サイグレアニマン

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好きなもの目録 その46 家城巳代治の姉妹

家城巳代治監督の映画は
『姉妹』『異母兄弟』『みんなわが子』『路傍の石』『恋は緑の風の中』
などを観たことがあるけど、
十年くらい前に観た『姉妹』が印象に残っているので目録に。

三國連太郎は名優って言われるんすが、
私は三國連太郎の演技が上手い(凄い)と思ったことがなかったんすが、
『異母兄弟』での戦前の家父長制の悪い部分の権化みたいな
鬼頭範太郎の嫌な男の演技は凄いかな。
アニメ『火垂るの墓』は、戦時下の悲惨な状況で生きる未成年を描いていて
観返すのが辛いのでもう20年以上観直してないんすが、
『みんなわが子』も学童疎開の話で亡くなる生徒もいるんすが、
子供達の生き生きとした生活が描かれていて前向きに感じる。
路傍の石 (1964年)』は、子役時代の池田秀一が主演で
友人役が風間杜夫という今からすると豪華な配役?
昔の親ガチャに比べれば今はまだマシなのか……。
吾一は級長や卒業生代表になるほど学問が好きなのに
中学校に進めなかった劣等感と、
奉公先の呉服屋での虐めやきぬの態度の豹変に怨みを抱き
丑三つの村』的な大殺戮を起こすのかなと思ったっす。うそ


標題:家城巳代治の姉妹

分類:映画>邦画

■題名:姉妹 (きょうだい)

監督・脚本:家城 巳代治

脚本:新藤 兼人

音楽:大木 正夫

出演:
野添 ひとみ
中原 ひとみ
河野 秋武
川崎 弘子
内藤 武敏
加藤 嘉
多々良 純
殿山 泰司
北林 谷榮
倉田 マユミ

発表年:1955年

製作国:日本

評価:A ★未確定

■内容・雑記:
山田洋次監督が選んだ日本映画』で観た、
『姉妹』が傑作でした。
監督の家城巳代治って人のこと、今回初めて知りました。
家城って苗字は、いえきって読むっす。
(みょうじとみよじをかけた今世紀最大のギャグ)
映画の舞台が、長野の山奥
(小沢駅って出てくるから、伊那近辺?)
から都会の街(松本?)に下宿している姉妹の話。
妹・俊子(中原ひとみ)は男っぽく、
同級生の女友達とキスしたり、革命を起す!とか言う活発な娘。
妹の純真で、周りの空気の読めなさっぷりが素晴らしい。
男の人
(名前が石田三成。四男で、長男の名前が信長で、次男が秀吉、三男が家康)
がいる前で、オッパイが成長期でチクチクして痒いとボリボリ掻くし。
姉・圭子(野添ひとみ)は家庭的な常識人。
好きな人がいるが結婚は別……と、
お見合いでしっかりした銀行員のもとへ嫁入り。
父親が水力発電所に勤めているんですが、
三ヶ月無事故だとお手当てが千円でるので、
関係者は、それをあてに色々欲しいものを買う計画たてている。
それが、あと一日ってときに停電でパー。
――きっと、この不景気に臨時の出費が嫌な発電所上層部の工作だな。うそ

姉妹の家は、他の家と比べると裕福な方なんですが、
不景気で発電所で何人かクビになり、
同じ労働組合の仲間がクビになって困っているのに、
自分の娘を修学旅行に行かせるのは、仲間に顔向けが出来ない……みたいな
父親の頑固さで、妹は楽しみにしていた東京への修学旅行が行けなくなる。
妹は、女学生仲間の中心的存在なのに、行けなくて辛かっただろうなぁ。
ぼっちなら、行けないほうがホッとするだろうけど。

あまりに貧乏で、北海道での新生活に活路を見出そうとする母娘が、
旅費が無いから娘を買ってくれ。と来たり、
身体の不自由な一家の描写や、
馬車馬のように肉体労働する嫁いできた嫁さん達とか――
65年くらい前の日本なんて、そんな状況なんすよ……。
また、そんな時代にならないとも限らない。
最後、嫁に行く姉の乗るバスに向かって妹が叫ぶんすよ、
あの有名な台詞を――
「シェーン!カムバック!!」うそ

姉妹の父親・近藤健作役は河野秋武なんですが、
信欣三から代わったのかも。