クリスマスまで、あとちょっとなんで……。
山岸凉子の文学や詩をモチーフにした漫画を――。
標題:山岸凉子の文学世界
分類:漫画>少女漫画
■題名:クリスマス
作者:山岸 凉子
発表年:1975年?
製作国:日本
評価:S ★★★★★☆
■内容・雑記:
トルーマン・カポーティの『クリスマスの思い出』が、原作か原案みたいっす。
『月刊プリンセス』1976年1月号の掲載なんで、
1975年末には雑誌が発売されていたのかな?
親類縁者の家をたらい回しにされる少年ジョルジュと
内気な心優しいオールドミス(行かず後家)のミス・スックとの心の触れ合い、
クリスマスの思い出が語られる話。
この短編を読む度に涙が止まらないんすよ。
フォーク家でのミス・スックの立ち位置が低くて、
そんな環境にも満足して神に感謝して生きるミス・スックは、
まさに女神であり妖精。
■題名:パニュキス
作者:山岸 凉子
発表年:1976年?
製作国:日本
評価:S ★未確定
■内容・雑記:
フランスの詩人アンドレ・シェニエの詩から着想した物語?
恋人のように仲がいいハリーとネリーの兄妹だが、
成長にしたがいハリーはネリーから離れていく。
自分からハリーを奪ったチャールズ(と、その妹クレア)を憎むネリー。
ハリーが戦死し、その妻のクレアも亡くなり、
息子のジュニアを引き取ることにしたネリーは、チャールズと再会する。
ハリーの愛読書は、マルキ・ド・サドの『悪徳の栄え』。うそ
ネリーは純粋な黄金の人なんで、
ちょっとだけミス・スックを勝気にした感じかも。
チャールズは戦争で右腕を失いピアノを諦めたんですが、
パウル・ウィトゲンシュタインみたいに、
左手のためのピアノ曲を弾けばいいのに……。うそ
「クリスマス」の最後のページが、
大人になったジョルジュの背景に
窓の外でジョルジュとミス・スックの思い出の凧あげが描かれ、
「パニュキス」の最後のコマが、
大人になったネリーとチャールズの背景に
窓の外でジュニアが楽しそうに駆けている場面が描かれてるのが、
ちょっと似た表現(演出)かな。
「赤い髪の少年」は、
ジュール・ルナールの『にんじん』が原作みたいっす。
山岸凉子の後の作品「コスモス」に通じる、不仲な夫婦間の犠牲になる子供の話。
母親の暗示や脅迫により、子供自身がやりたくない行動(発作)を起こす。