サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その393 市川雷蔵の第三の影武者

前にブログを更新しようとしたら書き込めなくて、
仕方がないのでほっといたら、
いつの間にかまた書き込めるようになってたんで更新。

某国の総書記が人前に現われた最新の映像とかが流されると、
耳の形が違う、激ヤセしてる、部下に頭を下げて挨拶してる、
云々から、影武者じゃないかって言われたり、
陰謀論なんかで、大統領や有名人がレプティリアンやクローンやロボットに
入れ替わっているとか言われるじゃないっすか。
まぁ、普通の人には確かめようがないんで藪の中っすが、
もし影武者がいるとして、どのようにして影武者になったのか?
また、その行く末は? ――ってのが描かれている面白い映画があるっす。
それが南条範夫原作の
井上梅次監督で市川雷蔵主演の『第三の影武者』!

南条範夫原作の映画は
『からみ合い - 小林 正樹』
『武士道残酷物語 - 今井 正』
『悪の階段 - 鈴木 英夫』
など、
人間のエゴや醜い部分が露になった救いようのない終わりを迎える残酷な話なんすが面白いです。
漫画では『シグルイ - 山口 貴由』の原作で知られているかな。


標題:井上梅次市川雷蔵の第三の影武者

分類:映画>邦画>時代劇

■題名:第三の影武者

監督:井上 梅次

原作:南条 範夫

脚本:星川 清司

撮影:本多 省三

音楽:鏑木 創

出演:
市川 雷蔵
万里 昌代
金子 信雄
石黒 達也
角 梨枝子
尾上 栄五郎
小林 勝彦
浜田 雄史
伊達 三郎
浅野 進治郎
島田 竜三
荒木 忍
天知 茂
高千穂 ひづる

発表年:1963年

製作国:日本

評価:B ★未確定

■内容・雑記:
農民同然の郷士の次男・二宮杏之助(市川雷蔵)は
武士になって出世することを夢見ていた。
三谷城城主・池本安高(市川雷蔵の二役)
に仕える篠村左兵太(金子信雄)によって
杏之助は武士として召抱えられたが……。

『黒蜥蜴 (1962年版)』みたいに、
緑川夫人の黒蜥蜴が狙う岩瀬早苗の替え玉として桜山葉子を用意したように、
杏之助は池本安高にソックリなんで影武者にするため召抱えたんすが、
桃太郎侍 - 三隅 研次』みたいな生き別れの双子とかじゃないっす。
んで、杏之助の他にも影武者が既にいて、
影の一番が桑野源太(小林勝彦)で戦場専門、
影の二番が石原庄作(浜田雄史)で城内専門で元猿楽師、
そして城主と瓜二つの二宮杏之助が影の三番。
影武者のことを知っているのは城主の安高以外は、
杏之助を見出した篠村左兵太、家老の樫尾久左衛門(石黒達也)、
浦路(角梨枝子)の三人だけの極秘事項。
(あと医者の道阿弥(尾上栄五郎)も知ってると思うけど)
影武者達は安高の癖を真似て、負傷した脚のため軽く引き摺る歩き方もマスター。
杏之助はテストとして殿の寵愛が醒めた妾の小萩(万里昌代)と寝所を共にする。
殿が厭きて通わなくなったんで、ブスかなって思ったらけっこう美人。
杏之助は女性経験が無いみたいなんで小萩にメロメロ。
んで、杏之助が完全に影武者になりきった頃、
合戦で安高が左目を負傷するんすよ。
影武者としては似せるために左目を潰さなきゃいけなくなり、
影の二番の石原は臆病なんで逃げ出すんすが篠村に捕まり
残りの影二人への見せしめに殺される。
そんな窮地の中、池本安高と同盟を結んでいた広瀬宗城(島田竜三)が裏切り三谷城を襲う。
瀕死の安高を連れ逃げる杏之助だったが、
負傷した安高の腕を切ったことから、このまま自分が影武者でいたら
自分も腕を切るはめになる……ってことで安高を見捨て殺す。
篠村と合流した杏之助は安高に成り済まし
許婚の照姫(高千穂ひづる)がいる桜洞城に向かい
三木自綱(荒木忍)と甥の三木定光(天知茂)の力を借り三谷城の奪還を狙うが……。

三谷城を奪還する混乱の中で、杏之助を影武者に育て上げた篠村を亡き者にし、
愛する小萩以外に秘密を知る者がいなくなって
飛騨一の美女・照姫との婚礼も済み寝所に入って万々歳かと思ったら、
江戸川乱歩の美女シリーズ』の明智小五郎が登場して驚愕の展開に……。うそ

仕事(夢)と女(愛)のどちらか一つを選ばなきゃいけない映画なんすが、
『黒の試走車』みたいに女を選べば良かったんすが、
仕事を選んだおかげでバッドエンドっす。

影武者の映画っていうと、
黒澤明の『影武者』が有名っすが、
『第三の影武者』は映像美では負けてますが、ストーリーは勝ってるかな。
私が初めてくらいに影武者を題材にした作品に触れたのが
手塚治虫の「最上殿始末」だったんで、
杏之助の化けた安高に三木定光が謀殺されて、
その怨みから照姫が杏之助に梅毒をうつして鼻がもげる最後かと思ったっす。うそ


関係ないっすが、当時(1960年代)、
『第三の……』ってタイトルが流行ったのか知らないけど、
『第三の忍者 - 河野 寿一』っていう東映の忍者映画があるんすが、
何か似ていてごっちゃになるっす。
『第三の影武者』ほどではないけど、
『第三の忍者』もまぁまぁ面白いかな。
武田信玄月形龍之介)が配下の忍者の頭領・知道軒を使って、
織田信長平幹二朗)の寝首を掻こうとするんすが、
伊賀を抜けた吐根里見浩太朗)と
伊賀から信長に雇われている喜平次(佐藤慶)の忍者二人が
知道軒をどちらが先に討つか競争になり、
そこに、知道軒に恨みがあり仲間に入れてくれと
第三の忍者・四貫目(南原宏治)が加わるって話。
知道軒は正体不明で、
伊賀の上忍・祝部源太夫山形勲)の弟の三左衛門だとか、
甲斐の乱波の頭領・富田郷左衛門(安部徹)だとか、
誰なのかわからないんすが、
タイトルがネタバレっていうか、第三の忍者の四貫目が知道軒っす。
信長に近づくために仲間に入ったっす。
忍者のアクションやギミックがちょっと凝っていて、
知道軒は信玄の厠の下にいるんすが、
巨大な水洗トイレみたいになってるっす。
上忍の下忍に対する扱いが酷いんすが、
それで源太夫は森の与平に復讐されるっす。

『第三の忍者』の音楽は『第三の影武者』と同じ鏑木創なんすが、
鏑木創は『第三の悪名 - 田中 徳三』もやってる。

好きなもの目録 その262 岡本喜八のああ爆弾

岡本喜八監督は、
庵野秀明監督が(『シン・ゴジラ』に写真出演させるくらい)
リスペクトしていることもあり再評価されているとは思うんすが、
私は20作品以上観てるんすが、
『殺人狂時代』『日本のいちばん長い日』『肉弾』などが好きかな。
座頭市と用心棒』は、座頭市と用心棒という人気キャラ同士の対決なんすが、
キャラ付けが中途半端で、勝新太郎がなんか座頭市らしくなく、
三船敏郎がなんか用心棒らしくないという残念な映画。
(『座頭市』シリーズの他の作品と比べると
座頭市の性格が微妙に違うように感じるし、
座頭市と用心棒の両方を立てようとして失敗してるような……。
興行的にはヒットしたようですが、『座頭市』シリーズの中では凡作かな)
んで、『ああ爆弾』が風変わりなミュージカル喜劇? なんで目録に。

ああ爆弾』の主役・大名大作役の伊藤雄之助を意識する(知る)ようになったのは、
長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』のバスジャック犯が凄い強烈だったからなんすが、
その前に、黒澤明監督の『椿三十郎』で観てたはずなんすが
普通の役だったので憶えてなくて、
川島雄三監督の『しとやかな獣』や、木下惠介監督の『楢山節考』なども観て
癖のある凄い存在感の名優だな。と印象に残ったので――。


標題:岡本喜八氏のああ優雅な映画

分類:映画>邦画>コメディ

■題名:ああ爆弾

監督・脚本:岡本 喜八

音楽:佐藤 勝

出演:
伊藤 雄之助
砂塚 秀夫
中谷 一郎
越路 吹雪
沢村 いき雄
二瓶 正也
天本 英世
重山 規子
北 あけみ
有島 一郎
桜井 浩子

発表年:1964年

製作国:日本

評価:A ★★★★△

■内容・雑記:
刑務所を出所した大名組組長・大名大作(伊藤雄之助)を出迎えたのは息子の健作ただ一人だった。
自分の出所を喜んで迎えるであろう二号(愛人)のミナコ(重山規子)のアパートを訪ねるが、
ミナコの姿は無く、見知らぬ男女が部屋を占拠していた。
組事務所へ向かうが、大名組はミナコのアパートにいた男・矢東彌三郎(中谷一郎)に乗っ取られ、
矢東が出馬する市議会議員選挙の準備で大忙しで、誰も元組長の大名を相手にしない。
自宅に向かうが、そこも矢東のモノになっていて、
裏切り者のミナコを見つけるが、子分のテツ(天本英世)が親分への手土産にとミナコを殺す。
しかし、それは偽装でテツとミナコはできていて大名を騙し二人で逃げる算段。
仕方なく本妻の梅子(越路吹雪)のもとに向かうが、
あばら家住まいで宗教に嵌りお題目を唱えている変わりよう。
刑務所で同室だった縁で子分の盃を受けたいと付いてきた
爆弾作りの名人・田ノ上太郎(砂塚秀夫)に万年筆爆弾を作らせ、
矢東に一泡吹かせようとする大名だったが……。

監獄での狂言から始まり、かなり変なミュージカル映画
伊藤雄之助の後継者は嶋田久作だと思う。


■題名:江分利満氏の優雅な生活

監督:岡本 喜八

音楽:佐藤 勝

出演:
小林 桂樹
新珠 三千代
東野 英治郎
英 百合子
平田 昭彦
江原 達怡
田村 奈巳
横山 道代
中丸 忠雄
ジェリー 伊藤
桜井 浩子
南 弘子
八代 美紀
二瓶 正也
西条 康彦 (西條 康彦)
天本 英世
北 あけみ
松村 達雄
砂塚 秀夫
塩沢 とき
沢村 いき雄
伊丹 一三 (伊丹 十三)

発表年:1963年

製作国:日本

評価:B ★★★△

■雑記:
当時のサラリーマンの日常や、
戦前・戦中・戦後の日本の状況を愚痴っぽく語っている映画かな。
何をしても(世の中や人生が)面白くない
サラリーマンの江分利満(小林桂樹)が
酒場を梯子してバーテンやホステスなどに面白いか尋ねるんすが、
「私は黒犬よ。尾も白くない」
って、バー ナポリの女(塩沢とき)の洒落に弱り吐いている所で
雑誌の編集者と出会い意気投合して文章を書くことになる。
「才能のある人間が生きるのなんて何でもないことなんだよ。
宮本武蔵なんて、ちっとも偉くないよ。あいつは強かったんだ。
本当に偉いのは一生懸命生きているやつだよ。
江分利(私)みたいなやつだよ」とか言ってるんすが、
江分利満はサントリーの宣伝部員でエッセイみたいな小説で直木賞を取る才人で、
父(東野英治郎)も会社の社長になったり
倒産して借金取りに追われたりを繰り返す波瀾万丈の人生を送っているので
一般的な普通の家族の話とはいえない。
江分利が直木賞を取り会社の同僚と高級クラブに行くんすが、
女子社員の泉俊子(桜井浩子)と坂本和子(南弘子)がカルピスを飲んでいるのを見て、
「カルピスってのは恥ずかしいね。初恋の味だからだろうか?
あの□ロ□□(自主規制)のマークの水玉模様の包装紙のせいだろうか?」
とか何にでも難癖を付ける。
映像は色々凝っていて、
江分利と妻の夏子(新珠三千代)の新婚時代の会話を
革靴と草履の描写だけにして『残菊物語』に言及したり、
身に着けている下着の説明で、パンツ一丁で通勤したりする変わった演出。
コーラスの指揮者で音楽を担当した佐藤勝が出演してる。

江分利満氏の優雅な生活』の映画化は、
当初、監督は川島雄三に決まっていたみたいですが急逝したので
岡本喜八になったみたい。
川島雄三版の脚本では江分利満が社宅から一歩も出ない設定らしいんで、
『しとやかな獣』みたいな映画になっていたのかなぁ。

好きなもの目録 その384 地獄のモーテル

邦画ばかり取り上げているんすが、
天邪鬼なんで世間的に邦画は面白くないって言われていることに対する反抗っていうか、
はっきり言って邦画は面白くないって言われても仕方がない状況だと思うけど、
(地上波放送される話題作を実際観てみると面白くないのが原因の一つかな)
中には面白い作品もあるよ! ってことで邦画を取り上げてきたんすが、
もちろん洋画も好きなんで、気分転換にB級のホラー映画を目録に。

鬼滅の刃』の嘴平伊之助の元ネタ……じゃないと思うけど、
豚の頭を被った殺人鬼が登場するホラー『豚首村』じゃなくて
『地獄のモーテル』が面白いので。
(関係ないけど『牛首村 - 清水 崇』で、
双子に対する人体実験をしたナチスの死の天使ヨーゼフ・メンゲレを連想する)


標題:(保留)

分類:映画>洋画>ホラー / コメディ

■題名:
MOTEL HELL
地獄のモーテル

監督:
KEVIN CONNOR
ケヴィン・コナー

出演:
RORY CALHOUN
ロリー・カルホーン
NANCY PARSONS
ナンシー・パーソンズ
PAUL LINKE
ポール・リンク
NINA AXELROD
ニナ・アクセルロッド
WOLFMAN JACK
ウルフマン・ジャック

発表年:1980年

製作国:アメリ

評価:B ★★★○くらい

■内容・雑記:
ヴィンセント(ロリー・カルホーン)とアイダ(ナンシー・パーソンズ)の
スミス兄妹は「MOTEL HELLO」というモーテルを経営しながら酪農もしている敬虔なクリスチャン。
ヴィンセントの作る自家製のベーコンやハムやソーセージは大人気。
ヴィンセントは夜になるとモーテルを抜け出し狩に出かけるのであった……。
獲物はもちろん肉製品の材料になる……人間……。
ある夜、罠にかかり事故ったバイクのカップルを生け捕るが、
女の方に興味を持ったヴィンセントは手厚く保護する。
助けられた女はテリー(ニナ・アクセルロッド)という名で、
恋人が事故で死んだと聞き傷心。
心と体を癒すためテリーはモーテルで田舎暮らしを堪能する。
ヴィンセントやアイダとは別に暮らす
保安官の弟のブルース(ポール・リンク)も美人のテリーに好意を抱き何かと世話をする。
兄がテリーに優しいのが気に食わない妹は、
湖でテリーを溺れさせようとするが、それを兄に邪魔され、
ヴィンセントに助けられたテリーは好きになってしまい肉体関係を迫るが、
ヴィンセントは敬虔なクリスチャンなんで、
そーいうことは結婚しないとしちゃダメって固いんで結婚することに。
二人が結婚することを聞いて驚いたブルースは別れさせようとするが失敗。
バイク事故に不審を感じたブルースが再捜査すると、
湖に沈められた数々の車を発見、真相を確かめようとモーテルを訪れ
秘密の食肉処理場で見たモノとはっ!

なんか、捕らえた人間を『トラック野郎 男一匹桃次郎』とかで
フグの毒に当たり首から下を土に埋めるのみたいにして
太るまで餌を与え栽培して、頃合が良くなったら目玉ぐるぐるマシーンで幻惑させ
首に縄をかけて引っこ抜いてるっす……マンドラゴラかよ……。
藤子不二雄Aの『魔太郎がくる!!』「ボクはごちそうじゃない」や
ブラックユーモア短編「北京填鴨式」みたいに人間を北京ダックにしてるっす。
捕らえた人間を叫んだりしないように声帯を切り、
普段は地上に出た頭に袋を被せて隠してるんすが、
その声にならない悲鳴と袋の動きが不気味でなんか可笑しいっす。

「MOTEL HELLO」は O のネオン管が切れかかっていて
「MOTEL HELL」になっているところがミソ。
(看板や屋外広告なんかで、パチンコのパが消えてチンコとか、
美味しいお茶なら○○の茶が消えて美味しいおなら――みたいになってるの)
テリーにヴィンセントの犯行がバレて
軽蔑したテリーがヴィンセントに唾を吐きかけるんすが、
ドラマ『座頭市物語』の「ひとり旅」で、
竹脇無我中尾彬に唾を吐きかけるんすが、
テリーだったら中尾彬も恨みに思わなかったかな。うそ
豚頭麗香……じゃなくて豚の頭を被ったヴィンセントとブルースの
チェーンソー同士でのチャンバラとか見所満載。
別居してるとはいえ、何十年も不審な事故の多発や
兄姉が大量殺人をしていても気付かない弟の保安官っていったい……。
最後に瀕死のヴィンセントが罪を懺悔するんすよ、
肉製品に防腐剤を使ってないってのは嘘で食品偽装していたことを……ソコかいっ!
アイダは土から抜け出しゾンビみたいになった被害者達に襲われ
犬神家の一族』の青沼静馬みたいに逆さに土に埋められる。

『サイコ』や『悪魔のいけにえ』系の作品だけど、
スミス兄妹がまともなら、『赤毛のアン』のカスバート兄妹みたいになって、
テリーがアンみたいになってハートフルな話になってただろうなぁ。うそ
ウルフマン・ジャックがテレビ伝道師で登場する。

悪魔のいけにえ2』でも豚の頭を被っていたかも。記憶が曖昧
フランスのカンタベリープログレで、
『WORLD OF GENIUS HANS - MOVING GELATINE PLATES』
のジャケが豚の頭を被ってます。

気になるもの目録 曽根中生の嗚呼!!花の応援団

曽根中生監督の『嗚呼!!花の応援団』シリーズ
嗚呼!!花の応援団
嗚呼!!花の応援団 役者やのォー』
嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊』
を八年前に視聴した時に書いた駄文の再録っす。

70年代に一大ブームを巻き起こしたどおくまんプロ原作の同名劇画を、
鈴木清順門下の曽根中生(監督)&田中陽造(脚本)コンビで映画化。
ビー・バップ・ハイスクール』や『クローズ』といった
学園ツッパリものの元祖となった大ヒットシリーズ
――らしいです。
『殺しの烙印』などで知られる脚本家グループ
具流八郎(鈴木清順曽根中生田中陽造大和屋竺、他)の作品は
支離滅裂で玉石混交な印象。

私は、『花の応援団』は読んでいないんですが、
子供の頃、『マカロニほうれん荘』の連載が読みたくて
週刊少年チャンピオンを買っていた時(か、その後)かな、
『熱笑!! 花沢高校』の連載が始まって、初めてどおくまんの漫画を目にしたんですが、
その下手糞な絵と下品な内容で好きになれなかったかな。
私は、『ドラネコロック』の連載が読みたくて
月刊少年チャンピオンも買っていた時があって、
そこで『暴力大将』はけっこう好きで読んでいたなぁ。


標題:曽根中生嗚呼!!花の応援団 役者やのォー

分類:映画>邦画>エロ

■題名:
嗚呼!!花の応援団
嗚呼!!花の応援団 役者やのォー
嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊

監督:曽根 中生

脚本:田中 陽造

音楽:コスモスファクトリー

出演:
宮下 順子
深見 博 (深見 亮介)
放駒 清一 (龍虎 勢朋)
沢田 情児
坂田 金太郎
香田 修 (※『嗚呼!!花の応援団』『嗚呼!!花の応援団 役者やのォー』)
なぎら けんいち (なぎら 健壱 ※『嗚呼!!花の応援団 役者やのォー』『嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊』)
丘 奈保美 (岡 尚美 / 丘 ナオミ ※『嗚呼!!花の応援団』『嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊』)

(※下記『嗚呼!!花の応援団』)
今井 均
水原 ゆう紀
伊佐山 ひろ子
安部 徹

(※下記『嗚呼!!花の応援団 役者やのォー』)
井上 治之
宮井 えりな
片桐 夕子
山本 麟一
殿山 泰司
千 うらら

(※下記『嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊』)
本間 進
川畑 信三
折口 亜矢
泉 じゅん
絵沢 萠子
原崎 長一郎
坂本 長利
陶 隆司

発表年:1976年~1977年

製作国:日本

評価:保留

■雑記:
シリーズもので、一年足らずで三作品が撮られたのに、
どういうわけか主役の青田赤道役が三作品とも違う役者。
(ネットで検索した不確かな情報では、
青田赤道役は一般公募で、一作目の今井均は大手建設会社の社員で、
社長から一作だけ許可を得て出演したらしいっす)

一作目の『嗚呼!!花の応援団』は――
一年ゴミ、二年奴隷、三年人間、四年神様という
大学の応援団のヒエラルヒーの中で悪戦苦闘する一年生コン
富山(香田修)と北口(深見博)の視点で物語が進む。
四年神様の団長、副団長、統制部長、リーダー長の四人組の横暴に耐える一年、二年の団員。
格好だけで弱そうなカマキリ眼鏡の団長・木村(沢田情児)と、
もみあげと髭のハゲ豚副団長・下村(坂田金太郎)がいい味出してます。
そんな四人組も、三年の親衛隊隊長・青田赤道(今井均)だけは腫れ物に触るような扱い。
ひとたび暴れだすと手に負えないのだ。
んで、応援団といえば団旗が命なんですが、
一年生コンビが団旗を虫干ししていたら、タバコのポイ捨てで団旗を焦がして穴を開けてしまう。
このままでは殺されてしまうと、寝ている青田赤道に罪をかぶせ――。
ライバルの浪華大応援団との『クローズ』ばりの大抗争(うそ)や、
大学対抗駅伝に途中から、青田が選手の身代わりで出場して優勝するなどハチャメチャ。
富山がヤクザから助けた商売女・初江(水原ゆう紀)に会いに行くと客を取っている最中で、
初江に向けて富山達応援団が、店の外から応援するという、
なんかちょっと狂気や悲哀を感じさせる終わり。


二作目の『嗚呼!!花の応援団 役者やのォー』は、
青田赤道役の井上治之がガタイもでかいし
原作のイメージ(外見)に一番近いのでは。
んで、なんといっても応援団OBの薬痴寺(なぎら健壱)が凄い!
仮病(本当に体調が悪い?)で応援団の練習を休んでいる団員に、
「役者やのォー」
と言いながら杖で叩きまくる。
夏休みの地獄の合宿でも薬痴寺先輩が大活躍。
北口がストリッパーの花園ローズ(片桐夕子)のヒモになったり、
青田が水商売の女・貴子(宮井えりな)に騙されたり、
最後はなぜかラグビー――。
青田が質屋の親父(殿山泰司)に金の工面を頼むんですが、
その質屋の娘・みすず(千うらら)がまたキャラが立っている。
この映画を観終わったら、男なら誰でも
「役者やのォー」
と口癖のように言ってしまう。
一作目を観て、1970年代の邦画によくあるバカエロ映画だな。
としか思わず、二作目以降は観なくてもいいかと思ったんですが、
『役者やのォー』は観て良かったっす。
見逃していたら後悔したっす。
けっして名作ではないけど迷作!


三作目の『嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊』は、
青田赤道役の本間進が嵌ってないし、
後半は赤道の父・青田玄道(陶隆司)の剣道の話しがメインになっていて
ストーリーが全然面白くないので駄作かな。
走行中の電車内でのミミズ獲りのシーンが見所かな。
薬痴寺先輩が出てくるのに
「役者やのォー」って決めゼリフ言わないし。
宣材写真を見ると、青田赤道がセーラー服の女子高生に求愛しているんですが、
私が見逃したのか、セーラー服の女子高生なんか出てこなかったんですが……。


私の勝手な応援団のイメージは、バンカラ――
体育会系、喧嘩、恐い、ヤ○ザ予備軍(すんませんイメージです)などや、
あと(1980年代の)大川興業くらいなんですが、
嗚呼!!花の応援団』で一、二年の団員がやらされる余興が大川興業っぽくて、
影響を与えているのかなぁ。

そーとー前にラジオで聴いたんすが、
嗚呼!!花の応援団』(二作目か三作目)のロケを
多摩美術大学付近でやっていたみたいで、
休憩中のなぎら健壱の所へ
まだ素人だった竹中直人宮沢章夫が訪ねていって会話したとか。

気になるもの目録 跋扈妖怪伝 牙吉

もう何十年も読み返してないけど、
司馬遼太郎の『峠』は好きな歴史小説なんですが
『峠 最後のサムライ』として初映画化らしいんすが、
その18年前に既に映画化されていたんすよ。
『峠』ってタイトルだと地味なんで
『跋扈妖怪伝 牙吉 KIBAKICHI 第一部』ってタイトルにして
ガトリング砲を撃ちまくってます。うそ

『跋扈妖怪伝 牙吉』は、
さくや妖怪伝』と世界観というか妖怪観が同じみたいっす。
私は『さくや妖怪伝』を観たことあると思うんすが
昔の事で内容をまったく憶えていないんすが、
DVDソフトが発売された頃、やたらワゴンセールで見かけたような……。
『牙吉』はあまり面白いとはいえないけど、
『妖怪百物語』とか昭和にあった特撮時代劇を、
平成に新しく創りだそうという気概を感じるかな。


標題:(保留)

分類:映画 / OVA>邦画>時代劇 / 特撮

■題名:
跋扈妖怪伝 牙吉 第一部
跋扈妖怪伝 牙吉 第二部

監督:
原口 智生 (※『第一部』)
服部 大二 (※『第二部』)

音楽:川井 憲次

語り:伊武 雅刀

出演:
原田 龍二
田中 美紀

(※下記『第一部』)
清水 健太郎
安藤 希
中山 夢歩
金子 珠美
稲葉 美優 (桜羽 未華)
樋口 真嗣

(※下記『第二部』)
船木 誠勝
中村 愛美
嘉門 洋子
鷲生 功
芦屋 小雁

発表年:2004年

製作国:日本

評価:C ★未確定

■雑記:

『跋扈妖怪伝 牙吉 第一部』
犬神村の牙吉(原田龍二)は人狼で、
人間を信じたため同族を滅ぼされ放浪している。
村の生き残りの安寿(田中美紀)は裏切り者の牙吉の命をつけ狙う。
鬼蔵(清水健太郎)が取り仕切る宿場町に
牙吉が草鞋を脱ぎ鬼蔵一家に一宿一飯の世話になる。
鬼蔵一家は各地で迫害された妖怪の避難所で、
人間は鬼蔵に拾われた桔梗(安藤希)しかいない。
鬼蔵は宿場町のある藩の重職・山路要之助(中山夢歩)に協力し、
妖怪の楽園を創ることを夢見ていたが……。
「おらといっしょにぱらいそさいくだ!!」
最新の武器を手に入れ妖怪の力を必要としなくなった
河井継之助じゃなくて山路要之助のガトリング砲が炸裂する!
迫害されたマイノリティが自分達の居場所を求めるが利用され裏切られる話。
女郎の志乃(稲葉美優)のHシーンがあるんすが、
絡新婦?に変身して客を襲う場面が
仮面ライダー』の「怪奇蜘蛛女」って感じ。


『跋扈妖怪伝 牙吉 第二部』
異国人との間に生まれた桜丸(船木誠勝)は、
人間不信で暴虐の限りを尽くし役人も手に負えない暴れん坊。
牙吉は桜丸との争いで傷を負い盲目のおまつ(中村愛美)に助けられる。
牙吉と安寿の闘いに割って入った桜丸は、
自分を恐れない安寿に興味を持つ(惚れる)。
そこに人間と妖怪の共倒れを狙う道眼(鷲生功)が
雪姫(嘉門洋子)の一族を操り絡む。
道眼はおまつを殺し桜丸の仕業に見せかけ
牙吉と桜丸を戦わせ弱ったところに一角大王が正体を現す。
道眼はオザンナやキッスや聖飢魔IIのメンバーっぽいんすが、
その正体は一角大王で角がピカピカ光るっす。
『第一部』もそうなんすが、
『跋扈妖怪伝』ってわりには妖怪が大活躍といか跋扈していない。
最後の方に人狼なった牙吉と安寿の闘いがあるんすが
フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』って感じ。
犬神(人狼)の最後の男女が不倶戴天の間柄なんで血が絶えるな。


『跋扈妖怪伝 牙吉』は、
『第一部』が映画で、『第二部』がOVA
妖怪対妖怪の大決戦(大血戦)を期待して観たら
ちょっと異色の時代劇だったって感じかな。
妖怪を忍者や剣術家に代えても話的には変わらないと思う。
石井隆みたいな花吹雪とか映像はちょっと凝ってる。

好きなもの目録 その345 石井克人の鮫肌男と桃尻女

私は1990年代にはあまり映画を観ていなかったし、
まして邦画(アニメじゃない実写)なんて
ほとんど観ていなかったっす。
でも、北野武監督作品だけはテレビ放送などで観ていて
その男、凶暴につき』から『キッズ・リターン』までは
ビートたけし名義の『みんな~やってるか!』を除く)
どれも面白く、邦画をろくに観ていないのに、
今の日本の映画って、映画業界以外の他ジャンルで活躍している
北野武が一番評価が高いくらいなんで、他はたいした作品ないんだろうなぁ。
と勝手に思い込んでたっす。
あまり映画を観ないといっても、私のまわりの映画好きな先輩なんかから、
あの映画は面白い、この作品は凄い! などと話を聞いたり、
テレビで話題の映画紹介みたいな番組は観ていて
興味を引いた映画はチェックしてました。
んで、1990年代後半くらいには黒沢清三池崇史の名前は知っていて、
テレビ情報誌や先輩から深夜テレビで映画放送するのを知り、
黒沢清特集『CURE』『ニンゲン合格』『勝手にしやがれ!! 成金計画』を観たり、
三池崇史の『DEAD OR ALIVE 犯罪者』を観て最後に大笑いし、
今の邦画にも面白いモノがあるんだなと認識したっす。
んで、2000年前後に『鮫肌男と桃尻女』が面白いって話題になっていて、
テレビ放送されたのを観たのかよく憶えてないけど、
石井克人監督の『鮫肌男と桃尻女』を観て感動したんすよ……
邦画もやれば出来るみたいな。
私が邦画を観始めるきっかけが、
キッズ・リターン - 北野 武』
Shall we ダンス? - 周防 正行』
『CURE - 黒沢 清』
DEAD OR ALIVE 犯罪者 - 三池 崇史』
そして『鮫肌男と桃尻女 - 石井 克人』あたりで思い入れがあるので目録に。


標題:石井克人鮫肌男と桃尻女とキャプテンバナナ

分類:映画>邦画>ピカレスク

■題名:鮫肌男と桃尻女

監督・脚本:石井 克人

原作:望月 峯太郎

出演:
浅野 忠信
小日向 しえ
岸部 一徳
鶴見 辰吾
高杉 亘
田中 要次
津田 寛治
森下 能幸
堀部 圭亮
関根 大学
清川 均
山田 新五郎
山野 久治
真行寺 君枝
寺島 進
島田 洋八
我修院 達也
安部 聡子

発表年:1999年

製作国:日本

評価:A ★★★★☆

■内容・雑記:
ヤクザの鮫肌黒男(浅野忠信)は、組の金一億を持ち逃げする。
鮫肌を追う一癖も二癖もある組のヤクザ達との追走劇に、
偏執狂的なホテルの支配人の叔父・ソネザキ道夫(島田洋八)から逃れるため
ホテルを脱出した桃尻トシコ(小日向しえ)が偶然鮫肌と一緒になり逃避行。
トシコを連れ戻すため、ソネザキは山田(我修院達也)に仕事を依頼する。
ホーロー看板集めが趣味でカツラのナイフ使い・田抜(岸部一徳)や、
犬並みの嗅覚のフクダミツル(鶴見辰吾)や、
鮫肌の兄貴分・沢田(寺島進)などのヤクザ連中に、
そして不気味な殺し屋・山田にも追われる鮫肌と桃尻の二人は、
鮫肌の知己の逃がし屋・塩田(山野久治)を訪ねるがトシコの分の逃走資金が足りず、
鮫肌が金を用意するため外出したすきにトシコが沢田に攫われる。
トシコを奪い返すためヤクザが根拠地にするソネザキのホテルに
鮫肌は一人向かうのであった……。

鮫肌男と桃尻女』は、それまでの日本のヤクザ映画と違い、
まさにポップでスタイリッシュだったんすよ!
岸部一徳の田抜や鶴見辰吾のミツルのヤクザが個性的なんすが、
それよりなんといっても我修院達也の山田が凄い!
凄腕の殺し屋なんですが存在そのものがコメディ。
その奇妙な動きと喋りそして歌の上手さ
好き嫌いの激しさなど最高のキャラクター。
小日向しえの桃尻トシコは、メガネを外しイメチェンして派手になるのより
地味なメガネっ娘の方が良い。

 

■題名:スマグラー おまえの未来を運べ

監督・脚本:石井 克人

原作:真鍋 昌平

出演:
妻夫木 聡
永瀬 正敏
我修院 達也
松雪 泰子
安藤 政信
テイ 龍進
阿部 力
小日向 文世
髙嶋 政宏
清川 均
島田 洋八
満島 ひかり
大杉 漣
松田 翔太
山本 竜二
津田 寛治
寺島 進
森下 能幸
前野 朋哉

発表年:2011年

製作国:日本

評価:B ★★★△

■内容・雑記:
砧涼介(妻夫木聡)は、役者を目指していたが挫折し
やることもなくその日暮らしのフリーター。
パチスロの裏ロムで稼ぐ打ち子で下手を打ち借金を背負うことになり、
その支払いのため危険な裏社会の運び屋(スマグラー)を手伝うはめになる。
チャイナ・マフィアと暴力団の田沼組が揉め、
組長の田沼春治(島田洋八)と組員数名が
凄腕の殺し屋・背骨(安藤政信)と内蔵(テイ龍進)に殺される。
背骨達により田沼の首はクール便で田沼組に送られ、
死体の運搬を運び屋のジョー(永瀬正敏)と
イカ好きのジジイ(我修院達也)と新米の砧がすることになり、
途中、警官(松田翔太大杉漣)に怪しまれるが砧の機転で無事乗り切る。
田沼組の河島精二(髙嶋政宏)と西尾健治(小日向文世)と
恋人がブスな高橋義春(清川均)の依頼(脅迫)により、
金貸しの山岡有紀(松雪泰子)が、
チャイナ・マフィアの張福儀(阿部力)を裏切らせて
背骨と内蔵が仲間割れになり殺し合いになる。
捕らえた背骨と死んだ内臓を砧達が田沼組に届けることになるが
目付け役に田沼組長の未亡人・ちはる(満島ひかり)が同乗する。
砧は荷台で背骨を見張ることになるが
同情から油断してしまい背骨を逃がしてしまう。
このままだと田沼組に全員殺されてしまうので、
とりあえず砧を背骨の身代わりにして田沼組に渡し時間を稼ぎ、
その間にジョー達は背骨を捕まえることにするが……。

スマグラー おまえの未来を運べ』を十年くらい前に初めて観た時は
鮫肌男と桃尻女』みたいなのを期待していたのでがっかりしたかな。
満島ひかり松雪泰子(の台詞回しなど)が役に合ってない気がして、
髙嶋政宏によるノリノリの拷問場面がやたら長く感じたんすが、
観直したら、(当然だけど今より)若い満島ひかり松雪泰子も悪くないなぁ。と思い、
安藤政信永瀬正敏もカッコイイし、前に観た時より面白く感じました。
髙嶋政宏がSMに目覚めたのが『スマグラー』だと思うんだけど、
河島が砧を拷問する場面が異様で、
上半身は兵隊で下半身はオムツって姿で
「サル、ゴリラ、チンパンジー……」じゃなくて『戦場にかける橋』なんかで有名な
「ボギー大佐 (クワイ河マーチ)」を口ずさみながら拷問するっす……。
実生活ではキング・クリムゾンの「スターレス」を歌いながら苛められる
マゾの方だと思う。うそ
凄腕の殺し屋とか死体の処理や現場の清掃などが
殺し屋1 - 三池 崇史』を少し連想。

 

分類:映画>邦画>サスペンス / コメディ

■題名:PARTY7

監督・脚本:石井 克人

音楽:ジェイムス 下地

出演:
永瀬 正敏
小林 明美 (AKEMI)
岡田 義徳
堀部 圭亮
我修院 達也
浅野 忠信
原田 芳雄
岡本 信人
田中 要次
大杉 漣
森下 能幸
津田 寛治
島田 洋八
加瀬 亮
松金 よね子
田中 星児

アニメ:
小池 健
川尻 善昭
ピーター・チョン

発表年:2000年

製作国:日本

評価:B ★★★○

■内容・雑記:
チンピラの三木(永瀬正敏)は、組の金二億を持ち逃げする。
隠れ場所のホテルに元カノのカナ(AKEMI)が貸した金を返せと訪ねてくる。
カナを追って自称金持ち(元カメラ店店員で元逃がし屋の無職)の婚約者
トドヒラ(岡田義徳)も押し掛けて来る。
三角関係で揉めているところに、三木の兄貴分でカナの元彼
ソノダ(堀部圭亮)が三木に引導を渡しにやって来る。
三木達がいるホテルの部屋は、実は隣がのぞき部屋になっていて、
のぞき常習犯のオキタ(浅野忠信)が父の遺言により
丁度潜入したところだった。
そののぞき部屋で待ち受けていたキャプテンバナナ(原田芳雄)は、
オキタに亡き父の遺志を継ぎキャプテン・ザ・イエローになるよう強いるのであった。
最後にソノダを疑い尾けていたイソムラ(我修院達也)が乱入し
部屋の鏡が割れ隣ののぞき部屋からキャプテンバナナと
キャプテン・ザ・イエローと白クマくんが登場し大混乱。
その衝撃により、有料テレビの詰まっていた100円が投入されスイッチが入り、
三木とカナとソノダが子供の頃に入園していた児童養護施設
匿名で二億が寄付されたニュースが映る。
三木にホテルを紹介した坂上のオバちゃん(松金よね子)の仕業だった。

PARTY7』は『鮫肌男と桃尻女』と設定が似てるというか、
我修院達也のイソムラとか山田っぽいキャラだしカツラネタ出てくるし
鮫肌男と桃尻女』を密室劇・会話劇にした感じかな。
面白いんだけど、誇張しすぎたキャラやネタがなんかスベってるかも……。

キャプテンバナナがオキタに言う台詞
「君はひょっとして、この部屋に来るために生まれてきたんじゃないのかな」は、
渚カヲル碇シンジに言う台詞
「僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない」のオマージュ。うそ

オープニングアニメがカッコイイんすが、
アニメーションディレクター・キャラクターデザインを
小池健が手掛けていて、名前を憶えてその後を注目したなぁ。

PARTY7』をリメイクしたのが
クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』。うそ

好きなもの目録 その46 家城巳代治の姉妹

家城巳代治監督の映画は
『姉妹』『異母兄弟』『みんなわが子』『路傍の石』『恋は緑の風の中』
などを観たことがあるけど、
十年くらい前に観た『姉妹』が印象に残っているので目録に。

三國連太郎は名優って言われるんすが、
私は三國連太郎の演技が上手い(凄い)と思ったことがなかったんすが、
『異母兄弟』での戦前の家父長制の悪い部分の権化みたいな
鬼頭範太郎の嫌な男の演技は凄いかな。
アニメ『火垂るの墓』は、戦時下の悲惨な状況で生きる未成年を描いていて
観返すのが辛いのでもう20年以上観直してないんすが、
『みんなわが子』も学童疎開の話で亡くなる生徒もいるんすが、
子供達の生き生きとした生活が描かれていて前向きに感じる。
路傍の石 (1964年)』は、子役時代の池田秀一が主演で
友人役が風間杜夫という今からすると豪華な配役?
昔の親ガチャに比べれば今はまだマシなのか……。
吾一は級長や卒業生代表になるほど学問が好きなのに
中学校に進めなかった劣等感と、
奉公先の呉服屋での虐めやきぬの態度の豹変に怨みを抱き
丑三つの村』的な大殺戮を起こすのかなと思ったっす。うそ


標題:家城巳代治の姉妹

分類:映画>邦画

■題名:姉妹 (きょうだい)

監督・脚本:家城 巳代治

脚本:新藤 兼人

音楽:大木 正夫

出演:
野添 ひとみ
中原 ひとみ
河野 秋武
川崎 弘子
内藤 武敏
加藤 嘉
多々良 純
殿山 泰司
北林 谷榮
倉田 マユミ

発表年:1955年

製作国:日本

評価:A ★未確定

■内容・雑記:
山田洋次監督が選んだ日本映画』で観た、
『姉妹』が傑作でした。
監督の家城巳代治って人のこと、今回初めて知りました。
家城って苗字は、いえきって読むっす。
(みょうじとみよじをかけた今世紀最大のギャグ)
映画の舞台が、長野の山奥
(小沢駅って出てくるから、伊那近辺?)
から都会の街(松本?)に下宿している姉妹の話。
妹・俊子(中原ひとみ)は男っぽく、
同級生の女友達とキスしたり、革命を起す!とか言う活発な娘。
妹の純真で、周りの空気の読めなさっぷりが素晴らしい。
男の人
(名前が石田三成。四男で、長男の名前が信長で、次男が秀吉、三男が家康)
がいる前で、オッパイが成長期でチクチクして痒いとボリボリ掻くし。
姉・圭子(野添ひとみ)は家庭的な常識人。
好きな人がいるが結婚は別……と、
お見合いでしっかりした銀行員のもとへ嫁入り。
父親が水力発電所に勤めているんですが、
三ヶ月無事故だとお手当てが千円でるので、
関係者は、それをあてに色々欲しいものを買う計画たてている。
それが、あと一日ってときに停電でパー。
――きっと、この不景気に臨時の出費が嫌な発電所上層部の工作だな。うそ

姉妹の家は、他の家と比べると裕福な方なんですが、
不景気で発電所で何人かクビになり、
同じ労働組合の仲間がクビになって困っているのに、
自分の娘を修学旅行に行かせるのは、仲間に顔向けが出来ない……みたいな
父親の頑固さで、妹は楽しみにしていた東京への修学旅行が行けなくなる。
妹は、女学生仲間の中心的存在なのに、行けなくて辛かっただろうなぁ。
ぼっちなら、行けないほうがホッとするだろうけど。

あまりに貧乏で、北海道での新生活に活路を見出そうとする母娘が、
旅費が無いから娘を買ってくれ。と来たり、
身体の不自由な一家の描写や、
馬車馬のように肉体労働する嫁いできた嫁さん達とか――
65年くらい前の日本なんて、そんな状況なんすよ……。
また、そんな時代にならないとも限らない。
最後、嫁に行く姉の乗るバスに向かって妹が叫ぶんすよ、
あの有名な台詞を――
「シェーン!カムバック!!」うそ

姉妹の父親・近藤健作役は河野秋武なんですが、
信欣三から代わったのかも。