『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪奇伝・魔笛エロイムエッサイム』をなんとなく観たら
けっこう良い出来の(頑張っている)特撮作品だったので、
「気になるもの目録」にメモしとこうと思ったんすが、
同じ小林義明が監督した
『月曜ドラマランド ゲゲゲの鬼太郎』を観てからにしようとペンディングにしたので、
代わりに水木しげるについて昔書いた記事の再録。
今の小学生の事とか全然わからないんですが、
私が小学生の頃って、「入門百科シリーズ」ものの本ってけっこう人気あって、
なかでも『妖怪なんでも入門』『妖怪世界編入門』は凄い人気で、
学校の図書館なんかでも、みんな借りてました。
基本、入門系の本って、小学生が読む、買う本なんですよ。
それを中高生の私が、水木しげるだからって買ってたんですね。
今思うと買っても熱心に読むわけでもなく、惰性で買ってたなぁ。
無駄な青春送ってたなぁ。と少しだけ後悔。
1980年代の前半頃って、水木しげるの漫画、鬼太郎(妖怪)なんかのブームの谷間で、
(『ゲゲゲの女房』の「妖怪はどこへ消えた?」の頃かな)
それもあってか、人気のあった「妖怪入門シリーズ」をけっこう出しているんですね。
本の内容、イラストや文章に、
実際、どれくらい水木しげるが関与しているのか定かではないんですが、
(アシスタントの人がイラスト描いているかもしれないし、
文章は編集の人が書いているのかもしれない)
ペラペラと本のページをめくっているだけで、
想像力を刺激されて面白いっすよ、
水木しげるの「小学館入門百科シリーズ」。
標題:水木しげるの妖怪入門百科
分類:漫画>イラスト
■題名:
小学館入門百科シリーズ32 妖怪なんでも入門 (水木しげる 妖怪大百科)
小学館入門百科シリーズ76 妖怪世界編入門 (水木しげる 世界の妖怪大百科)
作者:水木 しげる
発表年:
1974年
1978年
製作国:日本
評価:A ★未確定
■ひとりごと:
ダンボール箱に収納しており、
取り出して内容を確かめるのが面倒なので、
機会があったら追記します。
■題名:
小学館入門百科シリーズ65 悪魔くんの悪魔なんでも入門
小学館入門百科シリーズ88 妖怪100物語 (水木しげる 妖怪百物語)
小学館入門百科シリーズ101 妖怪クイズ百科じてん (水木しげる 妖怪クイズ大百科)
小学館入門百科シリーズ102 鬼太郎なんでも入門 (水木しげる 鬼太郎大百科)
小学館入門百科シリーズ119 世界の妖怪100話
小学館入門百科シリーズ126 河童なんでも入門
小学館入門百科シリーズ138 妖怪おもしろ大図解 (水木しげる 妖怪大図解)
小学館入門百科シリーズ153 妖精100物語
作者:水木 しげる
発表年:
1985年
1979年
1979年
1980年
1981年
1983年
1983年
1984年
製作国:日本
評価:B ★未確定
■内容・雑記:
上記の中で、『妖怪おもしろ大図解』の出鱈目ぶりが特に面白いので代表して紹介。
『妖怪おもしろ大図解』
「妖怪たちの超能力のひみつがおなかのなかまでわかっちゃう!!」
「ほっ」とかいう表紙。
よく1970年代の漫画雑誌の巻頭や児童雑誌に載っているような
ウルトラ怪獣の解剖図みたいに、
妖怪たちの秘密を解剖図とともに明らかにする。――みたいな本。
……しかしコレ、どこまで資料的な裏づけがあるのか?
なんか水木しげるが全て考えたデタラメとしか思えないんですが、
それが凄い!
その一部を紹介――
タンコロリン:
柿の実をもがずにおくと、この妖怪になる。
<しぶ袋>
からだのなかにしまった老廃物の“しぶ”を集めて、鼻からハナクソとして出す。
<柿のたね>
脳の中身は、柿のたねの形をしたものからできていて、おつまみによいという。
※おつまみによいって、まんま柿の種じゃん。
ぬらりひょん:
妖怪の総大将といわれている。
人びとが忙しくしている夕方、金持ちの家などに入ってきて
主人のたばこをふかしたり、お茶をのんだりして、働かずに暮らしている。
<ひょん目>
人間の心理を鋭く見ぬく。つまり、頭がよい。
<ぬらり脳>
巨大な脳の中には、約56キロの脳みそがつまっていて、あらゆる知識がつまっている。
したがって、人間の考えているようなことはすべて知っているので、
人間の心のスキをつくのがじょうず。
<ぬらりひょん石>
妖怪の総大将といわれるしるしの石が、心臓の中にある。
ダイヤモンドより数百倍もかたく、宇宙を動かすほどのエネルギーをもっている。
※宇宙を動かすほどのエネルギーを持つって最強じゃん。だれも勝てないって……。
そんな力を、働かずに暮らすことに注ぐってのは……
つまり、頭がよわい。
ぶるぶる:
おくびょう神の妹といわれる。
<ぶるぶる神経>
ぶるぶるのたくさんの働きを連絡する神経。
<恐胃>
人間の恐怖心とみみずを食べる。
<ぶるぶる口>
昔は美人だったが、長年のブルブルで、顔ががたがたになった。
<手>
手のひらに小さな穴があり、そこからブルブルガスを出し、人をふるえさせる。
冷凍ガスにも切りかえられる。
<おくびょう伝達管>
おくびょううつしの管がある。
※人間の恐怖心を食べる。ってのは、なるほど妖怪だな。と思うんですが、
なんで、――とみみずを食べる。と、そこでみみずなのか?
ぶるぶる口の説明を読んで、私は大笑いしました。
皿かぞえ:
奉公ちゅうにまちがって主人の家の皿をこわし、
殺されたり、自殺した少女のうらみなどが、妖怪の皿かぞえになる。
<うらみ心臓>
まえに自分でこわした皿のかけらが、心臓につきささっている。
<皿肺>
ぶるぶるの肺は、皿の形をしている。
※なぜかいきなり、ぶるぶるの肺の事が。
まぁ前のページで紹介したぶるぶると皿かぞえを間違えた誤植だと思いますが。
雨ふり小僧:
雨を降らせる神様の“雨師”につかえている子どもの妖怪。
<顔>
水分を多量に含んで、ふやけ、ふくらんでいる。
<雨力原動器>
傘に降りかかって流れる雨から動力をとって
逃げ足を助ける力にするので、けっしてつかまらない。
ともかずき:
海女の姿をしていて、あわびをくれるが、喜んでいると、
海底に引きこまれそうになる。
※友川かずきは知っていたんですが、ともかずきなんて妖怪いるとは。
かんばり入道:
便所に現れる妖怪で、厠の守り神だという。
<手>
かんばり入道は、いっぽうの手で大便を、
もういっぽうの手で小便を受けるという。
<大便だめ>
いっぽうの手で受けた大便を、ここにためておく。
<小便だめ>
いっぽうの手で受けた小便を、ここにためておく。
<臭気袋>
着物のすそからとり入れた便所の空気を、くさらせてためておき、
口から吹きだす。
<かんばり臭気>
このにおいをかぐと、人間は、あまりに臭いので目をまわす。
<ほととぎす>
かんばり入道につかえている鳥で、キーキーと鳴く。
※「厠の中にいるときにホトトギスの声を聞くと不吉である」
っていう迷信があるらしいんですが、
キーキーって鳴くのって、べつにかんばり入道につかえているんじゃなく、
あまりの臭さに苦しがっているんじゃ。坑道のカナリアみたいに。
私が、初めて『ウィークエンダー』を観た時の三面記事の紹介で、
学校の汲み取り式の便所の便槽に入った男が、透明なビニール傘をさして
下から覗いていたってニュースをいまだに記憶してます。
それがかんばり入道だったんだなぁ。
パタパタ:
冬の静かな夜に、竹やぶの中でパタパタと手を打って音をさせる小人の妖怪。
<パタパタ脳>
ふたつの脳がぶつかり合うときに、
パタパタは、それに合わせて手を打つ。
<腕の筋肉>
長く手を打ち続けても疲れを知らない強力な筋肉をしている。
宇宙人という説もある。
※宇宙人という説もあるって、誰が唱えているんすか。
まだ、「パタパタママ」の子供という説がある。の方が説得力あるような。
――などなどの解説が、解剖図の脳や心臓、内臓なんかに書かれているんですが、
名称のつけ方が、基本、妖怪の名前+脳とか目とか口。
何百年後には、この本が妖怪研究の一級資料として世に知られているかも……。
と考えると、頭が痛くなるというか嬉しくなります。