか)
ネネちゃんをみていると、そー感じる。

『戦国大合戦』はしんちゃんや野原一家が脇でしかないが、
しんちゃんがいないと、この映画の面白さが半減する。


又兵衛と廉が登場するTVシリーズ「戦国しんちゃん」
少年少女だった頃の又兵衛と廉や、
現在に転生した又兵衛と廉のラブラブ、ほのぼの話しがみれるんですが、
『戦国大合戦』の結末知ってると、素直に笑えないなぁ。

 

『オトナ帝国の逆襲』では、現在(今)に絶望した人々が過去の世界に逆もどり。
過去に生きる大人達と、未来を生きるしんちゃん達との対比。
『戦国大合戦』では、戦で命のやり取りをしている過去の世界に、
平和な現代の価値観・物質を持ち込んでのカルチャーギャップ(イデオロギーの違い)。
――を子供向けのファミリー映画で描く原恵一の奥深さ。 

 

クレヨンしんちゃん』の再放送をチョロッとだけ観たら、
スター・ウォーズのパロディ「クレヨンウォーズ」がやっていて
はるか昔に観た覚えがあるなぁ。と懐かしく思ってたら、
最後、ひろしの脱いだ靴のニオイで
記憶を失っていた野原一家が家族の絆を取り戻して万々歳。
『オトナ帝国の逆襲』でも、靴のニオイで正気をとりもどしていたなひろしは。
それより、前に観たはずなのに大笑いしたのが、
ライトセイバーでのチャンバラ場面。
なぜか(『クレヨンしんちゃん』だから)股間ライトセイバーを挟んで戦うんすよ。
んでも敵のアーシク・セイダーのライトセイバーの長さに対して、
しんちゃんは子供なんで長さが短い……しかし!
スーパーニンニクエキスを飲んだしんちゃんの
股間ライトセイバーが巨大化――
下品でバカバカしいのに最高。
まだぶりぶりざえもんが健在なんで、それも懐かしくて。

 

■題名:映画クレヨンしんちゃん
暗黒タマタマ大追跡
電撃! ブタのヒヅメ大作戦
爆発! 温泉わくわく大決戦
嵐を呼ぶジャングル

監督・脚本・絵コンテ:原 恵一

演出:水島 努 (※『爆発! 温泉わくわく大決戦』『嵐を呼ぶジャングル』絵コンテ)

スタッフ・原画:湯浅 政明

ねんどアニメ:石田 卓也

声優:
矢島 晶子
ならはし みき
藤原 啓治
こおろぎ さとみ
真柴 摩利
林 玉緒
一龍斎 貞友
佐藤 智恵

発表年:
1997年
1998年
1999年
2000年

製作国:日本

評価:
C ★★★
A ★★★★☆
C ★★☆
C ★★☆

■雑記:

映画クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡
1990年代末くらいにテレビ放送されたのをタマタマ観たと思うんすが、
お子様向けアニメなのにアクションが凄くてビックリしたかな。
でも今観直してみると、
『映画クレヨンしんちゃん』のアクション(作画)が凄いのは当たり前になっているので
衝撃は薄れ、話の展開がちょっとまったりしていて、そんなに面白さを感じないかな。
ローズ、ラベンダー、レモンのオカマ3兄弟が登場するんすが、
クレヨンしんちゃん』はオカマをギャグに使うのが多いかな。
シティーハンター』の槇村香ばりに銃弾が当たらない刑事の東松山よねとか
刑事モノのアクション映画のパロディなのかもしれないけど存在感無いし。
しんちゃん(野原一家)があまり活躍しない。
風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃん達があまり登場しない。
珠黄泉族の頭領・玉王ナカムレは中村玉緒のパロディかな。
珠由良七人衆は『七人の侍』から。
サタケやヘクソンは、佐竹雅昭ヒクソン・グレイシーからかな。


『映画クレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦』
私が好きなぶりぶりざえもん(塩沢兼人)が登場!
テレビ放送で初めて観た時も面白くて印象に残ってるかな。
AI(人工知能)の暴走や支配の危険性がいわれる世の中っすが、
AI をぶりぶりざえもんって名付ければ全て解決すると思う。うそ
ぶりぶりざえもんが消える場面は、
インサイド・ヘッド』のビンボンが消える場面に匹敵するくらい号泣。
お色気(三石琴乃)が「しんちゃん(シンちゃん)」と呼ぶのは
新世紀エヴァンゲリオン』の影響みたいっす。
美人のお姉さんと見間違う女装姿の SHAZNA の IZAM (イザム)が登場するんすが、
現在の容姿を見たらしんちゃんはもっとビックリするかも。


『映画クレヨンしんちゃん 爆発! 温泉わくわく大決戦』
温泉Gメンっていう組織が登場するんで、
『Gメン'75』の丹波哲郎を温泉の精に起用したみたい。
私の好きな丹波哲郎伊福部昭の『ゴジラ (1954年)』『怪獣大戦争』の曲が使われていて
怪獣特撮映画や戦争映画っぽさもあるのは良いんすが、
メインの話が、銭湯のお気に入りの下足札(長嶋茂雄の3番)がパクられたのに絶望した
風呂嫌いのテロ組織YUZAMEの指導者・ドクター・アカマミレが地球温泉化計画を実行しようとし、
それを阻止しようとする温泉Gメン。
YUZAMEの巨大ロボットを退治するため
野原一家が金の魂の湯に入り変身する――というものであまり面白くない。
温泉Gメンの隊長・草津のキャラがちょっと滑ってるかな。
健康ランドでのひまわりへの拷問が酷い、赤ちゃんなのに。
風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃん達があまり登場しない。


映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル
アクション仮面』の映画最新作「南海ミレニアムウォーズ」や
アクション仮面としんちゃんの活躍は良いんすが、ジャングルでの冒険や
パラダイスキングと猿の大群による『猿の惑星』みたいな
人間を奴隷として酷使したりするのがあまり面白くないかな。
パラダイスキング大塚明夫)は見た目はスライ・ストーンとかで、
登場音楽とかはジミ・ヘンドリックスっぽくて、
ファッションや住んでいる船の外装とかサイケデリック
ファンキーなんでファンカデリックっぽいかな。湯浅政明が考えたキャラなのかな。
劇中歌「吼えろ! ドラゴン (吼えよ! ドラゴン) - カール・ダグラス」が最高!
ひまわりが逞しい。


『暗黒タマタマ大追跡』『電撃! ブタのヒヅメ大作戦』
『爆発! 温泉わくわく大決戦』『嵐を呼ぶジャングル』の4作品の中では
『電撃! ブタのヒヅメ大作戦』が突出して面白い。
原作者の臼井儀人が『嵐を呼ぶジャングル』以外に登場し、
『暗黒タマタマ大追跡』『電撃! ブタのヒヅメ大作戦』ではカラオケで歌いまくっている。
1990年代のテレビアニメの劇場版なんで、
演出とかが薄ら押井守宮崎駿庵野秀明っぽさを感じる。

原恵一監督の『映画クレヨンしんちゃん』6作品の中では
『映画クレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦』
『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』
『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』
の3本が私が好きな作品っす。

 


■おまけ

下記は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』について書いた駄文なんすが、
2013年6月以来、作品を観返していないので間違った事が書いてあるかもしれないっす。

「父ちゃん母ちゃん 実はオ(ナ)ラ、工作員です」

テレ朝チャンネルで、
映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦
を視聴したっす。
チャンネルをザッピングしていたら、藤子アニメっぽいキャラデザの女の子が
スパイアクションしているので、何のアニメだ?
と思って観続けたら、『クレヨンしんちゃん』だったのでなんとなく続けて観る。

適当なストーリーは――
独裁国家のスカシペスタン共和国がスパイを使って、
隣国の文化的にも経済的にも裕福なヘーデルナ王国から
イチゴの種苗や種牛の冷凍精液や仏像や開発中の新品種ジャガイモや
シャインマスカットや紅まどんなや新幹線やハイテク産業の技術や
ウルトラマン』の著作権や『クレヨンしんちゃん』の商標などを盗んでいた。うそ
しかし今回のターゲット芋羊羹は厳重なセキュリティに守られ、
鍵が無ければ絶対に侵入出来ない難攻不落の研究室にある。
その鍵とは――なんと!しんちゃんだった……みたいな。
なんか芋羊羹(メガヘガデルⅡ)の開発者ヘガデル博士と
しんちゃんの体型が一致するらしく、
(『14歳 - 楳図 かずお』のアメリカ・ヤングと戸川きよら。
『BRIGADOON まりんとメラン』の浅葱まりんとマリーンの差くらいなのかな?)
それで、しんちゃんを利用しようとスパイ少女が近づくって感じ。

スノモノ・レモン(スパイ少女:すっぱいだけに酢の物檸檬)は、
アクション仮面に会えるとしんちゃんを釣って騙しスパイの特訓をさせる。
その情報を掴んだヘガデル博士は、助手の
ジャガー(「ファイト!ファイト!ちば!」)とマッシュ(ロバート・アルトマン
を使い、しんちゃんが騙されていると伝えようとするが
アクション戦隊(かすかべ防衛隊)に邪魔をされる。
んで、レモンちゃんが野原一家の暖かさに触れて、
自分(レモンちゃん)の両親や任務に疑問を感じたりして――
でもスパイは非情なんで、野原一家ごとスカシペスタンに拉致。
んでんで、ヘーデルナで行われる
となりのトロロイモ大試食会に紛れてしんちゃんとレモンちゃんが
ヘガデル博士の研究室に侵入を試みる。
(※となりのトロロっていう名前の一品料理は、
都内だけでも何十軒もの居酒屋のメニューにある。みうらじゅん談)
なんとか芋羊羹(メガヘガデルⅡ)を盗み出すことに成功。
メガヘガデルⅡは食べることにより、大量のガス(放屁)が発生する。
そのガスを事実上のミサイルの飛翔体に搭載して世界中に向け発射!
世界をオナラくさくさせるという恐ろしい計画なのだ。

――色々あって大団円。
最後に、レモンちゃんと両親がスカシペスタンを裏切り
ヘーデルナに亡命する。
そこで、しんちゃんとレモンちゃんは別れるんすが、
実はスノモノ・レモンというのは通名で、
本名は秘密なのだが、しんちゃんだけに打ち明けるのだった。
その名は――山本シュウ
ウィーアー親戚! うそ

まぁまぁ面白かったです。気になった点は――
レモンちゃんとヘガデル博士のキャラデザが
クレヨンしんちゃん』ぽくないかな。
ヘガデル博士の研究室から逃げる時に、セキュリティシステムが作動して
大量のトロロイモが溢れ出す場面が、
なんかキューブリックの『シャイニング』を思い浮かべたっす。
あと、メガヘガデルⅡを食べたしんちゃんとレモンちゃんの放屁攻撃が、
風の谷のナウシカ』の巨神兵プロトンビームっぽい。
スカシベスタンの二人の女王(ナーラオ&ヨースル)は、
けっこう年齢いってると思うんすが、ナーラオは17歳だと思う……井上喜久子なんで。

あと、これを言っちゃうと物語の根幹に関わるからあれなんすが……。
なんでレモンちゃんの両親は自分達でスパイしないのか?
(子供の方が相手が油断する。レモンをスパイとして育てるため。
などが考えられますが)
レモンちゃんをサポートする家政婦イツハラの方が優秀なんすが。
(イツハラさんはこの後、
息子(水谷豊)が付き合っている女性の出自が悪いと別れさせようとして
夫共々刺し殺されるという悲惨な最期を迎えます)うそ
市原悦子が出演している『青春の殺人者』を観てた頃なんだろうなぁ。


『バースデー・ワンダーランド』で、
ヘガデル博士としんちゃんの体型が一致するのと同じように
上杉アカネと緑の風の女神の手形が一致するんすが、
アカネの叔母・上杉チィの店・ちゅうとはんぱ屋に
野原しんのすけのフィギュア(後ろ姿だけだけど)が置いてある。

 


河童のクゥと夏休み - 原 恵一』

感動作。以下、どーでもいー思ったこと。
主人公一家が、東久留米で持ち家(なのか?)、車所持で裕福そう。
まだ若い夫婦なのに。
サラリーマンでも大企業に勤めているのか?
親に持ち家購入資金を融通してもらったようにも思えないし、
河童騒動でも、夫婦の両親や親戚などまったく登場しないし。
東京の郊外でも安くないだろうしなぁ。貸し家なのか?
ローンたいへんそう……
などとストーリーと関係ない家の豪華さ(新築っぽい)に興味が。

マスコミの対応など、妙にリアルなんですが
そのわりには、人類以外の生物で、
言葉を、会話できる高等生物が見つかったってわりには
学会とか政府とかアメリカなんかの秘密組織が接触しようとしないのが謎。
そんな希少生物を個人の、普通の一家が育てているのに
ちょっと珍しいペットを飼っている程度(を大規模にした)な感じが。
またその一家の勝手な判断で、沖縄にクゥを逃がすのも……
あとで問題にならないのかなぁ。貴重なサンプルを失ったってことで。

人間に化けているキジムナーとか座敷童子は、
GANTZになんとか星人とか名前つけられて狩られそうだなぁ。

クゥは、虫も殺さない(食べるけど)優しい性格なんですが、
恐怖を感じると、豚の血を浴びたキャリーや『スキャナーズ』、『AKIRA』の鉄雄みたいに
相手(対象物)を念動力で爆殺します。
力(相撲)も強くたいへん危険な生き物です。

妹が、知ったかで、ツンデレというかツンツン。
萌えファンタジー異種族結婚ものだったら、将来クゥと結ばれるな。
タツムリを、マイマイといって食べるのは信じられない!
マイマイともいう。食用のエスカルゴがある。
イルカが動物なんてバカじゃないの、魚でしょ
→哺乳類の動物です。
と自爆。あるっすよね、知ったかぶりで言ったら間違っていて恥ずかしいってのが。

主人公が好きな少女・菊池紗代子
つげ義春の「紅い花」のキクチサヨコから、らしいっす。
うすいさちよ……じゃなくて、さちうすこってよばれる宮沢賢治好き。
雰囲気が暗いのでクラスの女子にイジメられてます。
両親が離婚して、引っ越さなきゃいけなくなるんですが
引越しを機に、転校先で小学生デビューしようと決意
(私は本物の河童を見たことがあるのよ。とか……嘘っす)
暗いけど、芯はしっかりした少女かと思ったら、
離婚して離れ離れになる父親のものか、新しい義父のものかの
靴をマンションの階下に落とすなど、
その心の奥底にはドロドロとしたものが積もり積もっているのがわかる。
引っ越す直前に、虐めていたクラスメイト達になんか復讐しそう。

オッサン(飼い犬)の元の飼い主は、ネネちゃんタイプ
……ウサギ殴りたい。

良い映画だとは思うんですが、
クゥが東京タワーに登って竜が登場してクライマックス……
それからが長いなぁ。
それでもラッシュ時の2時間50分から30分近くカットしたとか。
テンポが悪いのかなぁ、アニメというよりは実写のテンポなのか。

『オトナ帝国の逆襲』では、今・現在に絶望した人々が過去の世界に逆もどり、
過去と未来を生きるしんちゃん達との対比。
『戦国大合戦』では、
過去の世界に、現代の価値観・物質を持ち込んでのカルチャー・ギャップ。
河童のクゥと夏休み』では、
人間社会における異端者・クゥ。と
違う世界・価値観に生きるもの同士の葛藤や交流が描かれる。

原恵一監督は、今もっとも期待できるアニメ監督だと思うんですが、(※この記事を書いた当時)
なんか実写に、アニメーションにコンプレックス持っているんじゃないのかなぁ。
『クゥ』とか観ると、キャラクター・デザインに魅力がない……。
いや、萌えアニメや売れセンのキャラデザにしろってんじゃなく、
もっとこう、なんていうか、ジブリ風でもいいし、
Production I.G系のリアル風でもいいんだけど、
原監督は、絵で観ないでくれ、判断しないでくれって感じで。
話を、しっかりした演出を観てくれ、絵はオマケだ。って感じがする。
アニメーションの監督なのに、絵に対して思い入れが無いのか?
または、藤子アニメや『クレヨンしんちゃん』などの、
有名キャラ作品を手がけたせいで、そういうキャラに負ぶさらない
自分自身を評価して欲しくて、
あまり魅力があるとはいえないキャラデザにわざとしているのかなぁ。と
ルパン三世 ルパンVS複製人間』や『カリオストロの城』、
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』なんかの
有名キャラクターを使った傑作アニメを観ると、
もう既に、そのキャラクターの性格なんかを視聴者がわかった上で
物語に入っていけるっていう利点があるし。
人気キャラクターを使えば、なんでも良い作品になるってわけじゃないし、
ルパン三世』や『うる星やつら』の他の作品観ればわかるでしょ。
キャラクターは立っているのにそれほど面白くないってのが多い。
だから、『河童のクゥ』観ると、その家族構成とかで
これが『クレヨンしんちゃん』のアニメだったら、もっと面白かっただろうなぁ。
とか思っちゃう。
テンポよくギャグもあって、イジメや家庭問題なんかもマイルドになり
エンターテイメントな作品になったんじゃないかと。
『クゥ』って教育アニメっぽいんだよねぇ。学校や公民館なんかで観る作品。
辛気臭いんだよねぇ……
『カラフル』も評判聞くとそんな感じらしいし。
(※『河童のクゥと夏休み』以降のアニメ映画を視聴しています。『カラフル』も観てます。
『バースデー・ワンダーランド』『かがみの孤城』はキャラデザを売れセンにしているかな)
『オトナ帝国の逆襲』『戦国大合戦』ときて、この監督はいったいどこまでいくんだろう。
と期待してたんですが、私の思っていた方向とは違う方向に進んでいるみたいで。
けっして、エンターテイメントな、ウケを狙った面白い作品が低俗で、
社会問題を扱った、重厚で静かな演出の方が高級ってことはないんですがねぇ。

遠い海から来たクゥ