サイグレアニマン

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好きなもの目録 その98 藤子不二雄の魔太郎がくる!!とブラック商会変奇郎

藤子不二雄(A)の『魔太郎がくる!!』と『ブラック商会変奇郎』
を前に読み直した時のメモ。

私が40年くらい前に買った秋田書店のチャンピオンコミックス版を読んだので、
魔太郎がくる!!』は、
「魔太郎ひとり旅 その3 船の旅」
「下宿人」
「食べ物がなくなる!?」
赤ヘルジャイアンツ帽」
「魔太郎の生い立ち」
などの話は載ってません。
最初のチャンピオンコミックス版以降の単行本は、
復讐方法の残虐性を修正したり、削除した話が数話あったりするみたいです。
ウィキペディアとかが詳しいので、そっちを見てください。


標題:藤子不二雄の魔太郎と変奇郎がくる!!

分類:漫画>少年漫画>怪奇漫画

■題名:魔太郎がくる!!

作者:藤子 不二雄 (藤子 不二雄A)

発表年:1972年~1975年

製作国:日本

評価:A ★★★★○

■内容・雑記:
<登場人物>
浦見 魔太郎:
生粋のいじめられっ子。13歳の中学一年生(中学二年生)。
虐めたくなるような容姿や態度をしているが、それは罠で、
虐められた相手を半殺し以上の目にあわせるうらみ念法の使い手。
黒マントに薔薇柄のシャツといういでたちになると、なぜか強くなる。
「コ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ」が決め台詞。
オカルトや怪奇映画に詳しい。

南 由紀子:
魔太郎が思いを寄せるクラスメイトの女の子。
魔太郎が虐められるのを庇ったりする正義感がある。
初めは「ウジウジしていて気味が悪い」と魔太郎のことを思っていたが、
魔太郎の男性器を見てから意識するようになる……うそ。

阿部 切人:
魔太郎の家の向かいに引っ越してきた幼児。
天使の様な容姿をしているが心は悪魔のように残忍。
ミッ○ーマ○スっぽい耳付き赤ちゃん帽子をかぶっている。
団地の6階からアイキャンフライ。

切人のパパ:
年齢が若く見え美男子だが、切人と同じく心は悪魔のように残忍。

南 由津子:
由紀子の妹。切人の思い人。
髪型とか容姿が天地真理を子供にした感じ。
「悪霊対魔太郎連合軍」では、『エクソシスト』みたいに悪霊に取り憑かれる。

「MONSTER SHOP 怪奇や」のおじさん:
手製のモンスターのマスクや怪奇グッズを売る店の謎の店主。
いつもマスク(『オペラ座の怪人』のロン・チェイニー扮するファントム)を被っている。
オカルトの知識が豊富。

無田博士:
変わったものの発明家。
怪奇やに発明品を卸している。

浦見 青三郎(清三郎):
世界中を巡り珍しいお土産を魔太郎にくれる叔父さん。

小池(風田)先生:
魔太郎のクラスの担任教師。
ラーメン大好き小池さん(鈴木伸一)系のキャラ。
魔太郎が虐められているのを気づいていないのか無関心。
「ウラメーション!!」で、
『星のピーマン』(パーマン)を作っているアニメーターの小池さんが登場。

猿彦 タツオ:
魔太郎の秘密手帳に興味を持ち、何が書いてあるか読みたい好奇心が身を滅ぼす。

純野さん:
ルネ・マグリット風の絵を描く貧乏絵描き。
純野さんと酋長くんの関係が、
ティム・バートンの『ビッグ・アイズ』や
新垣さんと佐村河内氏の関係みたい。

木野 弱志:
少年コミック(ス)で『ウラミくん』という漫画を描く漫画家(の卵)。

十狩医院のフランケン:
十狩冬彦(十狩医院)の家の下男。
容姿がピエール瀧に似ている。

人仁 盡:
「よい子の会」会長。
「一日一善」がモットーの無抵抗主義者だが、
実は「一悪一滅」の怒り仮面が本性。
魔太郎の「一日一怨」により正体がばれる。

矢見親子:
六道順逆の修羅の道をあゆむもの。
娘の名前は大子。
子連れ狼』のパロディ?


魔太郎は、そのプロトタイプといえる『黒ベエ』のスズキ・ミチオのように、
最初は手帳に○×を付けて、虐められた内容などをメモしていたが、
猿彦に手帳を読まれたせいか、その後数回手帳にメモするくらいで
手帳を使わなくなる。
(手帳に恨み言をメモする前に、恨みを晴らす実行に移っている)
魔太郎は自分がやられた虐めや嫌がらせに対する恨みの晴らしかたが極端。
両親や由紀子が関係すると、そこまでしなくても(殺さなくても)……
ってくらい酷い復讐をするわりには、
切人に対しては悪夢を見せるだけとか緩い。
それほど酷い事されてないと思うのに、
歌手を歌えなくしたり、漫画家の右腕を使えなくしたり、
その人の一生を台無しにする。
魔太郎は友愛学園に転校してくる前も虐められていたみたいなので、
父親の転勤に伴う転校ってのより、前の学校でも
魔太郎の周りで不審な事故や殺人事件が多発し、
その容疑が魔太郎に向いて居づらかったからじゃないのかと邪推。
由紀子も自分のいとこが何人も事件事故に遭ったり、
クラスメイトが何人も行方不明や事件事故に遭っているのを
(魔太郎を虐めた人に起きている)不思議に思わないのか?
案外、由紀子は魔太郎の不気味さに気づいていて、
自分に危害を加えないように逆に親切にしているのかも。うそ

ドラキュラ、狼男、フランケンシュタイン
『ハエ男の恐怖』『蛇女の脅怖』『大アマゾンの半魚人』『ジキル博士とハイド氏
ヒッチコックの『鳥』などや、
「魔物がついた!!」「悪霊対魔太郎連合軍」は、『エクソシスト』、
(「魔物がついた!!」は『オーメン』かも)
「魔太郎ひとり旅 その2 ハク製の家」「ペンフレンド」は『サイコ』、
「人食いザメ」は『ジョーズ』などなどオカルト映画や
ブルース・リーなどのアクション映画の影響がみられる。

「8ミリのうらみは8ミリでかえす!!」は、
由紀子のいとこの険一朗っていう
顔が手塚治虫にちょっと似ている意地が悪い8ミリ好きが登場するんですが、
手塚眞をモデルにしているのかも?

「黒い雪とともに」は、ヘドラみたいな公害から生まれた冷凍モンスターの話で、
いきなりSFっぽくなっている。
凍りついた(人間樹氷の)魔太郎のパパを、
魔太郎が助けようと押し倒すんですが、ガッチャーンとひび割れてんすが……パパ死ぬよ。

「食いもののウラミはこわいよ!」
「夏の終わり」
「子連れいやがらせ」
「下宿人」
「不気味な侵略者」のヤドカリ一家
(『オバケのQ太郎』の「まとめてめんどうみてよ!!」に話が似てる)
とかの勝手に押しかける図々しい人間がリアルで怖い。
つげ義春の『李さん一家』とか)
人の良さ(気の弱い人間)につけこむのが、
尼崎連続変死事件を思い浮かべる。

切人や無田博士なんかのキャラは、
『フータくん』の大人びた赤ちゃんや変な博士のキャラを踏襲しているみたい。


■題名:ブラック商会変奇郎 (シャドウ商会変奇郎)

作者:藤子 不二雄 (藤子 不二雄A)

発表年:1976年~1977年

製作国:日本

評価:A ★★★★△

■内容・雑記:
<登場人物>
変奇郎:
骨董店「変奇堂」の主人・変奇左エ門の孫。
魔太郎と違い、強かな拝金主義者。
仮面にマント、そして奇妙な人形のペンダントをして
「ドーン!!」と指差すことで魔力を発揮する。

変奇左エ門:
骨董店「変奇堂」の主人。
「変奇堂」は「MONSTER SHOP 怪奇や」の骨董店版みたいな感じで、
他の骨董店では売買しないような奇妙な品物を扱っている。
変奇左エ門はパチンコが趣味で、よく店番を変奇郎に任せる。

満賀 道夫(道雄):
漫画家を目指す変奇郎の友人。
手塚治虫の初期漫画単行本をコレクションしている。
良い人だが、私立探偵に変奇郎の噂を吹き込まれてよそよそしくなったこともある。


「ひき逃げ」は、
『喝揚丸ユスリ商会』の「請求書の4 ひき逃げ代 99万9000円也」
と物語の構造がほぼ同じ。
『ブラック商会変奇郎』は、
人の弱みにつけこみ大金を強請るのが『恐喝有限会社』『喝揚丸ユスリ商会』に、
自分や知人がやられた損害に復讐するのが『魔太郎がくる!!』と同じ。

「万引き」は、
万引きの常習者の伊達専務が窃盗病の説明をするところで
魔太郎がくる!!』の3巻(実際の単行本とは表紙の絵が違う)
を万引きするイメージが出てくる。
利き耳人形は、そばにいた人の会話を憶えることができる不思議な人形なんですが、
それって録音装置が人形の中に入っているだけでは?

「呪いの像」は、
アフリカの奇妙な彫刻マコンデってのが出てくるんですが、
変奇郎がマコンデの像を被った姿が、
デビルマン』の、被るとデーモン族の歴史が体験できる悪魔の像みたいな感じ。

「恐怖のハエ男」は、
ジョルジュ・ランジュランの小説『蝿』というより、
フランツ・カフカの『変身』っぽいオチ。

「ワナ」は、
満賀道夫が『怪物くん』みたいなおばけ屋敷で怪我をする。

「フクロウの森事件」は、
漫画家の恐山怪児が満賀道夫の漫画を盗作する話なんですが、
楳図かずおが少年の頃、
手塚治虫に原稿を見てもらおうと送ったがなしのつぶてで、
後に手塚治虫が、
自分(楳図かずお)の描いた漫画みたいな作品を出したのを読んでショックを受けた
――みたいな話(私が相当昔に、どこかで聞いたか読んだかした話なので眉唾です)
を思い起こすんですよ。

「鳥」は、
『黒ベエ』の「ハゲベエと黒ベエの場合は」みたいな鳥マニアが登場。

『ブラック商会変奇郎』って、なんか商標だかなんかで問題あったらしく
一時期、『シャドウ商会変奇郎』ってタイトルになってたことも。
①巻の表紙、変奇郎が自分の頭の上に、
直接蝋燭を置き火を燃やしているんですけど熱くないのか?
なんか念法的な意味合いがあるのか?
それともアーサー・ブラウンに憧れているとか。うそ
私はよく、未解決事件や事故なんかのニュースを見たり聞いたりすると、
その事件現場の残留思念を写すビデオカメラとかあって、
その事件当時の映像が映るとかすれば、冤罪や未解決事件も解決するのになぁ。
とか想像することがあるんですよ。
この考えって、変奇郎の残像写真機がもとだったのかと。
すっかり忘れていたんですが、子供の頃に刷り込まれたモノが、
いつのまにか自分自身で考え出したモノと思い込んでしまっているんだなぁ。
物体はある場所から過ぎ去った後に残像を残す。
その残像を写すのがの残像写真機! なんで、
『ピンク商会変態奇郎』ってタイトルの漫画なら、
きっと変奇郎は、誰もいない女子更衣室や女子トイレや女湯に行って
念写するんだろうなぁ。うそ

『ブラック商会変奇郎』は、
前半の『恐喝有限会社』『喝揚丸ユスリ商会』みたいな恐喝話より、
後半の満賀道夫が絡む話の方が面白いかな。

魔太郎がくる!!』と『ブラック商会変奇郎』など、
学校や知人宅に珍しいモノを見せびらかそうと持っていき
帰り道で脅し盗られたり、
珍しいモノを店で見かけ、店主にお金を持ってくるからと取り置きを頼むが、
横から意地悪な人間が出てきて奪い取られるパターンが多い。
特に魔太郎は家でじっとしていれば誰も傷つかないで済むのに。
(それでは話にならないけど)


分類:漫画>ブラックユーモア

■題名:
恐喝有限会社
喝揚丸ユスリ商会

作者:藤子 不二雄 (藤子 不二雄A)

発表年:
1971年
1973年

製作国:日本

評価:B ★未確定

■内容・雑記:
『ブラック商会変奇郎』のプロトタイプ。

 

メラメラメラ~~!!
うらみはらさでおくべきか!!

ドーン!!