サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その401 阪元裕吾のベイビーわるきゅーれ

なんか私は、
下妻物語 - 中島 哲也』『花とアリス - 岩井 俊二』とかの、
女性(少女)二人組みの女性バディものの作品が好きみたいっす。
(認めたくないけど、自分の好みは自分自身ではよくわからないんで……)
そんで、女性二人組みの殺し屋が活躍するバイオレンスアクション映画の
『ベイビーわるきゅーれ』が面白いので目録に。


標題:二人はプリキュア……じゃなくてベイビーわるきゅーれ その正体は殺し屋

分類:映画>邦画>バイオレンス / アクション

■題名:ベイビーわるきゅーれ

監督・脚本:阪元 裕吾

アクション監督:園村 健介

出演:
髙石 あかり
伊澤 彩織
本宮 泰風
うえきや サトシ
秋谷 百音
三元 雅芸
水石 亜飛夢
飛永 翼 (※お笑い芸人 ラバーガール
大水 洋介 (※お笑い芸人 ラバーガール
辻 凪子
福島 雪菜
仁科 貴

発表年:2021年

製作国:日本

評価:B ★★★☆

■内容:

<登場人物>
杉本 ちさと (髙石 あかり):
殺し屋組織のクルー。黒髪メンヘラ顔。
高校を卒業し進学しないので組織の寮?を追い出され自立するため
同年代で同じ殺し屋の深川まひろと同居しながら
ダブルワークで飲食店やメイド喫茶でバイトする。
コミュ力高いがすぐにキレる。
火薬の匂いを消すためドルチェ&ガッバーナの香水をつけている。
ジョジョ(の奇妙な冒険)』を観たことない。
殺し屋で稼いだ金で
二十歳になったらバットモービルを買おうと思っていた。

深川 まひろ (伊澤 彩織):
殺し屋組織のクルー。金髪ショートヘア。
高校を卒業し進学しないので組織の寮?を追い出され自立するため
同年代で同じ殺し屋の杉本ちさとと同居しながらバイトの面接に勤しんでいるが
コミュ障で人見知りの社会不適合者のためバイトが決まらない。
トランスフォーマー - ルー・リード』や
『スリラー - マイケル・ジャクソン』のアルバムジャケットのシャツとか着ている。

田坂さん (水石 亜飛夢):
組織から死体処理を請け負っている。
ちさととまひろの殺害方法が雑で処理が大変なんで
(『殺し屋1』のイチほどではないけど)
いつも愚痴ばかり言っている。
ヤクザ24人分の処理費用は二千二百万円。

須佐野 (飛永 翼):
殺し屋組織のちさととまひろ担当。

コンビニの店長 (大水 洋介):
うざくてきしょいハピネスマート(コンビニ)の店長。
可愛いイラストを描ける。
野原ひろしの(言ってない)名言
「夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ」とか言う。
怖い話とかしてる時に
「本当に怖いのは幽霊じゃなくて人間だからね」とか、
「好きの反対は嫌いじゃなく無関心」
午後の紅茶、午前中に飲んじゃいましたー」
「人混みってさぁ、見ろ!人がゴミのようだ」
とか言いそうな不気味な人物。

姫子 (福島 雪菜):
ちさとがバイトしているメイド喫茶の先輩で世話係。
大阪弁でお喋り。
奨学金で大学に行っていて
貧乏なのをちさとに突っ込まれても平気なメンタル強めメイド姫子さん。

浜岡 一平 (本宮 泰風):
ヤクザの組長でかずきとひまりの父親。
昔気質で冗談が通じない。
組員を殺し屋(ちさととまひろ)に殺される。

浜岡 かずき (うえきや サトシ):
一平の息子でヤクザ。

浜岡 ひまり (秋谷 百音):
一平の娘でかずきの妹のパパ活斡旋している半グレ。
殺し屋の件をパパ(組長)から任される。

渡部 (三元 雅芸):
父と兄を殺されたひまりが雇った助っ人。
まひろが手こずるヤベーヤツ。

和菓子屋の店主 (仁科 貴):
商店街などのお釣りを渡す時のユーモアで、
200円のお釣りを200万円と言ったため
浜岡組長に因縁を付けられ川谷拓三みたいにボコられる。


<あらすじ>
深川まひろはコンビニのバイトの面接が上手くいかず、
本業の殺し屋の仕事を任せていた杉本ちさとと合流する。
急にバイトが入ったちさとはまひろに後始末を任せ
バイト先の飲食店に行くが問題を起こしクビになる。
その数週間前、高校卒業を前にした殺し屋のちさととまひろは
所属している殺し屋組織の須佐野に呼び出され、
高校卒業後は二人に自立してもらうため
同居して自活し殺し屋以外の仕事に就くことを求められる。
コミュ障で人見知りのまひろはバイトに落ちまくり、
コミュ力が高いちさとはバイトに順応するのも早いが
すぐキレて問題を起こすという社会不適合者の二人。
殺し屋の仕事で浜岡組の組員を始末したことから、
組長の娘の浜岡ひまりにちさとが目を付けられる。
ちさとのバイト先のメイド喫茶
偶然、浜岡組長と息子のかずきが客として来店するが
トラブルからちさとが二人を殺してしまう。
残された父と兄の死体のドルガバの香水の匂いによりひまりは
犯人がちさとだとわかり復讐のため呼び出す。
絶体絶命のピンチにちさとはまひろに助けを乞う。

■雑記・感想:
日本(邦画)で殺し屋が活躍する作品を思い返すと
ゴルゴ13』とか有名なんすが、
昔の邦画にはけっこう面白い殺し屋の作品があったっす。
『ある殺し屋』『殺人狂時代』『殺しの烙印』『荒野のダッチワイフ』
『拳銃は俺のパスポート』など1967年公開だけでこれだけあるんで
人気のジャンルだったのかな?
最近の邦画では『メランコリック』『ザ・ファブル』など
殺し屋や死体処理を題材にした作品があり、
昔に比べてアクション重視になっているような。
そんな中でも『ベイビーわるきゅーれ』はアクションの出来が良いし、
同じアクション監督の作品『東京無国籍少女 - 押井 守』みたいに
日常シーンとアクションシーンの乖離が激しくなく自然に感じる。

阪元裕吾監督の『ある用務員』の女子高生の殺し屋コンビ、
殺し屋・シホ(髙石あかり)と殺し屋・リカ(伊澤彩織)
を再び同じような設定のもとに起用したみたい。
容姿的に、
杉本ちさとは『ダーティペア』のユリやキュアホワイト系。
深川まひろは『ダーティペア』のケイやキュアブラック系。
ちさとの方がまひろよりお姉さんっぽいけど、
まひろ役の伊澤彩織の方がちさと役の髙石あかりより9歳年上。
ちさととまひろの掛け合いというか日常生活が微笑ましいので
アクションが無くても厭きずにずっと見てられる。
髙石あかりがクリスティーナ・リッチっぽくて好き。
殺し屋の少女(女子高生)が他にバイトもしているっていう設定とか、
KITE LIBERATOR - 梅津 泰臣』を実写化したように少し感じたっす。
(実写版『カイト/KITE』は観たことないので知らんす)

別に君を求めてないけど、横にいられると思い出す。
君のドルチェ&ガッバーナの、その香水のせいだよ――って感じに、
鼻が利く浜岡ひまりにちさとが殺し屋だと特定される。

メイド喫茶のバイトに採用されず見学になったまひろは、
仕事場に馴染めず疎外感で居場所が無いんすが、
得意の津軽三味線を披露してみんなに認めてもらうことに……
って、それは『いとみち - 横浜 聡子』じゃろがっ!

好きなもの目録 その400 庵野秀明のヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズ

「好きなもの目録」は、なんとか400まできたっす。
キリ番なんで特に好きなモノを取り上げたいんすが、
本格的に何かをやるには何度も観たり聴いたり読んだり調べたり
時間や手間が掛かり大変で、
特に好きなTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン
とかやりたいけどすぐには無理なんで、
ヱヴァンゲリヲン新劇場版』4部作で
お茶を濁そうかなと考えて数ヶ月経ったけど面倒臭くて放置してたんすが、
他に書きたい「好きなもの目録」もあるんで、
「その400」を適当に済ますことにしたっす。
なもんで、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズについて
何も語ってないのですみません。
ストーリー、キャラクター、世界観、考察、など
色んな所で語り尽くされていると思うので、
別に私が何かを語りたいこととか無いっす。
昔に私が『エヴァ』についてブログに書いた駄文の転載っす。
昔の文章なんで恥ずかしいっす。

映画『シン・ウルトラマン』(監督は樋口真嗣だけど)の公開が迫ってきて、
『シン・仮面ライダー』もあるので、
庵野監督は当分アニメはやらないんだろうなぁ。


標題:シン・庵野秀明 ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズ

分類:アニメ>映画>SF

■題名:ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズ
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
EVANGELION: 1.0 YOU ARE (NOT) ALONE.
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
EVANGELION: 2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
EVANGELION: 3.0 YOU CAN (NOT) REDO.
シン・エヴァンゲリオン劇場版
EVANGELION: 3.0+1.0(1.01) THRICE UPON A TIME

総監督・原作・脚本:庵野 秀明

監督:
鶴巻 和哉
摩砂雪 (※『シン』以外)
前田 真宏 (※監督:『Q』 / 原画:『破』『Q』 / その他:『シン』)

キャラクターデザイン:貞本 義行 (※作画監督:『序』)

メカニックデザイン:山下 いくと

画(絵)コンテ等:樋口 真嗣

作画監督
鈴木 俊二 (※総作画監督:『序』 / 原画)
松原 秀典 (※作画監督:『序』『破』 / 原画)
黄瀬 和哉 (※作画監督:『序』 / 原画:『破』)
奥田 淳 (※作画監督:『序』『破』 / 原画:『シン』以外)
もりやま ゆうじ (※『序』)
本田 雄 (※メカニック作画監督:『序』 / 作画監督:『破 』 / 総作画監督:『Q』)
明美 (※作画監督:『Q』 / 原画:『破』『シン』)
錦織 敦史 (※総作画監督:『シン』 / 作画監督補佐:『破 』 / 原画:『Q』)
浅野 直之 (※『シン』 / 原画:『序』)
新井 浩一 (※『シン』 / 原画:『序』)
田中 将賀 (※『シン』)
井関 修一 (※『シン』)

原画:
橋本 敬史
平松 禎史
板垣 敦 (碇谷 敦)
すしお
コヤマ シゲト
西尾 鉄也 (※『序』以外)
今石 洋之 (※『序』以外)
合田 浩章 (※『序』『破』)
村木 靖 (※『序』『シン』)
吉成 曜 (※『破』『シン』)
吉成 鋼 (※『序』)
小西 賢一 (※『破』)
山下 明彦 (※『破』)

特技監督増尾 昭一

脚本協力:榎戸 洋司

音楽:鷺巣 詩郎

主題歌:宇多田 ヒカル

声優:
緒方 恵美
林原 めぐみ
三石 琴乃
山口 由里子
立木 文彦
清川 元夢
長沢 美樹
子安 武人
優希 比呂
大原 さやか
石田 彰
宮村 優子 (※『序』以外)
坂本 真綾 (※『序』以外)
岩永 哲哉 (※『Q』以外)
関 智一 (※『Q』以外)
岩男 潤子 (※『Q』以外)
麦人 (※『シン』以外)
山寺 宏一 (※『破』『シン』)
大塚 明夫 (※『Q』『シン』)
沢城 みゆき (※『Q』『シン』)
伊瀬 茉莉也 (※『Q』『シン』)
勝 杏里 (※『Q』『シン』)
神木 隆之介 (※『シン』)

発表年:
2007年
2009年
2012年
2021年

製作国:日本

評価:S ★★★★★○くらい (※『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ全体)
S ★★★★★△
S ★★★★★◎
S ★★★★★△
S ★★★★★○
(※『新世紀エヴァンゲリオン
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』は
評価:S ★★★★★★くらいなので思い入れが強く、
ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを客観的に評価出来ません。
もしも『新世紀エヴァンゲリオン』を知らない状態で
なんとなく『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを観たら
良くて評価:A くらいにしか思わないかも)

■感想

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』
TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の
第壱話から第六話までの焼き直しが基本なんでTVより絵は綺麗になっているけど、
1995年当時はTVアニメとしては高クオリティだった『エヴァ』も今観ると酷く感じ、
2007年公開の『序』も今観ると『シン』の絵に比べると結構辛い……。
TVシリーズと間や台詞の微妙なニュアンスが違うかな。
シンジの代わりにエヴァ初号機に乗せようと重傷のレイを連れて来るんすが、
付き添っていた医者と看護婦二人が突然消えるんすよ、
衝撃で拘束ケージの下に落ちたのかな?
それにしてはシンジはレイの心配しかしてないけど。
「自分の子供を信じてください(シンジだけに)。
私も初号機パイロットを信じます(シンジだけに)」
「笑ヱヴァいいと思うよ」
――みたいな終盤のギャグがスベってる……。うそ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
(保留)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
(保留)

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
(保留)

■雑記・思い出・妄想:
2008年11月21日と2009年6月3日と2011年5月22日
に書いた記事に加筆修正して再構成。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズについて何も書いてません。

よく、TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の本放送当時の1995年頃(1990年代)に、
エヴァ』は社会現象だったか?
みたいな疑問を呈するようなのを見るんすが、
一般人や小学生くらいの子供や中年以上の大人に人気があったかは疑問ですが、
漫画やアニメ好きのオタクの間では凄い話題になっていました。
私は大学でオタク系(女子のいない現代視覚文化研究会みたいな感じ)のサークルに入って、
卒業後もそのサークル仲間と交流していたっす。
当時の私は漫画大好き人間でアニメは宮崎駿作品しか認めないって感じで
アニメをあまり観ていなかったんすが、
他のサークル仲間はアニメ好きが多かったっす。

なもんで、『エヴァ』の初放送の時って、私はアニメを観ていなかった……
どころかTV持ってなかったんですよ。
(まぁ、色々な事情がありましてラジオがあればいいや
って事で、それほどテレビ観ないし)
で、『エヴァ』の本放送の時から私の周りでは結構話題になっていたんですよ。
『ナディア』や『トップをねらえ!』のガイナックスの新作アニメだってんで。
放送回(物語)が進むとサークル仲間のみんなが話題にして、
あの謎はなんだ? とかあの意味は? とか凄い盛り上がってるんすよ。
でも私だけアニメ(『エヴァ』)観てないんで、
ポツーンと一人だけ取り残されて話題についていけず黄昏たっす……。
サークルの先輩達の集まりで
ビデオ録画した「第八話 アスカ、来日」の回だけを観たんですがなんとも思わず……。
古本屋で漫画を買おうとレジに行ったら
丁度「最終話 世界の中心でアイを叫んだけもの」の本放送の時間で、
バイトの大学生が食い入るように観ていたり。
なんでみんなこんなに騒ぐんだろうと不思議だったっす。
それから月日は流れ、テレビを買ったんすよ。
んで『エヴァ』の再放送というか一挙放送をTV東京の深夜で観たんすよ……。
いやぁ、面白い。凄い面白い!
凄く自分の趣味趣向にあっていたんですよ。
衒学的なところとか、キャラクターの性格付けとか。
当時、私は行き詰っていて、
シンジ君みたいに、うじうじとニヒリズム的に後ろ向きで
シンクロしたんすね、主人公に。
それで『エヴァ』に嵌りました、もう二十歳超えたいいオトナが。

てな感じで『新世紀エヴァンゲリオン』が大好きなんすが、
音楽(オープニングテーマ、エンディングテーマ、劇中使用曲など)
が私好みだったら最高なのにっ! と妄想してます。
TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を観る前くらいに、
当時の私はドアーズに嵌ってヘビロテしてたっす。
ドアーズの『ハートに火をつけて』と『まぼろしの世界』の曲を編集したCD
『ドアーズ ■スーパーセレクション■』っていう
店前のワゴンで売ってる安いCD買って、
部屋を暗くして昼から寝るまで聴いていたんす。
(うっ、暗い。ダメ人間)
エヴァ』を初めて通して観た時もサークル仲間に話したんですが、
「第弐拾四話 最後のシ者」でカヲル君をプチっとするじゃないですか、長い止め絵のシーンで。
そのバックで流れるBGMが
ベートーベンの『第九』の「歓喜の歌」なんですが、
私は初めてこのシーンを観たときに、
あぁ、ここのBGMがドアーズの「ジ・エンド」だったら最高なのに……
と残念に思いました。
最後のジム・モリソンのボーカル「ディィスゥ・ジィ・エエェ~~~ン」
でカヲル君の首をプチっと。
あと、カヲル君登場シーンで『第九』を口ずさんでいるじゃないですか
そのカットで
「THIS IS THE END. BEAUTIFUL FRIEND.
THIS IS THE END. MY ONLY FRIEND, THE END」
って歌ってくれれば最高なのにぃと。
歌詞の内容的にも
「FATHER, YES SON, I WANT TO KILL YOU.
MOTHER...I WANT TO...FUCK YOU」
とかあって、『エヴァ』に最適だと思うんすけど……。
まぁ、『第九』も最高なのでなんともいえないですが。
で俺的『新世紀エヴァンゲリオン』の続きですが
オープニングテーマをキング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者」、
エンディングテーマを同じくキンクリの「ムーンチャイルド」。
綾波レイ関連で
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「シスター・レイ」。
「第拾九話 男の戰い」でBGMをイエスの「錯乱の扉」。
「第弐拾弐話 せめて、人間らしく」でアスカが精神攻撃を受ける時の音響を
ルー・リードの「メタル・マシーン・ミュージック」。
それぞれの使徒のBGMにカンやマグマやアレアや
エマーソン、レイク&パーマーの「タルカス」。などなど
(アニメの内容と歌詞の意味があっているかは考慮してません)
シンジ君の聴く音楽はすべてプログレかサイケかクレイジー・キャッツ
という妄想をしている、危ない人間です。

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に
を私は中野サンプラザの試写会で観たんですよねぇ。
サークルの一つ上の先輩でデイヴィッド・リンチ好きの先輩がいるんすが、
その先輩はすご~い映画好きで、マイナーなのからメジャーなの、
古いのから新しい映画までなんでも詳しいんですが
(主に、SF・ホラー系かな。恋愛モノとかは詳しくないかな)
先輩は色々な雑誌などの映画の試写会に応募しまくっていて、
よく試写会に行っていたんすよ。
試写会ってよく知らないんですが、二人一組じゃないっすか。
んで試写会が当たると、だいたい先輩はよくつるんでいる
私から二つ上の先輩と映画観にいっていたんすね。
その二つ上の先輩も映画好きで、それで『エヴァ』も大大大好き!
エヴァ』のLDBOX買ったり、庵野監督にサインを貰ったこともあるほど。
だから当然、『エヴァ』の試写会も先輩同士で行くことになってたんすが、
どうしても二つ上の先輩が仕事を抜け出せないってんで、私にお鉢が……。
それで新宿のタカシマヤタイムズスクエア紀伊國屋で先輩と待ち合わせして、
まだ中野に行くには時間あるからってんで、それぞれ本見てたんすね。
最初は同じ階でそれぞれ本を物色してたんですが、
そのうちそれぞれ違う階に……。
まぁそんなに迷うこともないし、ぐるぐる階を廻っていれば
またいつかお互い会えるだろうってな考えで。
……それで時間が経ってきて、
そろそろ本屋を出たほうがいい時間になってきたんで、
先輩を探しにエスカレーターで上の階へ……居ない。
下の階へ……居ない。
全然行き会わないんですよ、時間が迫ってきてるのに。
なんか先輩も、私を捜して上へ下へしてたらしいんですが、ちょうど行き違い。
んで場内アナウンスで呼び出されちゃったっす、初めて。
(その頃って、まだみんな携帯を持っている時代じゃなかったっす)
私が入場チケット持っていたので、置いてかれずにすんだみたいっす。
そんで肝心の『エヴァ』の映画は……、
もうあまり記憶にないっすけど、サンプラザ前に並んだ人達はみんな、
凄いワクワクと期待に胸をふくらませていたんじゃないかな。
上映後、みんななんとも言えない顔していたような……。
凄い作品を観た! 良かった!
というような満足な顔をしている人は少なかったような。
結構、家族連れっていうか、小学校低学年くらいの子供を連れている親がいて、
最初のシンジくんのシーンとか、弐号機のグロシーンとか、
子供にトラウマ植え付けたって意味では成功なんじゃ(なんの?)
私は、映画もTVの最終回も嫌いじゃないので
まぁまぁかなって感想ですが。
最初から最後まで完璧じゃなくても、途中まででも最高に面白かったら、
最後が自分の気に入らない終わり方でも、それまで好きだったモノを全否定する
ってなことはないです、私は。 

新世紀エヴァンゲリオン』は、
私が宮崎駿以外のアニメを本格的に観始めるきっかけになったアニメ……。
それまで、漫画原作至上主義でジブリ以外のアニメをバカにしていた私を、
アニメってこんなにも面白いんだ!ってのを認識させてくれた作品です。
エヴァ』で、ジブリ以外のアニメの楽しみ方もわかるようになり
本格的にアニメを観るきっかけを与えてくれた
エヴァ』は私にとって特別なんです。
アニメって、アニメ独特のお約束っていうか、文法があって、
それがわからないと面白くないってのがある。
世界名作劇場』とかジブリ系のアニメは、
特殊な演出とかあまり無いから観たままでいーんですが、
出崎統監督や富野由悠季監督なんかのアニメも演出が特殊で、
アニメの見方がわからないと、なんで止め絵になるの。とか
人物紹介や人物同士の関係や背景、舞台、
などの説明もなしにドンドンストーリーが進む。とか
凄い分かり辛いと思うんすよ。
エヴァ』はなんかオタク臭いし、
それが一般人がアニメに取っ付きづらい一因だと思うんですが、
それがまたアニメの面白さだしなぁ。
全アニメの中から、一番好きなTVアニメを一本選べと言われたら、
未来少年コナン』と『エヴァ』って言いますね!
(二本じゃねーかよ)

新房昭之監督が「今のアニメ業界があるのは『エヴァ』のヒットのおかげ」
って言ってるみたいなんすが。
新世紀エヴァンゲリオン』って作品は好き嫌いはあっても、
その影響力を否定するのは難しいと思うんですが、
もう25年以上経っちゃうと、
リアルタイムでその凄さを感じていない若い人なんかが
(評判から)後追いで観て、言うほどたいしたことない。とか
キャラ(萌え)だけ。とかハッタリだけで浅い。とか
すでにある過去の映画やアニメや特撮のパクリだ。とか
いろいろ否定すると思うんです。
でも、1980年代からのTVアニメの流れをみていると、(全然詳しくないっすが)
1990年代中頃までは、『ドラゴンボール』や『セーラームーン』なんかの
主に小学生がターゲットの東映動画が主流で、
サンライズ系のロボットアニメなんかジリ貧状態で、
富野由悠季監督は『Vガンダム』で行き詰まり、
出崎統監督の『おにいさまへ・・・』はBSで一般の目には触れず、
中高生向けTVアニメの暗黒期だったと思うんです。
(当時、TVアニメに興味が無くまったく観ていなかったので私の勝手な想像です)
そんな膠着した世界に革命を起こしたのが『エヴァ』なんすよっ!
エヴァ』の後、『天空のエスカフローネ』『少女革命ウテナ』『カウボーイビバップ
なんかも影響の大小はあるだろうけど出てくるし。
エヴァ』のある世界線とない世界線では天と地も違うんすよ!
エヴァ』が無かったら、今の深夜アニメのほとんどは無いんすよ!
(言い過ぎかも)
今は『エヴァ』の影響を受けた作品とかいっぱいあるから、
若い人とか、それほど『エヴァ』でショック受けることないのかもしれませんが。
エヴァ』って、熱病みたいなとこがあるし、
謎?というか、なんか他人と色々語ってみたい感じになるじゃないっすか。
(最近は時間が経ち、『エヴァ』の謎よりキャラ萌えに主体が移った印象っすが)

私は『エヴァンゲリオン』は大好きですが、
庵野監督の他の作品はそれほど好きではないんです。
エヴァ』は、庵野監督のアニメにたいする希望と情熱、挫折と絶望そして復活、
すべてがぶち込まれていると思うんですよ。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズは、
新世紀エヴァンゲリオン』の12インチバージョン、リミックスだと思ってます。
もとのテレビ版『エヴァ』が最高だったので、
映像や音声なんかは綺麗だけど
新劇場版はテレビ版を越えることはないっす。

■ネタ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』のあらすじ。うそ
鈴原トウジ相田ケンスケ、そして碇シンジの三人は、
いつものように携帯ゲームで対戦をしていた。
シンジのあまりの強さに、改造ツールでのインチキを疑った二人は、
くすぐりの刑でシンジを虐待。
そばを通りかかった洞木ヒカリは、そのやおいっぽいじゃれ合いに
「いじめ、カッコ悪い」と止めに入るが……。
暴行でボロボロの姿をミサトさんに見つかっては拙いと
雨、逃げ出した後、
父ゲンドウからエヴァンゲリオンパイロットになることを命令される。
人類を使徒から守っているのに、誰からも尊敬されないしモテないしで
不貞腐れて加持さんからのドイツ土産
惣流・アスカ・ラングレーのゲーム『あんたバカぁ? LOVE GIRL』
に淫語を入力して言わせていると使徒、襲来。
ダミーシステムに任せていたら式波の乗った3号機が大破して
式波・アスカ・ラングレーは半死状態。
みんなから責められ、んじゃ、もうエヴァパイロット辞める。と職場放棄。
そんな状況の中、最強の使徒パパンダーが、新宿副都心の造幣局を襲う!
これもすべて、人類補完委員会の議長ドン石川のシナリオか?
圧倒的なパパンダーの力に、まったく歯が立たない
真希波・マリ・イラストリアスの乗る
エヴァ2号機は、バナナを食べることによりビーストモードに移行し、
パパンダーのATフィールドを食い破る。
そこに最後の力を振り絞り飛び込んだ零号機だったが、
パパンダーに無残にも食べられてしまう。
惣流・アスカ・ラングレーに淫語を言わせるのに厭きたシンジは、
テレビでも観るかぁ……と、そこには地獄の惨状が。
ヤッベ、どーすんのコレ……。
新鮮な空気でも吸って心を落ち着けるかな、とベランダへ。
偶然ベランダに置いてあったエヴァ
僕はエヴァンゲリオン初号機パイロット、碇シンジです!
と乗り込みパパンダーに挑む。
パパンダーに獲り込まれた綾波レイを助けようとするシンジだったが、
「私が死んでもコピーロボットがいるもの……」
そんな自暴自棄な綾波に──
(もう厭きてきたので中略)
サードインパクトの始まりを太鼓を叩きながら解説する赤木博士。
渚カヲル(MARK.06)の投げたロンギヌスの槍は、
ストーカーのように執拗に初号機を追い回すが、
最後はパパンダーに突き刺さりサードインパクトを食い止める。
碇シンジ君、今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ」
『新劇場版:Q-Q-Q ザ☆ムービー ヱヴァンゲリヲン タコDEポン!アシQUポン!』へ続く。
……なんか…細部(どころか大部分)が違うような。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』のあらすじなんすが……
『映画Pa-Pa-Pa ザ☆ムービー パーマン
との記憶の混濁がおきたみたいっす。
(※当時『映画Pa-Pa-Pa ザ☆ムービー パーマン - 渡辺 歩』
をテレビで観て書いた文章なんすが、
10年以上前のものなんで、自分で書いといて
何を言ってるのかまったくわからない……)


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序・破・Q』は、
雅楽の用語「序破急」に由来するみたいなんすが、
じゃあ『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は?
って疑問に思うじゃないっすか。
序・破・Q・シン……もしかして、
もうお気づきでしょう。
「序破Q」とは『オバケのQ太郎オバQ)』のことで、
「シン」は『新オバケのQ太郎』を意味することを……。
これが理解出来れば
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が「劇画・オバQ」だとピンと来ます。
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に
のEVA量産機が全身真っ白で唇が赤いのもオバQのオマージュだし……うそ。

劇画・オバQ - 藤子・F・不二雄
オバケ学校を卒業したオバケのQ太郎は、
オヤジにオバケ銀行にコネがあるから就職しろと言われるが、
なにかもっとかわったことやりたくて人間の世界に15年ぶりに戻って来て
昔一緒に過ごした大原正太の元を訪ねる。
正太は大会社のサラリーマンになっていていい奥さんもいるが、
博勢から脱サラして新しい事業のパートナーになってくれと誘われている。
始めは歓待されていたQ太郎だったが、
会社で疲れている正太やマンガ的なQ太郎の言動に苦慮する奥さんに
「Qちゃんいつ帰るの?」と影でうざがられる。
居づらくなったQ太郎は15年前に住んでいた家を訪ねてみるが、
マンションに代わり周りもすっかり様変わりしている。
そこで偶然、乾物屋の主人になったゴジラと再会し、
昔の仲間を集めてゴジラの家で飲み会をすることに。
キザッぽい感じのままの木佐や、二人の子持ちのよっちゃん、
そこに正太も遅れて合流し盛り上がり、
まだ来ない博勢の噂をしていると、
子供っぽく犬の鳴き声でQ太郎を脅かして博勢が登場する。
みんな子供の頃の夢で盛り上がり
酔った勢いから正太は博勢の計画に参加すると大言壮語。
翌日、二日酔いの正太はQ太郎に促され
脱サラして博勢と事業をやる話を奥さんに打ち明けようとするが、
先に奥さんから子供が出来た話を聞き
博勢との約束を忘れ張り切って会社に向かう正太だった。
Q太郎は正ちゃんに子供が出来て、正ちゃんはもう子供じゃないと悟り
オバケの世界に寂しく帰って行く。

――このように、
Q太郎が15年ぶりにみんなに会って浦島太郎状態になるのが、
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の
『破』から14年が経ち目覚めたシンジが、
外見上は年齢変化がない他のエヴァパイロット達や
周りの人達が年齢を重ね精神的成長をしている(大人になっている)
ことに戸惑い疎外感を抱く。とか
Q太郎が15年前に住んでいた家を訪ねるのが、
シンジがNERV本部へ戻るけど地表の第3新東京市が消滅し荒廃している。とか
正ちゃんとよっちゃんが結婚していないのが、
『シン』のアスカとケンスケ、シンジとマリのカップリング。とか
ゴジラはトウジ、木佐はケンスケ、
そして計画が失敗続きの博勢はゲンドウのメタファーなんすよ。うそ


新世紀エヴァンゲリオン』「第弐拾四話 最後のシ者」の、
渚カヲル碇シンジに言う台詞
「僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない」
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の、
渚カヲル碇シンジに言う台詞
「僕は君に会うために生まれてきたんだね」
は色々な作品に時空を越えてオマージュされてます。うそ

『遊び - 増村 保造』
少女が少年に言う台詞
「あんたに会うために、今日まで生きてきたんだわ」

『幻の湖 - 橋本 忍』
みつがお市の方に言う台詞
「私はあの人と結ばれるために琵琶湖を北に向かい、この小谷の城へやって来たのです」

『ザ・サムライ - 鈴木 則文』
南藩都来が山口敦子に言う台詞
「敦子さん、僕はあなたに会うために転校してきたのかもしれません」

PARTY7 - 石井 克人』
キャプテンバナナがオキタに言う台詞
「君はひょっとして、この部屋に来るために生まれてきたんじゃないのかな」

せかいのおわり - 風間 志織』
中本がはる子に言う台詞
「僕もしかしたら、ウサギになるために生まれてきたのかもしれない」

『時をかけるな、恋人たち』
井浦翔が常盤廻に言う台詞
「ボクは再び君に会うために、この時代にやって来た」

『仮想儀礼』「第1回 宗教が始まる」
矢口が鈴木に言う台詞
「この日のために生まれたのかもしれない」

気になるもの目録 藤井秀剛の狂覗

「好きなもの目録」で取り上げるか微妙なモノを
「気になるもの目録」っていう別枠でメモすることにしました。
とりあえず通し番号はつけません。

学校教育(教師や生徒)を取り巻くミステリースリラー?
藤井秀剛監督の『狂覗』を観たんすが、
カメラを止めるな!』みたいな
低予算で(私が知らない)有名ではない俳優が出演してるんすが
興味深い内容でちょっと気になったのでメモ。


標題:(保留)

分類:映画>邦画>サスペンス / ホラー

■題名:
狂覗
超擬態人間

監督・脚本・撮影・編集:藤井 秀剛

出演:
杉山 樹志
田中 大貴
望月 智弥
宮下 純
坂井 貴子
河野 仁美
桂 弘

(※下記『狂覗』)
種村 江津子
納本 歩
宇羅 げん
小野原 舞子

(※下記『超擬態人間』)
越智 貴広
安井 大貴

発表年:
2017年
2019年

製作国:日本

評価:
C ★★★前後
D ★未確定

■雑記:
『狂覗』
生徒指導の名目で体育の授業中に生徒が不在の中、
所持品の抜き打ち検査する教師達が目にした中学生の実態とは!
教師(きょうし)が豚や蛙の生体解剖をするように
生徒達の所持品や教室の状態を覗き見る行為から
『狂覗(きょうし)』ってタイトルをつけているのかな。

谷野十(杉山樹志)は中学教師だが、
担任だった女子中学生のイジメによる投身自殺を目撃したショックから休職している。
恩師の森由紀夫(田中大貴)に誘われ
森が教鞭を執る中学校に復職することになり面談をした帰り、
成り行きから生徒の所持品検査を手伝うことになる。
生徒達の所持品や教室の状態から、
教師の盗撮、教師と生徒の援交、ドラッグ、壮絶なイジメ、
教師へのリンチや無視、など次々と明らかになる問題の数々。
先生同士の庇い合いにより問題を揉み消す方向になるが、
生徒数より一つ足りない机と用具入れの中身が出しっ放しの状態に
先生達はあることに気付く……。
誤ってドラッグを服用し酩酊する森は
全てを無かったことにするため用具入れの中に棒を突っ込む!

中学校が舞台だけど、先生のみで生徒は殆ど登場しない。
(極力、顔を映さない個人と特定されないような生徒達)
机が足りなくて用具入れにイジメられている生徒がいる
ってわかる展開が殆どホラー。
谷野が投身自殺だと思い込んでいるのは、
同僚が生徒に言い寄られて揉み合った末に事故で転落したのを
偽証して庇ったことへの良心の呵責。


『超擬態人間』
格安の結婚式場に向かうカップルと新婦の父と案内人の女、
しかしてその実態は……
バカな土建屋の息子と結婚詐欺師の母と息子、
そして自分の代わりにクローンを産む男女を拉致しようとする狂った女だった。
という設定で立ち入り禁止の山奥に入り込み
現代の陸軍中野学校的な公安の秘密研究所に近づき潜入を試みるが
なまはげみたいな鬼の面を被った謎の男に惨殺される
鬼輪番』を現代を舞台にリメイクしたのがこの作品……うそ。

ストーリーはよくわからないっす……。
政府の秘密の研究所で、死刑囚の丸山風摩(杉山樹志)のクローンを大量生産していて、
風摩は父親からの虐待の記憶を植え付けられ、息子の蓮を虐待してしまう。
蓮は特殊な超擬態人間で恐怖を感じた物体に擬態出来るみたい。
新開真里(坂井貴子)はクローンの代理出産をしていたが出来なくなり
結婚式場への案内人を装いクローンを生産するための人間を拉致してるみたい。
佐竹徹(望月智弥)はバカな土建屋の息子で
金持ちの元川益暢(田中大貴)の娘・佐久羅(河野仁美)と結婚するところだが、
益暢と佐久羅は息子?とおかんの結婚詐欺師みたい。
そこに謎の研究施設を脱走した超擬態人間が絡んでくるんで
何が何だかさっぱりわからないっす……。
昨今の在り来たりのJホラーより雰囲気は良いかな。


『狂覗』『超擬態人間』主演の杉山樹志さんは若くしてお亡くなりになったみたい。

好きなもの目録 その338 内田けんじの鍵泥棒のメソッド

『ダマせない男』を観たんすが……
キャストや設定が『鍵泥棒のメソッド』や『コンフィデンスマンJP』
っぽいっていわれているみたいなんすが、
まぁ……普通以下かな。
好評ならシリーズ化する予定とかあるのかな?
ネタバレなんすが、百面のジョー(上)がルパン三世
江戸川乱歩の美女シリーズ」の明智小五郎(天地茂)並みに
誰にでも(女性は無理かも)化けられるんで詐欺の域を超えている……。
大森詩子(広末涼子)と小山紗枝(村川絵梨)が
絹咲正(堺雅人)を取り合う展開かと思ったら、
女性同士で出来ているっていう想像の斜め上いくLGBTどんでん返し。
最後、絹咲と浅香澪(門脇麦)の二人が
貴島源一郎(生瀬勝久)の手下に殺されそうになったところを
貴島に化けたジョーに助けられ切り抜けるんすが、
一時的に助かっただけで貴島が二人を許さないと思うんすが。
『コンフィデンスマンJP』は御都合主義っぽいけどなんか納得いくけど、
『ダマせない男』はなんか適当過ぎて納得いかない。
鍵泥棒のメソッド』から十年経ってるんで、
広末涼子の首なんか見るとさすがに年取ってる感じで、
ちょっと前に『ジェネラル・ルージュの凱旋 - 中村 義洋』を観返して
チュッパチャプス好きの速水晃一役とか良いなぁと思ったんすが、
堺雅人は昔に比べて少し演技下手になってるように感じるかな。


2020年12月17日に書いた記事を修正して下記に転載。

半沢直樹』を観ていて、
2013年版第一部の大阪編が一番ストーリーもしっかりしていて面白く、
2020年版の『半沢直樹』は悪くはないけど、
役者の顔芸がなんか面白いっていう大味なネタドラマになってたかな。
んで、伊丹十三監督の『あげまん』観たら、
銀行員の鈴木主水(津川雅彦)と頭取(大滝秀治)の関係や銀行の内幕、
銀行と政治家の癒着など『半沢直樹』っぽい場面があるんすよ。
『あげまん』ってタイトルから
ナヨコ(宮本信子)と付き合う男が出世する話だとはわかるんすが、
まさか銀行の話だとは思わなかったっす。
さすが伊丹十三は目の付け所が違い、面白いジャンルを取り上げるのが早いなぁ。
んで、2020年版『半沢直樹』第6話に、
帝国航空の社員・仁藤圭子役で内田慈が出てるんすが、
邦画観てるとよく見る女優さんだなぁ。と思いながら、
チョイ役にしては目立ってるけど、なにかの伏線なのか?
あっ! そうか……、
もしかして、堺雅人と内田慈が同じ場面に登場しているのに意味があるのかも……。
半沢直樹』は堺雅人香川照之の共演が話題なんすが、
その二人が出演した『鍵泥棒のメソッド』に、
内田慈が堺雅人の元恋人役で出てるんすよ。
ドラマのスタッフがそれでキャスティングしたのかも……と思ったっす。

一般的に、邦画は洋画よりレベルが低く見られていると思うんすが、
そして、邦画を評価している人でも、昭和の邦画は最高だけど、
それに比べて平成の邦画は駄目だって人もいるでしょう。
昭和には、黒澤明市川崑清水宏内田吐夢などの巨匠や名匠が数多くいたんすが、
平成の邦画を観るけど古い邦画を観ない人にとって映画監督は、
クロサワといえば黒沢清、市川といえば市川準、清水といえば清水崇
そして、内田といえば内田けんじ!
ってのが今では常識……なのかも。うそ

私も若い頃は邦画にあまり興味が無かったんすが、
1990年代の後半くらいから徐々に観だして、
今では、邦画だろうが洋画だろうが、古かろうが新しかろうが、
実写だろうがアニメだろうが、メジャーだろうがマイナーだろうが、
何か引かれるモノがあれば何でも観ます。
んで、平成の邦画もけっこう観てると思うんすが、
(平成で)一番くらいに好きなのが内田けんじ監督なんすよ。
私は大体、映画を観たらその映画をまた観なおすことはあまりなくて、
面白かった記憶がある映画を、
まったく内容を忘れた数年後に観なおすことがたまにある程度で、
短期間に何度も観なおしたり、
インターバルを置いて何度も観なおしたりすることがないんですが、
なんか内田けんじ監督の作品は観なおしたくなるんすよ。
平成の邦画(実写)の中では、
鍵泥棒のメソッド』が一番私の好みに合い好きなんで目録に。


標題:内田けんじのメソッド 邦画を甘くみてるとダマされちゃいますよ

分類:映画>邦画

■題名:
運命じゃない人
アフタースクール
鍵泥棒のメソッド

監督・脚本:内田 けんじ

音楽:
羽岡 佳 (※『アフタースクール』)
田中 ユウスケ (※『鍵泥棒のメソッド』)

出演:
(※下記『運命じゃない人』)
中村 靖日
山中 聡
霧島 れいか
板谷 由夏
山下 規介
眞島 秀和

(※下記『アフタースクール』)
大泉 洋
堺 雅人
佐々木 蔵之介
常盤 貴子
田畑 智子
山本 圭
山本 龍二
北見 敏之
奥田 達士
大石 吾朗
伊武 雅刀
尾上 寛之
桃生 亜希子
沼田 爆
田村 泰二郎
佐藤 佐吉
ムロツヨシ

(※下記『鍵泥棒のメソッド』)
堺 雅人
香川 照之
広末 涼子
内田 慈
荒川 良々
原 金太郎
森口 瑤子
小野 武彦
木野 花
小山田 サユリ
三上 市朗
李 千鶴
柊 瑠美
中谷 竜
大谷 亮介
田中 聡元
荒川 結奈
黒田 大輔
池田 成志
久野 雅弘
本宮 泰風
三村 恭代
林 和義
ウダ タカキ
松山 愛里
中川 晴樹
ムロツヨシ (※携帯画像のみ)

発表年:
2005年
2008年
2012年

製作国:日本

評価:
A ★★★★☆
A ★★★★★
S ★★★★★○

■内容・雑記:
運命じゃない人
桑田真紀(霧島れいか)は、
婚約者の車の助手席でメンソールのタバコの吸殻を見つけ、
婚約者の浮気(裏切り)を知り、一人で生きていくことに決め、
同居していた部屋を後にし街をあてどなくさまよう。
宮田武(中村靖日)は、真面目な良い人で
恋人の倉田あゆみ(板谷由夏)と一緒に暮らすためにマンションを購入するが
あゆみは好きな人が出来たからと部屋に荷物を置いたまま出て行く。
そんな二人が運命的に出会う物語……かな?

カメラを止めるな!』みたいに、最初にゾンビ映画を観せて、
後に映画撮影の舞台裏を観せるみたいな感じで、
表で進む二人の出会いは、実は裏ではこんな事件が起きてました。
って感じに後半は時間軸が戻るんすが、
伏線というかほとんど関連描写なんで前半から目が離せない。
あの時、あの場所に、あの人が居たのか!
っていう驚きのオンパレード。

以下ネタバレっす。
宮田の中学時代からの親友・神田勇介(山中聡)は探偵で、
あゆみに不信感を抱き独自に調査、あゆみが結婚詐欺師だとわかるが、
あゆみが宮田から離れ、ヤクザの組長・浅井(山下規介)の女なこともあり、
それ以上追求しなかった。
そんな神田のもとにあゆみが組長の金を奪い逃亡の手助けを頼みに来る。
ヤクザの金に手を付ければ命が無いので、金を返すようにあゆみを説き伏せ、
宮田の部屋に置いてあるパスポートを手に入れるため勝手に侵入する神田。
丁度そこに宮田が帰ってきたので、慌てた神田は宮田を遠ざけるため、
あゆみの話しがあると電話でレストランに呼び出す。
パスポートと交換に手数料百万を受け取った神田は、
レストランで宮田と落ち合い、あゆみは結婚するみたいだから諦め、
次の相手を探せ。と偶然後ろの席にいた真紀を一緒に食事をしようとナンパ。
神田はトイレに行くと言って消え(ヤクザに拉致)、
行く場所のない真紀を宮田は自分のマンションに連れて行く。
そこにあゆみが自分の荷物を取りに来る。
真紀はあゆみの身勝手さに怒りマンションを出て行く、
彼女を追いかける宮田はなんとか電話番号を手に入れ有頂天。
あゆみは実は着替えるふりをして
神田を騙して札束を宮田の部屋に隠していたのを取りに戻ったのだが、
そこには、なぜか浅井が……。
実は奪われた札束は見せ金(ダミーの札束)で浅井には痛手は無かったが、
組員が騒ぎ出し、しかたなく自ら収拾に動き出す。便利屋の山ちゃん便利だな。

真紀は、自分一人で生きていくってわりには、
行く当てもないのに飛び出すし、神田のナンパにすぐ喰いつくし、
札束を見つけたらパクるし、嘘の電話番号教えるし、
などなど、あゆみよりちょっとましって感じ……。
大体、車の助手席に女性と思われるタバコの吸殻があったからって、
それが即、浮気かどーかなんてわからないと思うけど、
同僚とか知人がたまたま同乗しただけかもしれないのに、
すぐ婚約指輪売っちゃうし……まぁ、安物だったから、男が騙していたのかもしれないけど。

ヤクザの浅井組長は、経済的というか理論的なヤクザは他の邦画でも見るけど、
なんか新鮮なヤクザの組長像。


『アフタースクール』
木村(堺雅人)は、出産間近の妻・美紀(常盤貴子)と朝食を共にし、
ふと、中学生の時に学校の下駄箱前で初恋の人・美紀から手紙を貰ったことを思い出し、
妻から今までのお礼にと靴をプレゼントされ自分の幸せを噛みしめる。
義父(山本圭)のもっと見晴らしの良い場所に引っ越せという言葉には苦笑い。
会社に出勤するため家を出ると、
ちょうどそこに中学時代からの親友・神野(大泉洋)が妻の買出しを手伝いに来た。
神野の新車を借り横浜へ……。
その夜、美紀が産気づき神野が病院まで付き添うが、
赤ちゃんが産まれたのに木村には連絡がつかない。
母校の中学教師になった神野が夏休み中の学校に行くと、
同級生だった島崎(佐々木蔵之介)が、木村の所在を尋ねてやって来た。
探偵の島崎は、木村は浮気している。と女(田畑智子)と一緒に写っている写真を見せる。
妻にベタ惚れの木村がそんなことするはずない。と島崎と一緒に木村を探すことになる神野。
夫が妻の妊娠中に浮気するのはよくあることで、
中学時代から好きだった美紀を手に入れるチャンスだろ。
と人間や社会の裏も表も全部わかりきってる島崎は神野をけしかける。
――みたいな話ではないっす。
騙している人が実は騙されていた。って話っす。

以下ネタバレっす。
佐野美紀は、親の借金を背負い
あゆみという名前で高級クラブでホステスをさせられ、
ヤクザの組長・片岡(伊武雅刀)の愛人だった。
雨の日、妊娠し子供を産みたい美紀は、偶然店で見かけた木村を頼り、
木村を迎えに来た神野の車に逃げ込む。
神野は妹の婦警(田畑智子)に相談し、
美紀が片岡と梶山商事社長・大黒(北見敏之)との関係を知る重要参考人となり、
梶山商事の社員・木村は会社の悪事を探ることになる。
大黒社長は会社の資料を持ち出した木村を探すため、
部下の唐沢(奥田達士)に探偵の北沢(佐々木蔵之介)を使うように命じる。
片岡に借金のある北沢は、木村の情報を集めるため地元の中学校を尋ね、
同級生の島崎を騙り神野から木村の情報を引き出そうとするが、
神野は木村と一緒に写っている妹のことを知らない島崎をニセモノと見破り、
彼が何者で目的は何か探ろうと一緒に行動することに。
しかし、掏りかえられた携帯電話から神野の目的がバレ、
大黒社長を逮捕する計画を急遽変更することになる。
中学生の時に木村が佐野美紀から貰った手紙は神野に渡してと頼まれたモノで、
美紀と結婚しようと外車や指輪をローンで購入したのは神野で、
美紀の父親っぽい行動していた郷田(山本圭)は捜査官で、
あゆみだと思って追っていた女は神野の妹、
などなど……ってトリック。
江藤外相(大石吾朗)と大黒社長とヤクザの繋がりが、
どんな汚職や犯罪に繋がるのかは映画的マクガフィンなのか明かされない。


鍵泥棒のメソッド
以下ネタバレぎみっす。
桜井武史(堺雅人)は、貧乏な売れない役者で
所属していた劇団は解散し、
同じ劇団で恋人だった理香(内田慈)とも別れ、
その彼女が結婚するとわかり、失意から首を吊ろうとする。
しかし、ボロアパートなので電灯の紐が切れ死に切れない。
財布の中の全財産を確かめると銭湯の入浴券が残っていた……。
最後に風呂に入ろうと銭湯に出かける。
コンドウこと山崎信一郎(香川照之)は、裏社会では凄腕の殺し屋で通っているが
本当は便利屋で殺しも請合うが実際には人は殺さず逃がし屋をしている。
几帳面な性格で、岩城社長(原金太郎)を偽装殺人した仕事の時に付いた血糊が気になり、
偶然見かけた銭湯で汚れを落とそうとするが、
洗い場の石鹸に足を滑らせ頭を打ち気絶してしまう。
投げ出されたコンドウのロッカーの鍵が偶然桜井の足元に……。
鍵を掏りかえた桜井は、コンドウの車を乗り回し、
コンドウの金で友人(劇団員)からの借金を返し、最後の思い出に理香に会いに行く。
水嶋香苗(広末涼子)は、父(小野武彦)が病気で余命残り少ないため、
死ぬ前に自分の花嫁姿を見せようと突然婚活を始める。
何事も計画通りに進める完璧主義者の香苗だが、
理想的な相手はすぐには見つからない。
記憶喪失のコンドウに成り代わった桜井、
自殺未遂をした売れない役者だと思い込む山崎(コンドウ)、
そんな実は山崎の桜井と偶然知り合う
結婚相手の条件が健康で努力家という恋愛未経験の香苗の三人が、
ヤクザの工藤純一(荒川良々)から
岩城社長が持ち逃げした大金のありかを探る事件に巻き込まれる。

水嶋香苗の結婚相手(バイト募集)の条件が健康で努力家なんすが、
山崎と香苗が病院前で出会い、アパートまで車で送った最初の段階で、
山崎はいたって健康で努力家ってのがわかり、香苗の結婚相手の条件に合っているし、
父の病室で「女子が男子をナンパしたってかまわないじゃない。――」
って一文に蛍光ペンでマークしてるのが、
積極的に香苗が山崎の世話を焼く理由とか、
香苗が最高級のモノを紹介する雑誌の編集長でモノの価値(値段)がわかる、
岩城社長の婚約者・井上綾子(森口瑤子)の息子はなぜ子供部屋で寝ないのか、
香苗の姉・翔子(小山田サユリ)の恋の(キューンのマシン)話と
車のアラームが最後に繋がる、
などなど細かい伏線が張り巡らされている。
香苗は恋愛対象に容姿や年齢や収入を求めないんすが、
ファザコンっぽいので年上でも、
亡き父と同じでベートーヴェンの「弦楽四重奏14番」が好きな山崎とは相性が良さそう。
桜井のアパートの部屋の隣人のオタクと山崎の会話や、
香苗の父の葬式で流すビデオレターが、
間違って結婚式用が流れてしまうのが何度観ても笑う。
荒川良々は好きだけど、ヤクザの組長はミスキャストかな。

 

運命じゃない人』『アフタースクール』『鍵泥棒のメソッド
の三本ともストーリーは甲乙付け難く面白いんですけど、
大体ヤクザや探偵や便利屋などの裏社会の捻くれた人間と、
その対極の真面目で誠実な普通の人間を絡ませる話かな。
運命じゃない人』の霧島れいか板谷由夏より、
『アフタースクール』の常盤貴子田畑智子の方が好きな女優で、
鍵泥棒のメソッド』の広末涼子の水嶋香苗のキャラが好きで
堺雅人香川照之のコンビも良いので、
私の評価は
鍵泥棒のメソッド』>『アフタースクール』>『運命じゃない人』っす。
三本ともエンドロール前後にオマケがあるので、最後まで見逃せない!

平成の邦画の監督の中では内田けんじが一番好きなんすが、
寡作で今なにか映画制作をしているのかもわからない……。
内田けんじ監督作品は、ストーリーは凝ってるし、
キャラクター(登場人物)も面白い人達ばかりで良いんですが、
演出は王道というか普通というかテンポが一定で
派手さで見せるって感じじゃないので、
迸るエネルギーで突き抜ける感じとかなく、
なんか小さくまとまっちゃってるのが残念かな。

好きなもの目録 その90 藤子不二雄の黒ベエ

藤子不二雄A安孫子素雄)先生がお亡くなりになったみたいです……。
私が小学校高学年の頃から中学生くらいにかけて
『黒ベエ』『魔太郎がくる!!』『ブラック商会変奇郎』
ブラックユーモアの短編などを読んで
もの凄い影響を受けました。
ホラーやオカルト、マグリットエッシャーとか、
ダークな怪奇物が好きになった一因はA先生の影響かな。
私が影響を受けた偉大な方々が次々にお亡くなりになるのが寂しいです。

矢口高雄先生が安孫子素雄先生を追悼――
みたいなのを見て、
えっ! マンデラ効果……とちょっと焦りました。


ギャグ漫画好きだった子供の私が、
初めてブラックユーモアの漫画を読んだのが、
『黒ベエ』だったかな。
不気味で後味の悪いバッドエンドな話なのに、
何か惹きつける魅力があって良いんですよね、ブラックユーモアは。
漫画の中の人物に、もし自分がなったら……と考えると、
悲惨で背筋が凍るんですが、読者という神の視点で見ると笑っちゃう。
ギリシア悲劇に通じるモノが、藤子不二雄Aの『黒ベエ』などのブラックユーモア作品にはある。うそ
私が藤子不二雄A作品の中で、(『フータくん』を除いて)
一番くらいに好きなのが『黒ベエ』。
主人公(黒ベエ)の性格が捻じ曲がっているのが、
藤子不二雄作品の主人公といえば、正ちゃんやのび太って感じの、
元気な男の子や弱虫の男の子ってイメージだったのが覆されたっす。


標題:藤子不二雄の黒ベエ

分類:漫画>ブラックユーモア

■題名:黒ベエ

作者:藤子 不二雄 (藤子 不二雄A)

発表年:1969年~1970年

製作国:日本

評価:S ★★★★★☆

■内容・雑記:
ブラック・ユーモアとは、なんのこと?
そいつは、愉快な破壊。高尚な嘲笑。残虐な諧謔
スリリングに笑わせる、怪人黒ベエとは、だれのこと?
そいつは、藤子不二雄がうみだした、きみの心の影法師。

<登場人物>
黒ベエ:
全身黒ずくめの坊主頭の子供。(シルクハット、ステッキ、白手袋)
目尻が下がり鼻は黒い福助のような顔立ちだが、福ではなく不幸をもたらす。
謎の女の子にのぼせ上がり、プレゼントされた白服を着た(白ずくめの)黒歴史がある。
得意技「影うつし」は、対象の影に同化し操ることが出来る。
「影封じ」は、影の中(壁などに映った影)に対象を封じる。
「影変身」は、対象の形態を変える。
「影移し」は、複数の対象の重なった部分を取り替える。

ハゲベエ:
黒ベエに飼われているハゲタカ。
放し飼いで、エサは自力で狩る。食い意地が汚い。

スズキ・ミチオ:
一見、気弱な性格に見えるが、黒ベエも一目置く実行力の持ち主。
自分を虐めた(危害を加えた)モノに対して手帳に★(黒星)を付け、
良くしてくれた人には☆(白星)を付ける。
黒星が10個溜まると処刑。処刑の記念に必ず魚拓(ネコ拓、犬拓、人拓)を取る。
スズキ・ミチオは、『魔太郎がくる!!』の魔太郎に性格が似ている。
(魔太郎も、手帳に○や×を付けてる)
魔太郎は、スズキ・ミチオに黒ベエの能力を足したようなキャラかな。
中上健次原作で柳町光男監督の『十九歳の地図』って映画で、
新聞配達の主人公が地図に×を付けて、
その家に嫌がらせをするって描写があるんですが、
原作は1974年発表らしいので、『黒ベエ』の方が早い。(何か元ネタがあるのかも?)
藤子不二雄A安孫子素雄)は、
スズキ・ミチオ (鈴木道雄)っていう名前のキャラが好きなのか、
自分(藤子不二雄A)を投影したキャラなのか、身近にモデルになった人物がいるのか、
他作品にもよく出てきます。
同じ『黒ベエ』の「梶一郎の災難」に鈴木ミチオ。
『フータくん』の「タヌキの宴会アラエッサッサーの巻」
夢魔子』の「城」
『不気味コレクション (ぶきみな5週間)』の「串のはいった鞭」
『ひっとらぁ伯父サン』の小池(鈴木じゃないけど)ミチオ。
『ブレーキふまずにアクセルふんじゃった』
――などなど。
まんが道』の満賀道雄とか、藤子不二雄Aは道雄って名前に思い入れがあるのか?

梶 一郎:
眼鏡をかけ口が尖った狐顔(スネ夫顔)。髪形はオールバックで前髪が白い。
黒ベエの靴を踏んだことにより災難に遭う。
『なにもしない課』の天野芳雄。
『恐喝(ユスリ)有限会社』の山下治郎。
『無名くん』の佐木キザオ。
――などなど、似たキャラがよく藤子不二雄A作品に登場する。

池上 ピー太 (ピータン):
女の子みたいな男の子。ピーター (池畑慎之介)がモデルか?

<話>
00. プロローグ
01. ワニ料理
02. スズキ・ミチオの秘密復讐計画
03. おこる卵
04. しごく者 しごかれる者
05. 梶一郎の災難
06. 機械マニア
07. 黒ベエ白ベエになる
08. 車(カー)こそわが命
09. ハゲベエと黒ベエの場合は
10. 石投げ
11. まわるよまわるパチンコ玉が

■雑記・感想:
「おこる卵」は、『コブラ』の古代火星人が作り出した最終兵器を思い起こす。

「しごく者 しごかれる者」は、
新入社員の研修で、兵隊訓練(自衛隊体験入隊みたいなこと)をさせられて、
人格破壊されるって話なんですが、
軍隊でのしごきで、柱に抱きついて蝉のマネをさせたり、
両脇に机があるとこで、一方の机に右手、他方の机に左手をついて、
空中で自転車こぎ(エアサイクリング)させる場面があるんですよ。
それが、山本薩夫監督の『真空地帯』(1952年)と、
福田晴一監督の『二等兵物語』(1955年)の映画にも同じようなしごき場面があって、
軍隊では定番のしごきなのか?
藤子不二雄Aが映画を観て取り入れたのかわかりませんが。
魔太郎がくる!!』の「ニセ教師はイジメの先生だった!!」
でも自転車こぎが出てくる。
社長の息子が逆恨みから、
「このうらみはらさずにはおくものか!!」
と魔太郎みたいなこと言ってます。

「車こそわが命」は、
『黒ィせえるすまん』の「イージー・ドライバー」と「夢のあと」に少し似ている。

「ワニ料理」のヒヒオや、「ハゲベエと黒ベエの場合は」の五郎助とか、
変な一家(一族)の叔父さんが一番ヤバい。
物語の途中から最強キャラが登場するのが、
『用心棒』の卯之助とかのパターン。

黒ベエは、喪黒福造が付き纏う人物に不幸をもたらすのと同じような感じなんですが、
喪黒福造と違うのは、(「おこる卵」「機械マニア」「車こそわが命」では)
黒ベエ自身も酷い目に遭うことがある。

「スズキ・ミチオの秘密復讐計画」
「しごく者 しごかれる者」「梶一郎の災難」「車こそわが命」
「まわるよまわるパチンコ玉が」とかが面白い。

次回に続く最後のコマや、印象的な場面で、
写真を模写したような劇画調の絵になるのが、
出崎統監督の止め絵演出みたいでカッコいい。


子供の頃の私は、漫画の題名(タイトル)を間違って読んでました。
藤子・F・不二雄の『モジャ公(モジャこう)』は『モジャハム』だと思い、
藤子不二雄Aの『まんが道(まんがみち)』は、
柔道、剣道、茶道、華道、などから『まんがどう』だと思ってました。
漢字にルビがふってなかったか、あっても見落としていたので。
でも、さすがに『黒ベエ(くろべえ)』を『こくべこう』とは読まなかったっす。

『黒ベエ』と同じく、藤子・F・不二雄の『モジャ公』も、
1969年から1970年の作品なんですが、
当時の時代背景のせいなのか、それまでの藤子作品と比べると、
(不安や絶望を感じさせる)ブラックで残酷な内容で子供向けとはいえないかな。
でも私は『黒ベエ』と『モジャ公』の二つとも大好き。
モジャ公』と同じく、『黒ベエ』も続きモノの中篇の話が多くて
短編では描ききれない、話に深さや重さがある。


■題名:
黒イせぇるすまん
黒ィせぇるすまん (笑ゥせぇるすまん

作者:藤子 不二雄 (藤子 不二雄A)

発表年:
1968年
1969年~1971年

製作国:日本

評価:B ★未確定

■雑記・感想:
<登場人物>
喪黒 福造:
いらぬお節介を焼き、相手を破滅させる謎のセールスマン。
全身黒ずくめで、黒ベエが大人になったような存在。

<話>
00. 黒イせぇるすまん (※読み切り)
01. ともだち屋
02. 切る
03. 化けた男
04. ザ・ガードマン
05. ナマケモノ
06. チ漢さん
07. 勇気は損気
08. イージー・ドライバー
09. たのもしい顔
10. プラットホームの女
11. 押入れ男
12. ゴルフ入門
13. 手切れ屋
14. 白昼夢
15. 空手道
16. 的中屋
17. 47階からの眺め
18. 夢のあと
19. アルバイト○秘情報

「切る」は、『不器用な理髪師』
「チ漢さん」は、『喝揚丸ユスリ商会』の「請求書の4 ひき逃げ代 99万9000円也」
に少し似ている。


立風漫画文庫の『黒ィせぇるすまん』を買って読んだ時、
藤子不二雄のブラックユーモアの小品だな。
――と私は思ったんですが、
一般人には知られないマイナーな作品で終わるはずだったのが、
笑ゥせぇるすまん』と改題してアニメ化されメジャーな作品に化けるとは……。


私が藤子不二雄の漫画を主に読んでいた時期は、
小学校高学年から高校一年くらいなんですが、
1980年代の週刊少年ジャンプの黄金期だったので、
私の周りの同級生は、中学生になるとほとんど藤子不二雄作品を読まず、
高校生で藤子不二雄などの漫画
手塚治虫石森章太郎水木しげる、などの当時としては古い漫画)
に興味があるのは私くらいでした。
その私も、だいたいの有名な作品を読んでしまったので、
昔の漫画から、今(当時)連載されている流行の漫画へと移行しちゃいました。
今でも藤子不二雄の漫画は好きですが、
感受性が豊かな小学生の頃に読むのがベストだと思う。

好きなもの目録 その???のおまけ 鬼輪番

小池一夫・原作の映画『鬼輪番』を観たんでメモ。
原作の劇画は読んだことないんすが、
御庭番を捩った隠密(忍者)モノの話かな……
それにしても小池一夫なんで設定がぶっ飛んでる。
監督は「クレージー映画」や『ルパン三世 念力珍作戦』の坪島孝なんすが、
笑いやおちゃらけは無く、いたって残虐で真面目なんすが
突き抜け過ぎていて逆に笑える状態。
『あずみ』や『KAPPEI カッペイ』なんかに影響を与えたかも?

「好きなもの目録」に本格的に取り上げるような凄い作品ではないんでおまけなんすが、
小池一夫・原作で取り上げた
「好きなもの目録 その125 御用牙 かみそり半蔵地獄責め」
「好きなもの目録 その246 ポルノ時代劇 忘八武士道 (のおまけ 忘八武士道 さ無頼)」
「好きなもの目録 その304 マッド★ブル34」
などのおまけにするには適当じゃない気がして……。
「好きなもの目録」で小池一夫を本格的に取り上げた時のおまけにしたいんで
ナンバリングは未定です。


標題:小池一夫原作のエログロ時代劇

分類:映画>邦画>時代劇

■題名:鬼輪番

監督:坪島 孝

原作:
小池 一雄 (小池 一夫)
やまさき 拓味

音楽:佐藤 勝

出演:
近藤 正臣
峰岸 龍之介 (峰岸 徹)
水谷 豊
高峰 圭二
荒牧 啓子
森山 周一郎
藤巻 潤
岸田 森
佐藤 慶
大木 正司
上野山 功一

発表年:1974年

製作国:日本

評価:C ★★○くらい

■内容・雑記:
話の本筋は、
紀州藩が密かに武器を溜め込み幕府に謀反を企んでいるんで、
隠密の鬼輪番紀州領内に潜入して武器弾薬庫を探り出し爆破する
ってだけのことなんすが、
映画の前半が鬼輪番とはどのようなものか、どのようにして育てられるのか、
ってのが描かれていて、それが凄まじい!

鬼輪番になる人間(男でも女でもなく鬼?)は、
子供の頃から鬼の面を被り誰にも顔を知られてはいけなくて、
親鬼による厳しい鬼作りの修行により死んだり
鬼の面が外れただけで殺されたりして生き残ったのは、
渦彦(近藤正臣)、小法師(荒牧啓子)、地虫(峰岸徹)、吹豆(水谷豊)、六地蔵高峰圭二)の五人だけだった。
忍の術は、攻術・防術・探術よりなり、
攻術・防術を会得した五人は最後の探術を会得することになるんすが、
鬼作りの親鬼の頭目森山周一郎)の説明による探術のチョウジュツ?ってのが
「男は男の性を極めることによって男を越え、
女は女の性を極めることによって女であることを捨てねばならん」
と少年少女が男や女に大人になるっていうか……ようは性体験っす!
木根次と貝女っていう天狗と女面の男女ペアが交わり手本を見せた後、
五人の中で紅一点の小法師が無理やり木根次に犯され、
それから、渦彦、地虫、吹豆、六地蔵の四人が
次々に小法師を輪姦して童貞喪失するっていう非道な修行。
なんで嫌気がさした小法師が逃げ出し、
抜け忍抹殺のため渦彦が追いかけ決闘するんすが、
渦彦の鬼の面が外れ小法師共々捕まり、
親鬼から二人を殺すように命じられた地虫、吹豆、六地蔵の三人も
面を外し親鬼に反逆する――。

五人とも鬼の面が外れ素顔になるんすが、
せっかく作り上げた五人を殺すと元の木阿弥になるせいか、
親鬼の頭目が五人の鬼の輪(絆)がどーのこーの言って許す展開に。
五人が鬼輪番になった餞に育ての親鬼達が次々に死んでいくんすが、
頭目の顔が見たいという五人に対して、
刀で顔を削いで切腹するという荒業で正体を明かさない頭目……
でも、声が森山周一郎なんで顔がわからなくても誰かわかると思う。

んで、鬼輪番になった五人は祝十兵衛(藤巻潤)の密命で紀州藩に潜入し
鬼輪狩りの横笛将監(佐藤慶)と対決するんすが、
鬼輪番を手引きする玄海岸田森)の裏の裏をかく作戦が悉く失敗して窮地に……。

小法師役の荒牧啓子はヌードになって体張ってるんすが、
面で顔が見えなかったり、体が貧弱(ペチャパイ)だったりで有難味がない。
六地蔵役の高峰圭二は小法師と交わることによりウルトラマンAに……なりません。
忍者の話なんで耐えるっていうかマゾっぽい陰鬱な物語かな、
鬼輪番で頑張っても報酬がどのくらいあるのかわからないし、
地位や名誉なんて(死んで墓も)無いし、
天下泰平のためっていうやりがい搾取のブラック企業が幕府の鬼輪番
横笛将監の話なんで本当かわかないけど、
幕府が紀州藩に武器の調達を命じていたのに、
それに乗じて紀州藩の勢力を削ごうと謀反の難癖を付けてるみたいな裏の裏。

1970年代前半の小池一夫・原作の映画、
映画『子連れ狼』シリーズ、『御用牙』シリーズ、『忘八武士道』二作、
などと同じエロでグロで血飛沫に腕が切られたりの残虐描写の『鬼輪番』なんすが、
東映っぽいなぁって思うんすが東宝
勝プロや『影狩り』二作の石原プロなんかと東宝がやると下品に。
さいとう・たかをと手を組み『影狩り』とコラボした
『影狩りVS鬼輪番』みたいなのが観たい……かな。

好きなもの目録 その159 山下洋輔の APRIL FOOL ―キャシアス・クレイの死ぬ日―

1972年4月1日に日本武道館で行なわれた
モハメド・アリ対マック・フォスター戦のドキュメントなどに、
山下洋輔トリオの演奏が入るコラージュ作品。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す」
カシアス・クレイからモハメド・アリへの改名――
奴隷から不屈の王への変貌がテーマのコンセプト・アルバムなのかな。


標題:山下洋輔のキャシアス・クレイ

分類:音楽>邦楽>ジャズ>フリージャズ

■題名:
APRIL FOOL ~キャシアス・クレイの死ぬ日
APRIL FOOL: COMING MUHAMMAD ALI

名前:
山下洋輔トリオ
YOSUKE YAMASHITA TRIO

メンバー:
山下 洋輔
YOSUKE YAMASHITA
森山 威男
TAKEO MORIYAMA
中村 誠一
SEIICHI NAKAMURA

発表年:1972年

製作国:日本

評価:S ★★★★★◎

■曲目:
01. “モハメド・アリ”コール
___"MUHAMMAD ALI" CALL
02. クレイ
___CLAY
03. モハメド・アリ VS マック・フォスター戦 発表記者会見NYベニハナ
___PRESS CONFERENCE AT BENIHANA, NEW YORK, TO ANNOUNCE THE MUHAMMAD ALI AND MAC FOSTER FIGHT
04. サンド・バッグ
___SAND BAG
05. モハメド・アリ自宅でのインタビュー
___MUHAMMAD ALI INTERVIEWED IN HIS HOME
06. ケイコタン
___KEIKOTAN
07. 来日記者会見
___AT A PRESS CONFERENCE JUST AFTER ARRIVING IN JAPAN
08. ラフィング
___LAUGHING
09. アリへロッキー青木の質問
___MUHAMMAD ALI ANSWERING QUESTIONS ASKED BY ROCKY AOKI
10. クレイ
___CLAY
11. フォスター戦計量記者会見
___AT THE WEIGH-IN PRESS CONFERENCE
12. クレイ
___CLAY
13. “キャシアス・マーセラス・クレイ II”奴隷ネームを葬る10カウント。
___10 COUNTS TO BURY HIS SLAVE NEME, CASSIUS MARCELLUS CLAY, JR.

■雑記:
「“モハメド・アリ”コール」で、
アメリカ?でのリングアナウンサーの選手紹介と
アメリカ国歌「星条旗」のソウルフルな歌唱で始まる。
「来日記者会見」で、
ジョー・フレージャーやマック・フォスターは、
ボクサーとして醜いから倒したい」
モハメド・アリが煽るんすが、
記者や取り巻き連中のわざとらしい愛想笑いが酷い。


■題名:
クレイ
CLAY

名前:
山下洋輔トリオ
YAMASHITA TRIO

メンバー:
山下 洋輔
YOSUKE YAMASHITA
森山 威男
TAKEO MORIYAMA
坂田 明
AKIRA SAKATA

発表年:1974年

製作国:ドイツ (日本)

評価:S ★★★★★○

■曲目:
01. ミナのセカンド・テーマ (ミナス・セコンド・テーマ)
___MINA'S SECOND THEME
02. ミナのセカンド・テーマ(続) (ミナス・セコンド・テーマ(コンティニュー))
___MINA'S SECOND THEME (CONT.)
03. クレイ
___CLAY (DEDICATED TO MUHAMMAD ALI)

■雑記:
1974年6月2日、ドイツのメールスでのライブ。
01. ミナのセカンド・テーマ
02. クレイ (モハメド・アリに捧ぐ)
――の曲順の音盤もある。

「ミナのセカンド・テーマ」は、
なんか普通に始まったかな……と思っていると
徐々に凄まじい演奏になり圧倒される。
「クレイ」もあまりに強烈なんすが、
慣れるといつもの山下洋輔だな……と普通に感じるのは私だけ?