サイグレアニマン

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好きなもの目録 その379 新幹線大爆破と動脈列島

佐藤純彌監督の『新幹線大爆破』のリメイクだと思って、
デヴィッド・リーチ監督の『ブレット・トレイン』を観たんすが、
五十年弱で新幹線の外観はもとより車内の様子や路線が凄く変わったんだな……
と思うわけないっす、リメイクじゃないのは知ってるっすよ流石に。
日本ロケじゃないし。

2021年の春に、台湾で特急列車の脱線事故があったじゃないですか。
特急列車が線路わきの切り立った崖から転落したトラックと衝突したみたいなんすが、
それで増村保造監督の『動脈列島』を連想したんで……。
それと新幹線繋がりってことで同年公開の、
佐藤純彌監督の『新幹線大爆破』を目録に。


標題:佐藤純彌新幹線大爆破増村保造動脈列島

分類:映画>邦画>パニック映画

■題名:
新幹線大爆破
THE BULLET TRAIN (SUPER EXPRESS 109)

監督:佐藤 純彌

音楽:青山 八郎

出演:
高倉 健
山本 圭
織田 あきら
郷 鍈治
宇津宮 雅代
風見 章子
田中 邦衛
宇津井 健
志村 喬
永井 智雄
千葉 真一
小林 稔侍
千葉 治郎 (矢吹 二朗)
竜 雷太
渡辺 文雄
福田 豊土
山本 清
中田 博久
滝沢 双
志穂美 悦子
藤田 弓子
田坂 都
植田 峻 (うえだ 峻)
十勝 花子
岩城 滉一
伊達 三郎 (伊達 岳志)
丹波 哲郎
北大路 欣也
川地 民夫
山内 明
鈴木 瑞穂
田中 浩
久富 惟晴
青木 義朗
浜田 晃
林 ゆたか
田島 義文
片山 由美子
横山 あきお
相川 圭子
多岐川 裕美

発表年:1975年

製作国:日本

評価:A ★★★★★

■内容・雑記:
不況で倒産した工場の社長・沖田哲男(高倉健)と
沖縄から東京に出てきて沖田に拾われた工員の大城浩(織田あきら)と
過激派の夢破れた古賀勝(山本圭)は、
新幹線に時速80キロ以下に減速すると爆発する爆弾を仕掛け
国鉄や政府を脅し500万ドルを要求する!

警察は複数犯だってわかっているのに、
金の受け渡しで大城を捕まえようとして事故死させるし、
古賀も銃撃されて最後は自爆するし、
新幹線や乗客の安全よりも犯人逮捕を優先している。
結局、金を沖田に取られ爆弾の解除方法の書類を貰えたと思ったら、
書類の預けてある喫茶店が火事って、
運転士の青木(千葉真一)が「そんなバカな!」って言いたくなる気持ちがわかる。
爆弾を仕掛けたひかり109号博多行きには、
ダイナマイトとパスポート入手のために保険証を用意させた
犯罪者の藤尾信次(郷鍈治)が護送のため偶然乗り合わせていたんで、
海外逃亡を図った沖田も身分がすぐバレ、
警察に追い詰められ銃殺される……。

倉持運転指令長(宇津井健)が、
広い指令室の遠くのパネルを見るのに双眼鏡を使うのがなんか面白い。
結局事件が解決しても責任を感じて辞めたのは倉持だけで、
失敗続きの警察は犯人を始末出来れば、終わりよければ全てよしって感じ。

国鉄の協力が得られず新幹線ひかり109号などが特撮なんすが、
同じ東映の『トラック野郎』の特撮場面を思い浮かべたんすが、
成田亨が関わっているみたい。

数々の失敗があるんすが、喫茶店の火事の次くらいに、
鉄道公安官の菊池(竜雷太)がタラップ下のコードを取ろうとして落とすのが酷い。
そのため酸素溶接機が必要になり、
兄の千葉真一の運転するひかり109号に酸素ボンベとバーナーを搬入するため、
弟の矢吹二朗が運転する救援車が併走するのがなんか良い。
宍戸錠の弟でちあきなおみの夫の郷鍈治と、
千葉真一の弟の矢吹二朗が有名な兄の弟ってことで
私はたまにごっちゃになる。

 

分類:映画>邦画>サスペンス

■題名:動脈列島

監督・脚本:増村 保造

原作:清水 一行

脚本:白坂 依志夫

撮影:原 一民

音楽:林 光

出演:
田宮 二郎
小沢 栄太郎
小池 朝雄
井川 比佐志
近藤 洋介
勝部 演之
渥美 国泰
灰地 順
守田 比呂也
山村 聡
平田 昭彦
加藤 和夫
稲葉 義男
山本 清
渡辺 文雄
近藤 正臣
関根 恵子 (高橋 惠子)
芽衣
田中 筆子
佐原 健二
中条 静夫
中島 久之
久米 明
文野 朋子
橋本 功
加藤 嘉
神山 繁
成瀬 昌彦
鈴木 瑞穂
高橋 昌也
峰岸 徹
芹 明香

発表年:1975年

製作国:日本

評価:B ★★★◎

■内容・雑記:
研修医の秋山宏(近藤正臣)は、担当する老婆・野上ヤス(田中筆子)が退院後、
新幹線の騒音と振動による公害で絶命するのを目の当たりにし、
新幹線公害を改善させるため新幹線大破壊を計画する。
同じ病院に勤務する薬剤師の恋人・君原知子(関根恵子)に
ニトログリセリンを盗ませ爆薬を確保し、
自分はヨーロッパ旅行に行っている偽装をし東京に潜伏。
新幹線のトイレに爆発物を仕掛け手紙で新幹線公害の改善要求を伝え、
要求が受け入れられなければ10日後に新幹線を破壊すると脅迫。
国松警察庁長官小沢栄太郎)は、海外で犯罪心理学を学んだ
警察庁犯罪科学研究所所長の滝川保(田宮二郎)を捜査本部長に任命し、
10日以内に犯人を逮捕することを厳命する。

なんか、人目につかないトイレの便器の中に爆発物を仕掛ける、
サラダ油をレールに塗る、銅線や空き缶三個や濡れ雑巾をレールなどに置く、
スピード0の停車信号電波を発信する、ブルドーザーを線路内に落とす、
などなど新幹線運行妨害テクニックのオンパレードなんすが
今は対処して安全なのかな?

秋山宏と君原知子や落合芙美子(梶芽衣子)の男女の絡みの場面(会話)は、
いつもの増村保造節だな。


新幹線大爆破』『動脈列島』の両作品とも、
新幹線を爆破や破壊すると脅迫し要求を呑ませようとするのは共通するけど、
新幹線大爆破』は、自分達を拒絶した社会への復讐や
自分達が金持ちになり出直すための私利私欲で、
動脈列島』は、独り善がりだけど被害者達のための行動で
社会に対する義憤なんで本質が違う。
両作品ともに、新幹線に爆弾を仕掛けたといういたずら電話がしょっちゅうある
っていう描写があり当時はよくあることだったみたいなんで、
脅迫が嘘じゃないことを証明するため、
新幹線大爆破』では、北海道で蒸気機関車を爆破!
動脈列島』では、トイレに模擬爆弾を仕掛けたり油で脱線させたりして
本当に新幹線を破壊出来ることを証明してから脅迫してる。
新幹線大爆破』の沖田は警察に包囲され逃亡するところを銃撃されるが、
(沖田は武器を所持してないし、大勢に追われて逃げようがないから
普通に逮捕すればいいのに、警察は自分達の数々の失敗を隠蔽するために
沖田の口を封じて死人に口無し)
動脈列島』の秋山は警察に包囲され計画失敗から失意の投降
(すぐに逮捕しないで、恋人の知子が秋山に抱きつくのまで見守る)
と最後が対照的。
沖田や秋山は、プロ野球のナイター中継の延長や、ローリング・ストーンズの来日、
日立ビーバールームエアコンを買うために5億円を要求すればよかったのに……。うそ
なんか『新幹線大爆破』の古賀勝(山本圭)と
動脈列島』の秋山宏(近藤正臣)の役の印象が似ていて、
新幹線大爆破』に出ていた山本圭が同じ様な役で
動脈列島』にも出ていると私は勘違いしたっす。
増村保造監督は『黒の超特急』でも新幹線関連の作品を撮っていて
動脈列島』は新幹線による公害や運行の脆弱性を問題にした社会派の作品で物語重視、
新幹線大爆破』は物語は大味っすが、
邦画の中では群を抜いたスペクタクルな作品でエンターテインメント重視かな。

 

前に『鈴木敏夫ジブリ汗まみれ』をチョロっと聴き流していたら、
コクリコ坂から』関連の話から、
日本は戦後、1964年東京オリンピックからおかしくなった――
とか言っていて、新幹線の開業が1964年10月1日みたいで、
当時は騒音や振動などの公害対策をあまり考慮しないで
オリンピックに間に合わせるのを優先したのかな。