サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その92 水木しげるの妖怪おもしろ大図解

ゲゲゲの鬼太郎 妖怪奇伝・魔笛エロイムエッサイム』をなんとなく観たら
けっこう良い出来の(頑張っている)特撮作品だったので、
「気になるもの目録」にメモしとこうと思ったんすが、
同じ小林義明が監督した
月曜ドラマランド ゲゲゲの鬼太郎』を観てからにしようとペンディングにしたので、
代わりに水木しげるについて昔書いた記事の再録。


今の小学生の事とか全然わからないんですが、
私が小学生の頃って、「入門百科シリーズ」ものの本ってけっこう人気あって、
なかでも『妖怪なんでも入門』『妖怪世界編入門』は凄い人気で、
学校の図書館なんかでも、みんな借りてました。
基本、入門系の本って、小学生が読む、買う本なんですよ。
それを中高生の私が、水木しげるだからって買ってたんですね。
今思うと買っても熱心に読むわけでもなく、惰性で買ってたなぁ。
無駄な青春送ってたなぁ。と少しだけ後悔。

1980年代の前半頃って、水木しげるの漫画、鬼太郎(妖怪)なんかのブームの谷間で、
(『ゲゲゲの女房』の「妖怪はどこへ消えた?」の頃かな)
それもあってか、人気のあった「妖怪入門シリーズ」をけっこう出しているんですね。
本の内容、イラストや文章に、
実際、どれくらい水木しげるが関与しているのか定かではないんですが、
(アシスタントの人がイラスト描いているかもしれないし、
文章は編集の人が書いているのかもしれない)
ペラペラと本のページをめくっているだけで、
想像力を刺激されて面白いっすよ、
水木しげるの「小学館入門百科シリーズ」。


標題:水木しげるの妖怪入門百科

分類:漫画>イラスト

■題名:
小学館入門百科シリーズ32 妖怪なんでも入門 (水木しげる 妖怪大百科)
小学館入門百科シリーズ76 妖怪世界編入門 (水木しげる 世界の妖怪大百科)

作者:水木 しげる

発表年:
1974年
1978年

製作国:日本

評価:A ★未確定

■ひとりごと:
ダンボール箱に収納しており、
取り出して内容を確かめるのが面倒なので、
機会があったら追記します。


■題名:
小学館入門百科シリーズ65 悪魔くんの悪魔なんでも入門
小学館入門百科シリーズ88 妖怪100物語 (水木しげる 妖怪百物語)
小学館入門百科シリーズ101 妖怪クイズ百科じてん (水木しげる 妖怪クイズ大百科)
小学館入門百科シリーズ102 鬼太郎なんでも入門 (水木しげる 鬼太郎大百科)
小学館入門百科シリーズ119 世界の妖怪100話
小学館入門百科シリーズ126 河童なんでも入門
小学館入門百科シリーズ138 妖怪おもしろ大図解 (水木しげる 妖怪大図解)
小学館入門百科シリーズ153 妖精100物語

作者:水木 しげる

発表年:
1985年
1979年
1979年
1980年
1981年
1983年
1983年
1984

製作国:日本

評価:B ★未確定

■内容・雑記:
上記の中で、『妖怪おもしろ大図解』の出鱈目ぶりが特に面白いので代表して紹介。

『妖怪おもしろ大図解』
「妖怪たちの超能力のひみつがおなかのなかまでわかっちゃう!!」
「ほっ」とかいう表紙。
よく1970年代の漫画雑誌の巻頭や児童雑誌に載っているような
ウルトラ怪獣の解剖図みたいに、
妖怪たちの秘密を解剖図とともに明らかにする。――みたいな本。
……しかしコレ、どこまで資料的な裏づけがあるのか?
なんか水木しげるが全て考えたデタラメとしか思えないんですが、
それが凄い!
その一部を紹介――

タンコロリン:
柿の実をもがずにおくと、この妖怪になる。
<しぶ袋>
からだのなかにしまった老廃物の“しぶ”を集めて、鼻からハナクソとして出す。
<柿のたね>
脳の中身は、柿のたねの形をしたものからできていて、おつまみによいという。
※おつまみによいって、まんま柿の種じゃん。

ぬらりひょん
妖怪の総大将といわれている。
人びとが忙しくしている夕方、金持ちの家などに入ってきて
主人のたばこをふかしたり、お茶をのんだりして、働かずに暮らしている。
<ひょん目>
人間の心理を鋭く見ぬく。つまり、頭がよい。
<ぬらり脳>
巨大な脳の中には、約56キロの脳みそがつまっていて、あらゆる知識がつまっている。
したがって、人間の考えているようなことはすべて知っているので、
人間の心のスキをつくのがじょうず。
ぬらりひょん石>
妖怪の総大将といわれるしるしの石が、心臓の中にある。
ダイヤモンドより数百倍もかたく、宇宙を動かすほどのエネルギーをもっている。
※宇宙を動かすほどのエネルギーを持つって最強じゃん。だれも勝てないって……。
そんな力を、働かずに暮らすことに注ぐってのは……
つまり、頭がよわい。

ぶるぶる:
おくびょう神の妹といわれる。
<ぶるぶる神経>
ぶるぶるのたくさんの働きを連絡する神経。
<恐胃>
人間の恐怖心とみみずを食べる。
<ぶるぶる口>
昔は美人だったが、長年のブルブルで、顔ががたがたになった。
<手>
手のひらに小さな穴があり、そこからブルブルガスを出し、人をふるえさせる。
冷凍ガスにも切りかえられる。
<おくびょう伝達管>
おくびょううつしの管がある。
※人間の恐怖心を食べる。ってのは、なるほど妖怪だな。と思うんですが、
なんで、――とみみずを食べる。と、そこでみみずなのか?
ぶるぶる口の説明を読んで、私は大笑いしました。

皿かぞえ:
奉公ちゅうにまちがって主人の家の皿をこわし、
殺されたり、自殺した少女のうらみなどが、妖怪の皿かぞえになる。
<うらみ心臓>
まえに自分でこわした皿のかけらが、心臓につきささっている。
<皿肺>
ぶるぶるの肺は、皿の形をしている。
※なぜかいきなり、ぶるぶるの肺の事が。
まぁ前のページで紹介したぶるぶると皿かぞえを間違えた誤植だと思いますが。

雨ふり小僧:
雨を降らせる神様の“雨師”につかえている子どもの妖怪。
<顔>
水分を多量に含んで、ふやけ、ふくらんでいる。
<雨力原動器>
傘に降りかかって流れる雨から動力をとって
逃げ足を助ける力にするので、けっしてつかまらない。

ともかずき:
海女の姿をしていて、あわびをくれるが、喜んでいると、
海底に引きこまれそうになる。
友川かずきは知っていたんですが、ともかずきなんて妖怪いるとは。

かんばり入道
便所に現れる妖怪で、厠の守り神だという。
<手>
かんばり入道は、いっぽうの手で大便を、
もういっぽうの手で小便を受けるという。
<大便だめ>
いっぽうの手で受けた大便を、ここにためておく。
<小便だめ>
いっぽうの手で受けた小便を、ここにためておく。
<臭気袋>
着物のすそからとり入れた便所の空気を、くさらせてためておき、
口から吹きだす。
<かんばり臭気>
このにおいをかぐと、人間は、あまりに臭いので目をまわす。
<ほととぎす>
かんばり入道につかえている鳥で、キーキーと鳴く。
※「厠の中にいるときにホトトギスの声を聞くと不吉である」
っていう迷信があるらしいんですが、
キーキーって鳴くのって、べつにかんばり入道につかえているんじゃなく、
あまりの臭さに苦しがっているんじゃ。坑道のカナリアみたいに。
私が、初めて『ウィークエンダー』を観た時の三面記事の紹介で、
学校の汲み取り式の便所の便槽に入った男が、透明なビニール傘をさして
下から覗いていたってニュースをいまだに記憶してます。
それがかんばり入道だったんだなぁ。

パタパタ:
冬の静かな夜に、竹やぶの中でパタパタと手を打って音をさせる小人の妖怪。
<パタパタ脳>
ふたつの脳がぶつかり合うときに、
パタパタは、それに合わせて手を打つ。
<腕の筋肉>
長く手を打ち続けても疲れを知らない強力な筋肉をしている。
宇宙人という説もある。
※宇宙人という説もあるって、誰が唱えているんすか。
まだ、「パタパタママ」の子供という説がある。の方が説得力あるような。

――などなどの解説が、解剖図の脳や心臓、内臓なんかに書かれているんですが、
名称のつけ方が、基本、妖怪の名前+脳とか目とか口。
何百年後には、この本が妖怪研究の一級資料として世に知られているかも……。
と考えると、頭が痛くなるというか嬉しくなります。